トカラ列島 旅行記 野宿しながら約一ヶ月かけて島々を巡った旅の話です!

写真を撮って道に出ると見かけない若者たちが歩いている。
直感(見た目かもしれない)で面白そうと感じたら歩み寄って話し掛けるのに、
人物を選別している自分がいる。 こりゃいかん、自分を狭めてしまってる。

そうこうしているうちに彼らは西温泉に入っていった。

倉庫前まで来るとすぐそばの商店が開いていたので
缶ビール5本を買って総代さんの所へ挨拶に行く。
お礼を言うと明日の朝、波止場まで倉庫のトラックで乗せていってくれるという。
本当にありがとうございます。


午後10時過ぎだと思うが釣師の金沢さんと河野さんが倉庫にやってきた。
夕方入港したダイビング専用のチャーター船に遊びに行こうと誘ってくれた。

夕方見た若者たちはこの船でやって来たようだ。

釣師二人は温泉でチャーター船の船長と知り合いあとで遊びに行くと約束したらしい。
二人はもはや酔っ払っていてご機嫌だ。

船は煌々と明かりが灯っているが甲板には誰もいない。
時間も遅いんでみんな寝ているんじゃないかと思ったが、
そんな心配はお構い無しに河野さんが船に上がり大きな声を出して呼んでいる。
さすが関西人。

船室から人が出てきた。

一人は船長、中年男性、若い男女の計4人だ。

僕と金沢さんも船に乗り込み、みんなで甲板後方にあるテーブルについた。
河野さんは持ってきた瓶ビールを開けるために
栓抜きを探すが見つからないとみるや自ら、おりゃ!と歯で開けた。

ダイバーたちは東京国立のダイビングショップに集まる人たちで、
鹿児島で船をチャーターして吐喝喇にやって来た。
今回は悪石島まで行く予定だがこの天候では難しいようだ。

今日も予定のポイントに潜れず残念がっていたが
今日潜った場所でも珊瑚がよく育っていて、
ロウニンアジの群れも見れてまあまあだったようだ。

僕が「温泉良かったでしょ!」とダイバーに尋ねると
「混んでいるから、早く出ろ!」と島の人に怒られたそうだ。


近頃、吐喝喇にスキューバーダイビングを楽しみにやってくるダイバーが増えたが、
多くのダイバーたちは設備の整った船を本土でチャーターして島へやってくる。
そして、チャーター船は島の港に停泊してダイバーたちは島の民宿、旅館を利用せず船に泊まる。


釣り人は「としま」でやってくる他に本土から瀬渡し船に乗って、
吐喝喇のあちこちにある大物釣りの磯へ直接やってくるのも多いようだ。


金沢さんはダイバーたちにどんな魚がどのような場所にいるのか質問している。
いたって真面目である。

河野さんはだいぶ酔っ払って、若いダイバーに東京人はどうのこうのと絡みだした。

僕はというと女の子の横に座ってご機嫌だ。

あ〜、中之島とも明日の朝でお別れだ。
滞在中、ずっと天気が悪かったせいもあるけど僕の心はいまいち盛り上がりに欠けた。

旅なんてこんなもんだっけなあ?

東京の街をゴジラと化した河野さんが暴れ回って壊滅状態にした。
気分すっきりの河野さんは「さあ帰ろうや!」
と立ち上がり、僕らもせきたてられるように椅子から腰をあげ
「お邪魔しました」 と船から上がった。


帰り道、道端の草むらに一匹の蛍が緑色の小さな光を放っていた。

一度だけヤルセ灯台が見えた。
それから、さらに道は悪くなり草の高さが胸まで来て、
その中には落石がゴロゴロしていて歩きづらく、森林帯に入るとそれに倒木が加わった。
こんなところが1時間ちょっと続いた。

灯台に近づくにつれて道に生えた草は刈ってあり、
周りの木々も伐採されて道が整備されつつあった。

そしてまた牧場が広がりその奥に灯台が見えた。

出発後、約3時間でヤルセ灯台に到着。強風を建物で避けて休憩、昼食。

口之島の右手、遥か遠くに大きな島が見える。
何島だろう?
パンフレットの地図を見るとそれは屋久島だった。
吐喝喇の島々に比べると途轍もなくでかい。

1時間休んだあと、七ツ山海岸へ向かう。
ここからはずっとコンクリートの道のようだ。
海岸沿いといっても道が高い所にあるので眺望が素晴らしい。
この高い位置から七ツ山海岸に下りる道が別れている。
またここまで上がってくるのが大変だなあ〜と思いつつ七ツ山海岸へ向かう。

この海岸には十島村唯一のキャンプ場があるので見ておきたい。
ヤルセ灯台から約1時間で七ツ山海岸に到着。
隣接するキャンプ場はとてもきれいで、
高床式でピラミッド型をしたコンクリート製のバンガローはあるし、
更衣室、トイレ、水のシャワーに炊事場と設備が整っている。

