≪絵本のおはなし≫おはなし会の中から…

おはなし会で届けた絵本の内容をここにご紹介します。
子供たちの様子を思い浮かべながら一つ一つ書き留めてみました。
一覧はBooksでご覧下さい。題名をクリックすると画像を見ることができる絵本もあります。






 ナ 
長ぐつをはいたネコ   [マーシャ・ブラウン 作] 岩波書店

多芸多才な作家、マーシャ・ブラウンによるよく知られたペロー民話絵本です。マーシャは、それぞれの絵本の内容にふさわしい手法で描かれるので必見です。長靴をはいたネコの機知に富んだ策略によって主人を出世させ、幸運を手に入れるまでのストーリーを独特の手法で描かれています。
マーシャに限らず、『ながぐつをはいたねこ』( ポール・ガルドン 作/ほるぷ出版 )や『長ぐつをはいたねこ』(ハンス・フィッシャー 作/福音館書店)とも見比べてみますと面白いですよ。

「かしこい動物たち」をテーマにブックトークしました。子ども達自身がじっくり手にとって読んでほしいですね。



 なつのいちにち   [はたこうしろう 作] 偕成社

夏休み。子ども達にとっては、いつまでも続いてほしいと願う夢のような楽しい日々ですね。「いってきままーす」からのページの始まりは、そんな子どもの夏休み、夏の始まりを象徴しているのでしょう。構図がとても考えられていて、虫捕りに飛び出した麦わら帽子の男の子が黒枠の狭い囲みの中に描かれていると思ったら、次のページを捲ると、ぱぁ〜っと画面いっぱいに夏の風景が拡がって、解放感が全開というように、視点を考えて描かれていると感心させられます。この絵本は、絵本でありながら展覧会の絵画作品を観ているような錯覚に陥りました。海辺、飛び交う鳥、地平線。それに平行した砂浜を真っ直ぐに走る男の子。3D?と思わせるような立体感もあって、青の次は、緑というような色彩感も。
海を過ぎると畑と山並みが見えます。虫を狙って、突進!・・・・文字は少なくても、匂いや息づかい、風、セミの鳴き声など、夏の薫りがしっかり伝わってきます。
子ども達は吸い込まれるように、この絵本の男の子と一体感をもって楽しんだ事でしょう。くい入るように、じいっと見つめていました。 夏のおはなし会の導入絵本としてお薦めです。2006年の課題図書にもなりました。


なつのかわ  [姉崎一馬・文/写真] 福音館書店

写真絵本『はるにれ』や『ふたごのき』と同作者。「かわ ― もりにうまれ、うみにむかう。」の一文のみであとは全くの写真絵本です。でも、たしかに言葉が、音が聞こえてきます。森林の凛とした朝もやの中から―水滴、せせらぎ、滝、ざわめく葉、枝々、鳥のさえずり、水しぶき、川辺で遊ぶ子ども達の歓声、風の音までも・・・そして、夕闇になり、飛び交う鳥達の鳴き声と共にまた朝がやってきて、夏の川は入道雲の下にキラキラと照り輝いています。

はるにれ』が<静>なら、『なつのかわ』は<動>のイメージの音楽が奏でてきそうな、そんな1冊です。
もちろん、暑い夏のおはなし会で、中心となる絵本やおはなしの合間の1冊として最適です。



なにがいるのかな?  [薮内正幸 作] 福音館書店

木の穴からしじゅうからという小鳥が顔を出しています。その穴の中では、ひなが育っています。他にも木の穴では何がいてどうなっているのかしら?
短い言葉と本物のようにスケッチされた絵がとても興味をひいて、「何?何がいるの?」と引き込まれていく絵本です。「うろ」という言葉は難しいだろうと配慮されたのでしょうね。自然と動物をこよなく愛される姿勢が伝わってきます。こういった本はおはなしの合間に時々入れたいものです。
他にも同じく、薮内さんの『なにのこどもかな』もおまけの1冊として届けました。



なにをたべてきたの?   [岸田衿子・文/長野博一・絵] 佼成出版社

おなかのすいた白ぶたくん。赤いりんごを見つけ満足げにぺろりと食べたらおなかの中はほんのり赤い色になりました。次にレモンを食べたら今度はほんのり黄色くなりました。メロンも食べればあらら・・ちょっと白ぶたくんの体が長くなって、まるで信号のように「赤、黄、緑」のおなかになっています。更に、ぶどうを食べ、・・・えっ!最後はせっけんを食べてしまった白ぶたくんは・・・・!?

