Hydraulic Excavators(油圧ショベル)
Hydraulic Mining Excavators

超大型油圧ショベルの歴史: マイニングショベルの大型化
世界最大の油圧ショベルは?

超大型油圧ショベルの歴史: ビサイラ 150B Doubler Bucyrus 150B Doubler

 製 造:1968〜70年

ビサイラスの油圧ショベルへの取組みは古く、小松の提携先でもあった。
写真は60年代末期に、電気ショベル150Bをベースにバケットアクションを油圧化した試作機である。
大型化では、8.4m3の550HSまで開発したが、1985に油圧ショベルの生産ラインを閉鎖した。
超大型油圧ショベルの歴史: ポクレン EC1000 Poclain EC1000

 車両質量:140 t
 バケット容量:5m3
 出 力: 780hp
 製 造:1970年〜

油圧ショベルのパイオニアであるポクレンが、1970年に当時世界最大の油圧ショベルを開発し、鉱山用ショベルでも油圧化の先鞭をつけた。
超大型油圧ショベルの歴史: P&H1200 P&H 1200

 車両質量:161 t
 バケット容量:8〜15m3
 出 力: 810PS
 製 造:1978年〜


P&Hが1978年に開発した油圧ショベル、その後、油圧化を断念

Marion-Dresser 3560

 車両質量:300Ton(272t)
 バケット容量:17m3
 エンジン:Cat or カミンズ×2
 出 力: 1,400hp
 製 造:1981〜1989年

マリオンが超大型油圧ショベルに3560で挑戦
しかし、1981年からバックホウを含めて9年間で8台を製造したのみでHEから撤退
超大型油圧ショベルの歴史: SMEC-4500 SMEC 4500
   開発当時世界最大級

 車両質量:463Ton(420t)
 バケット容量:15〜30m3
 出 力: 2,400hp/1,800rpm

通産省主導の11社共同研究として1983年設立の石炭露天掘機械技術研究組合:SMECが開発し、豪州で1987〜1992年に耐用運転を行った。 写真の積込ダンプは、ルターナのTitan T-2200
 Ph. by Les Kent
超大型油圧ショベルの歴史: Cat 5230 & 789B CAT 5230

 Bucket容量:17m3/22yd3
 全装備質量: 315t
 出 力: 1,470hp
 製 造:1994〜

キャタピラーは、最初のマイニングショベル5130をMINExpo1992でデビューさせ、94年に最大機種となる5230を発表した。 2001年にはアップグレードして5230Bとなる。
Ph. by Caterpillar
超大型油圧ショベルの歴史: リープヘル R996 Liebherr R996
  1995年にデビュー

 Bucket容量: 36m3/47yd3
 全装備質量: 668t
 出 力: 2,240kW /3,046hp

独のリープヘルは、クレーンメーカとして創業後、早くからケーブルショベル、油圧ショベルを造る超大型機のパイオニアの一社である。
Ph. by Liebherr

超大型油圧ショベルの歴史: O&K RH400 世界最大の油圧ショベル
  1997年にデビュー

O&K RH400
11-35

 Bucket容量:42m3/55yd3
 全装備質量: 910t
 出  力: 3,350fhp

Ph. by E.C.Orlemann

超大型油圧ショベルの歴史: コマツ・デマーグ H740 OS Demag H740 OS

 Bucket容量:40m3/52yd3
 全装備質量: 726t
 出 力: 3,280kW/4,400hp
 製 造:1999

本機は、オイルサンドワーク向けの特別設計、写真はCat793Bに積込中
Demagは1954年に初の全油圧掘削機B-504を開発した老舗だが、Demag Komatsu を経て、コマツに吸収される。

Ph. by E.C.Or
超大型油圧ショベルの歴史: コマツ PC-8000 Komatsu PC8000

 Bucket容量:44m3/57.6yd3
 全装備質量: 720t
 出 力: 3,000kW/4,020hp
 製 造:1999〜 (H655Sは1998〜)

本機は、Demagと共同開発したH655Sの後身。 コマツがDemagを100%買収した後にモデル名を改称、製造はデュッセルドルフ工場
Ph. by Komatsu
超大型油圧ショベルの歴史: テレックス O&K RH400 Terex O&K RH400