もう少し波止場に近かったらここに泊まってみたい。

七ツ山海岸から御池までの道のりは景色が良くなく見るところなし。
御池はきれいといえばきれいな沼だけど
たいしたことないといえばたいしたことない。

高雄盆地を通って午後4時過ぎ倉庫に到着。
すぐにでも温泉に入りたいが島の人々で混んでいるので波止場に釣りを見に行く。


風向きが変わったせいか波が高く、
防波堤にもろに波が当たり空高く飛沫が上がっている。
そんな中で3人は平然と釣りをしている。
河野さんが1メートルくらいの平アジを釣ったそうだ。
何はともあれ波にさらわれないように。



夜遅い時間に温泉に行くと
台風のためこの島に避難してきた指宿の漁師さんといっしょになる。
漁師さんはこの辺りをホームグランドにしていて吐喝喇に詳しい。

諏訪之瀬島のほかに宝島にもヒッピーと呼ばれる人たちが住んでいるようだ。
長年にわたって島に移り住んでいても陰では
「あいつらヒッピーだからな」と言われている。

指宿の漁師さんはヒッピーと呼ばれている人たちのことが嫌いだ。
どこが嫌いなのか尋ねると、
楽な生き方をしているのが気に入らないという。
漁業するにも農業するにも中途半端で村の援助を
うまく利用しているからとも言った。
そんなもんかな〜〜。
彼は「俺の考えも偏っているけどな」と言った。

この漁師さんは自分が住んでいる家より高い船を買って、
女房、子供、そして自分のために東シナ海で命を張って戦っているのだ。

吐喝喇列島旅行記の目次

雨が降ったり、晴れたり、曇ったりと目まぐるしく天候が変わった。

中之島支所に明日の船のキップ
中之島〜諏訪之瀬島間  2260円を買いに行く。

このところガジャブのことを書いていないが
相変わらず刺されていて夜はあまり眠れていない。
その代わり昼間は波止場に行って眠っている。
あれだけ強風が吹く場所にはさすがのガジャブもやって来れない。
ということで波止場へ向かうが今日は一段と波が高い。

3人が釣りをしていて僕が眠る場所は波止場の先端の
一番高い防波堤の上だがそこへ行くまでに何ヶ所か難関がある。

防波堤を越えて波が上がる所と波止場のコンクリートの切れ目から
物凄い勢いで海水が吹き上げる所だ。
縄跳びじゃないけど、タイミングを見計らって一気に走り抜ける。


午後4時、僕らがいる防波堤の上まで波が上がり始めたのでみんなして退散する。

その足で僕だけ吉留建設が使用している天泊温泉を見に行く。

風呂場はこじんまりしていてタイル貼りだ。
泉質は他の温泉とさほど変わりはないようだ。

         10 11

吐喝喇列島旅行記 6ページ目

コンクリートの道は未舗装になり道が狭くなる。
ここ最近、人が通った形跡が無い。
最初のうちは小石がひいてあったが、
そのうち、ぬかるみありの草ぼうぼうで、これが道かと思えないようになる。

休まず一気に登る。
ここからはとくに道は無いようだ。
霧が深く何も見えないので帰り道を見失う可能性があるので
あまり左右に動かず溶岩帯を真っ直ぐに登る。
風が強く吹き飛ばされそうで怖い。
ほとんど四つんばいで登る。

火口の縁に出た。

向かって左側の方がまだ上に延びているので這って登る。

とりあえずピークに立つ。

はたしてここが一番高い標高979メートルの所かわからないがこれ以上進めない。

9月24日 木曜日

曇り、風強し、波高し。

今日は御岳登山をする。
午前7時30分、倉庫を出発。
目指す御岳は相変わらず雲が掛かっていて山頂付近は見えない。

歩きに調子が出ずスローペース。
おまけに気分も乗らない。足元はコンクリートの道。
これが頂上近くまで続いているらしい。
山登りしていて自動車が走れる道を延々と歩くのは本当につまらない。


森林帯を過ぎるとススキだけになり強風をまともに受ける。

雲が掛かっていなければさぞかしいい景色だろう。

午前9時30分、
テレビ放送中継所へ向かうコンクリートの道とお別れして笹の中へと続く登山道に入る。
やっと、登山って感じだ。

笹の中の登山道はかなりの急登だ。風になぎ倒された笹が邪魔で歩きづらい。
唸り声を上げながら突風が何度も頭の上を通過する。
30分ほどで草がちょろちょろ生えた溶岩帯に出るとNHKの小さな受信所が建っており、
そのすぐ下に火口まで170メートルと書いた道しるべが立っている。

9月25日 金曜日

天泊温泉

古道具 古賀
東京都小金井市関野町2−3−3
0120ー387−056
042−387−0567
 furudougukoga@yahoo.co.jp
東京都公安委員会 第308899403942


当店は桜の名所、小金井公園の近く、
五日市街道沿いで10数年、地道に商っています。
定休日・月曜日・不定休有

NHKの小さな受信所まで戻り休憩する。
霧と汗で全身ぐちゅぐちゅしている。
身体が冷えきらないうちに山を降りる。
午前10時20分  下山開始

         10 11