「なにをたべてきたの?」と聞いているぶたの仲間がこれまた凄いです。みな違った種類のぶたではありませんか!
「はんぷしゃー」や「ちじれっけぶた」「まだらぶた」に「赤いぶた」等がいるのですね?
繰り返しの面白さは、特に幼い子ども達が大喜びで、お話の展開、結末も満足感があります。親子で楽しめる1冊です。


 ニ
にじいろのさかな  [マーカス・フィスター 作] 講談社

キラキラ細工を施した美しい絵本です。谷川俊太郎さん訳のストーリーも心が洗われるようです。でも、きれい過ぎる気もしますか?「生き生き講座」のお楽しみのおはなしということで大型絵本で届けました。

にじうおは1匹しかいない美しいうろこを持った魚でした。他の魚が羨ましがって、そのきらきらうろこをほしがりますがにじうおは「あっちへいけ!」と追い払います。とうとう、にじうおはだれからもそっぽをむかれるようになりました。さびしくなったにじうおはひとでに打ち明けましたが・・・。
本当の幸せって何かな?と考えさせられるようなお話でもありますね。子ども達には、きらきらだけに目を奪われないでほしいなと思います。夏のおはなし会にいいかもしれません。



にたものどうし   [奥井一満・文/U.G.サトー・絵] 福音館書店

「自然がつくったもの」と「人間がつくったもの」をぐるりと見回してよく見るとなんだか形が似ているものがたくさんあります。あらためてこんな風に対比して見せられたらなるほどと頷いたり、こんなものが!と驚いたり、笑ったりと楽しい絵本に違いありません。
でも、それにしても、「ばらのとげ」と「ばらせんのとげ」は名前も似ていますが、「いもむし」と「新幹線」が似ているなんて想像できる人は凄いと思いますね。最後のページがこれまた楽しい♪ にたものどうしを合体させてしまった絵はちょっと不気味で、不思議な絵に変わってます。
低学年おはなし会では「いもむしと新幹線」に大笑いでした。私は「まきがいとらせんかいだん」の合体絵に、あれっ?と思い、次に吹きだしてしまいましたね。面白い発見もできて楽しい1冊です。長いおはなしの後におすすめです。とっても和やかな雰囲気になるでしょう。

関連本として、 『みんな おなじ でも みんな ちがう』も、たったこれだけの言葉にアサリ、からミノムシまで14の小粒な存在がぎっしり集まって、「一見、みな同じでもみな違っている」その発見が楽しいかがく本です。

そう言えば、「みんな違って、みんないい」という金子みすずさんの詩がありましたが、言葉だけ捉えてみるとどちらが好みでしょうか?


ニッセのあたらしいぼうし   [オロフとレーナ・ランドストローム 作]  偕成社

アニメーションに携わっているオロフ夫妻の共作絵本です。
ニッセという男の子の新しい帽子には、つばがついていてお気に入り。外に出かければ友達がかぶってみたいと寄ってきます。とっても自慢で我ながら格好いいと思うのですが、雨にぬれてしまい・・・・さあ、帽子はどうなったのでしょうね!
クスリという笑みがこぼれてしまう可愛いお話です。特に低学年以下の子ども達には共感できるのでしょう。隣の子と顔を見合わせながら、楽しんで見ていましたね。


二ほんのかきのき  [熊谷元一 作] 福音館書店

雪の積もった庭に桃の木と渋柿、甘柿が各1本づつあります。(初めからもう、木の違いがわかります)
1月の<なりきぜめ>という慣習から始まって柿の実を食するまでの柿の生長やそれに伴って、柿の下での遊びや青い実や色づいた葉での子供の遊びが何とも時代を感じさせられます。(1968年版)
今の子どもにはぴんとこないところも多いと思いますが、(親も?)それらの遊びの様子は羨ましさや素朴な温かみをも感じます。

秋から冬のおはなし会で、大人も<わらべうた>のような感覚で懐古的になってお話を楽しんだ1冊です。 



 にゅうどうぐも   [野坂勇作 作] 福音館書店

横型上めくりの変形絵本です。自然現象の科学絵本を多く手掛けておられる野坂さんの真夏の代名詞「にゅうどうぐも」の移り行く変化が映しだされています。「地鏡」という蜃気楼の一種まで紹介されて、人も、車も、犬も、建物なども全て影絵でありながら、背景に大きく聳え立つような雲の姿と鮮やかな色彩の大空が大きく描かれていて雄大です。
「綿雲」→「入道雲」→「雷」→「夕立」→「虹」に至るまでの「入道雲の後姿です」
最後の夕焼けの美しい雲の流れ、沈みゆく夕日に初めは「すごい」と声をあげていた子ども達も、寡黙になっていました。もちろん、夏のおはなし会に最適です。


