ブラストホールドリル(さく岩機)    EarthMovers
                                        EM研

発破用穿孔機(削岩機)
  • ブラストホールドリル  Blasthole Drills

    ブラストホールドリルは、発破用の装薬孔を穿つ自走式の穿孔機(削岩機)で、鉱山・砕石・土木工事等の比較的大規模な発破に使われる。 その種類には、油圧式クローラドリル、空圧式クローラドリル、ロータリドリル、ダウンホールドリルがあるが、近年、ロータリドリル、ダウンホールドリル等の大口径ドリルは国内土木工事では、振動・騒音等の環境配慮から使用が制限されている。
    小規模発破の場合は、ハンドドリル(ハンドハンマ、シンカ、ジャックハンマ)、レッグドリル(レッグハンマ)、ワゴンドリル等で穿孔される。

    ブラストホールドリルの分類図
    図-1 ブラストホールドリルの分類

    参考までに、近年の日本の主要石灰石鉱山のドリル稼働状況を示すと、穿孔径115mm迄がトップハンマによる油圧クローラドリル、105〜165mmが中型ロータリ&ダウンザホールドリル、152〜251mmが大型ロータリ&ダウンザホールドリルと大きく3グループに分類できる。 海外では152〜251mmが7割以上を占め、大規模鉱山では穿孔径300mm以上の超大型ロータリドリルが「稼働している(図-2)。

    ブラストホールドリルの選定基準
    図-2 ブラストホールドリルの選定基準

    発破用穿孔機のドリリング方式 穿孔方式は、パーカションドリリングとロータリドリリングに大別でき、パーカション方式はトップハンマ(ドリフタ)とダウンザホールハンマがある。 各方式の概念を左図に示す。

    トップハンマドリリングには、空圧式と油圧式があり、今日では油圧クローラドリルが主流となっている。
    トップハンマの欠点は、打撃力がロッドに吸収され、穿孔長が長くなるほど打撃効率が低下し、穿孔速度が落ちる。
    ダウンザホールハンマは、この欠点を補い、打撃エネルギを直接ビットに伝え、押付力が不要で、孔曲がりも少ない。また、音が静かで破砕帯の穿孔にも適する。

    ロータリドリリングでは、打撃はなく、押付力と回転スピードで岩を破砕(圧砕ないし切削)する。
    図-3 穿孔方式

    発破用穿孔機のトップハンマー方式とコップロッド方式 上方式に加えて近年、アトラスコプコでは、下図のようなコップロッド方式を開発している。

    コップロッドシステムは、2種のドリルストリングから構成され、トップハンマによる打撃方式とダウンザホールで採用されているガイド・チューブも利用し、両者の特徴を併せ持つ方式である。
    図-4 コップロッド方式

    ブラストホールの岩質と穿孔性 岩質変化により発生する孔尻の誤差を減らし、発破精度を向上すると、ベンチ修正、発破粒度の均一化等の品質向上、飛石防止等の安全面でも効果がある。
    穿孔エラーを最小にするには、穿孔パラメータとなる打撃・回転・フィード・フラッシング等を変化する岩質(粘土層・破砕帯・空洞等さしかかった時)に適宜調整が必要である。 これらの要素はオペレータが手動で制御するが、近年では、プログラムにより岩質に感応して自動的にパラメータを最適化するシステムが開発されている。
    図-5 岩質と穿孔性

    Tophammer Drill

    油圧クローラドリル
    油圧式クローラドリル

    油圧ドリフタを搭載したディーゼルエンジン駆動のクローラドリル。 空圧式に比べ穿孔速度が速く、騒音も小さい。 作業効率がよいため、クローラドリルは殆ど油圧式になり、空圧式は特殊用途のみに使われている。 ドリフタがロッド上端に位置し、打撃・回転を伝達するトップハンマ方式で、ロッドチェンジヤによりロッドの継足し・回収を行う。
    穿孔径は、65〜115mmが一般的である。
      Rotary Drill
    ロータリドリル
    ロータリドリル

    台車は大型のクローラ式とホイル式があり、主に鉱山の大口径発破に用いられる。 大型ロータリヘッドによる回転・フィード力をパイプロッドによりビットに伝達させ穿孔を行う。 ロッド径が太いため孔曲りが少なく、岩質変化の影響も比較的少ない。 軟岩穿孔に優れ、石灰岩鉱山でよく使われる。
    穿孔径は、90〜115mm(ステージビット)、130〜251mm(トリコンビット)が一般的である。

     Down The Hole Drill

    ダウンザホールドリル
    ダウンザホールドリル

    回転及びフィードはロータリヘッドで行い、ドリルパイプの下端に取付けた空気打撃式のダウンザホールハンマを車載の高圧空気圧縮機により作動させ、穿孔を行う。 打撃ロスが少なく、孔曲がりも少ない。
    穿孔径は、115〜203mmが一般的である。

  • 油圧クローラドリルの詳細  Hydraulic Crawler Drill
    土木工事で一般的な発破用穿孔機は、トップハンマ方式の油圧クローラドリルであるので、その構造の詳細を示す。


    油圧クローラドリルの構成図

    図-9 油圧クローラドリルの構成


    油圧クローラドリルのガイドセルとロッドチェンジャ
    図-10 ガイドセル と ロッドチェンジャ

    油圧ドリフタの内部構造
    図-11 ドリフタの内部構成


    トップハンマ式クローラドリルのビットとロッドの接続
    図-12 ビットロッドの接続


    ドリルメーカは建設機械の例に漏れず、世界的な合従連衡、再編が進み、わが国のドリルメーカも国内市場の縮小に伴い撤退するメーカや世界のメーカ再編に組込まれ、アトラスコプコ:Atlas Copco、サンドビックトーヨー:Sandvic Toyo、古河ロックドリルに集約された。 ドリフタについては、老舗のテイサクとヤマモトロックマシンが提供を続けている。

  • 穿孔機(さく岩機)の騒音・振動
    図-13に穿孔機の騒音レベル測定例を示す。
    穿孔機の振動については、問題になることなほとんどない。

    削岩機の騒音レベル
    図-13 穿孔機の騒音レベル

      → 建設機械の騒音と振動


    他の機種の解説
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    作業船



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