 Bucket容量:43.5m3/57yd3
 全装備質量: 1,108t
 出  力: 4,400fhp

O&K社は、1997年にTerex社に買収されたが、O&Kのブランドは残していた。しかし、2003年に型式名をTME400に変更

Ph. by Terex
超大型油圧ショベルの歴史: 日立 EX8000 日立 EX8000

 バケット容量: 40m3
 全装備質量: 780t
 出  力: 2,400kW

日立建機が、'97年のEX5500から7年ぶりの2004.3に超大型油圧ショベルの新機種EX8000を発表し、カナダの鉱山に出荷


 → Road to Canada

超大型油圧ショベルの歴史: EX8000 カナダのアルビアンオイルサンド “ムスケグ川鉱山”でEH5000に積込み中のEX8000、2・3号機を追加納入

Ph. by Hitachi
超大型油圧ショベルの歴史: リープヘル R9800 Liebherr R9800

 Bucket容量: 38〜42m3
 全装備質量: 804t
 出 力: 2,984kW /4,000hp

独リープヘルが800t級の新フラグシップをMINExpo2008で発表(2008.9)

Ph. by Liebherr



Ton:米トン(short ton), t : metric ton

Bucyrus RH400

Terex O&Kは、Bucyrusに2010.2に買収されたが、そのビサイラスカラーが乾かぬ翌年7月に、下のキャタピラーイエローに塗替えられてしまった。

Ph. by Bucyrus
Cat 6050

Catの油圧マイニングショベルは、2012年のBucyrus買収により、旧O&Kを#6,000シリーズとして加え、弱点だった超大型積込機の戦列にケーブル式と油圧式ショベルを供に揃えることとなった。
写真はCatイエローに衣替えしたRH200、変じてCat 6050


Ph. by Cat

  超大型油圧ショベルの動向

上記のモンスタ達が超大型油圧ショベルへの挑戦、各社のフラグシップ機である。
油圧ショベルの超大型化に伴い、鉱山においても積込機はケーブル式ショベルから油圧ショベルへの世代交代が進んでいるが、超大型ショベルメーカも合従連衡、世界的な再編・集約の嵐に晒されている。
超大型ケーブル式ショベルメーカも嘗て油圧ショベルに挑戦したが、油圧化で敗退し、ケーブル市場に引籠もった。 また、油圧ショベルのパイオニアであるポクレン社やデマーグ社は、超大型機のフロンティアともなったが戦線を離脱した。
現在、超大型油圧ショベルのメーカは、リープヘル、テレックス、コマツ、日立の4社に集約されている。 O&Kがテレックスの傘下に、コマツはデマーグを買収して、超大型のマイニング市場に参入した。 日立のショベル部門は独自路線で今日の地位を築いているが、リープヘルに似た路線をとり、OHダンプの老舗ユークリッドを買収して、マイニングトラックを戦列に加え、国内生産も開始した。
コマツもドレッサ(旧ワブコ)を買収して、マイニングでの積込・運搬の両部門を強化している。 テレックスは積込機でO&Kを傘下に収め、嘗て切離したOHダンプトラック部門を再強化すべく、ユニット・リグを買収した。
マイニング機械各メーカの生き残り戦略は、ユーザのアースムービング・システムの納入から維持管理までの一括契約の要望に応えるため、超大型機種において積込・運搬の両機種を揃えることにある。
さて、巨人キャタピラー社の動向は? キャタピラ社の油圧ショベルへの参入は後発組であったが、#200シリーズで一定以上の評価を得ていた。 が、日本でのSCM設立に伴って、ローカル仕様のEシリーズを登場させ、その明石製作所製が#300シリーズに昇格して、油圧ショベルの開発拠点は明石に移り、本家の#200シリーズは消滅した。 しかし、その後のマイニング市場に参入すべく、ピオリア製の#5000シリーズを投入したが、未だ超大型機の発表には至っていない。
そして、2009年暮れに激震が奔った、ビサイラスがテレックスのマイニング部門の買収を発表した。 そのビサイラスが、1年も経たない2010年11月にCatへの身売りを発表、統合・再編の荒波は留まることを知らない。

  マイニング油圧ショベルの稼働台数
世界の主要鉱山における全装備質量150t以上の油圧ショベルの稼働台数を下表(2005.12現在)に示す。
このうち、日立・コマツの日本勢が50%超のシェアを占める。
主要鉱山での油圧ショベルの稼働台数
 北 米  中南米  豪 州  欧 州  ロシア・CIS  アジア  アフリカ  計 
596 174 574 356 65 335 167  2,267


 → 近年のアライアンス

 → ショベル系建設機械の種類

 建設機械の歴史→ 建設機械史:発明と技術革新


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