 にわのがまくん   [島津和子 作]  評論社

「ちいさなかがくのとも」2004.7月号です。こんなにうす気味悪い(?)大きながまがえるが側に来たら、私はきっと失神してしまうでしょう。夜になると、庭に現れるがまくんがげじげじ等の虫を食べたりする絵だけでも、見るに耐えられない。
でもね、ちょっと、愛嬌があるのねと思って気がつけば、子どもと一緒になって楽しんでしまいました。あんな大きながまがえるがひっくり返っている姿のお腹の斑模様は生のそれと実に似ていて生々しい。猫とのにらめっこにも勇ましく勝ってしまう。あの目つきもどことなく憎めない。
「がまくん、、、またあおうね。」実際は嫌ですが、こんながまくんだったら、いいかも?
おはなし会では瞬きしないで口を開けて見入っていた子がいましたよ。しっかりとしたおはなしの合い間にやはり、6月頃のおはなし会におすすめです。


 にんぎょう しばい   [キーツ 作]  偕成社

これまでのキーツの作品とは趣を異にした視点を変え裏側を主にしたお話の運びになっています。
それは人形芝居の役者が裏手から観客を見るところから始まっています。
人形芝居を観にきた男の子の純粋な人形を慕う思いが夢にまで現われて・・・・
人形を愛する思い、いつのまにか人形で無くなって生きた友達として、子どもの心に想像の世界でゆっくり遊ぶことが出来る感性の目を大切に描かれたキーツの新しい魅力をまた発見しました。
低学年のおはなし会で届けましたが、想像力の高い、おはなしに慣れた子向きの1冊だと思います。


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ねぇ、どれがいい?  [ジョン・バーニンガム 作]  評論社

この絵本は「もしもだよ」という言葉から始まる、楽しくてユーモア溢れる「究極の選択」絵本です。
「もしもだよ、君んちのまわりが変わるとしたら、大水と、大雪と、ジャングルと、ねえ、どれがいい?」
というように、いくつかの選択肢が示され、「ねぇ、どれがいい?」と聞かれます。「どれがいいかな」と考える余地のあるものもありますが、質問は、難問というか、「ええ〜?」っていう質問が 次から次へとあって選ぶのが楽しいものもありますが、どうも心地よくなさそうな選択肢や、どれも選びたくないのもあります。それだけにページをめくる度に見せる子どもたちの反応が実に面白いですね。

「もしさ、ぞうに おふろの おゆをのまれちゃう、たかに ごはんを たべられちゃう、ぶたに ずぼんを はかれちゃう、かばに ふとんを とられちゃうとしたら、ねえ、どれが いい? 」
子ども達は大喜びで、「これ!」 と答えてくれます。大人だったら、(どれもイヤだけど、これならまあいいか) と考えてしまいそうですが、子ども達は想像力を豊かにもって損得を考えず遊び心で純粋に選んでいるようです。それが大切な気がしますね。「これよりかはこれかな?」 と思うのではなく「これがいい!」 と。「大変そうだけど面白いかもしれない!」選びにくい質問でも、冒険のように楽しんでいるのかも知れませんね。

こんなのもあります。「お父さんが学校で踊っちゃうのと、お母さんが喫茶店で怒鳴るのと、どっちがいや?」というような、顔から火が出るようです。子ども達の答えは様々ですが各家庭の親子象がわかるかな?最後の「それともさ、もしかしたら ほんとうは、自分のベッドで ねむりたい?」これには全員が「うん!ねむりた〜い」と答えてくれました。ナルホド・・・
低学年、それも2年生位が最も盛り上がって喜んでくれます。



ねえどっちがすき?  [安江リエ・文/降矢奈々・絵] 福音館書店

上記の『ねぇ、どれがいい?』よりも身近な楽しい、嬉しい選択で、小さい子向けです。それもその筈、「こどものとも年少版」から復刊、ハ−ドカバーとして出版されただけのことはあります。「ぴっかり目玉焼きとほっこり玉子焼き」とか、
「ぶう〜らんブランコとしゅう〜すとん滑り台」と聞かれても、どっちもいやではなくどっちも好きですよね♪
子ども達は大声をあげてそれでも選んでくれました。おはなし会の最後やほっと一息できる楽しい絵本です。こういった選択できる絵本は本当に子ども達は大喜びで、おはなし会は大いに盛り上がります。

 

ねこさんびき  [アン・ブルイヤール 作] すえもりブックス

この絵本は、ベルギーの絵本作家アン・ブルイヤールさんのデビュー作品で、ベルギーにおける児童書に与えられる権威ある賞、ヴェルセール賞を受賞されたそうです。

登場するのはなんとも味のある表情の猫3匹です。でも、題名からは内容が推測できませんよね。本を開けた途端、目を奪われる青があります。文字が全くありません。でも、言葉がないからこそ見るものをあっと驚かすのではとも考えられます。枝の上に登っている白黒の猫3匹が、ジーっと池の3匹の赤い魚を狙っているかのように見つめています。そのうちに1匹の猫はついに池に飛び込んでしまいます。そして、続けてほかの2匹も池の中へ飛び込みますが……。
最後のページで子ども達は、はじけるように笑いました。とても不思議で笑えておもしろい絵本なのです。ネコの表情がとても良く、ひょうひょうとしたところ、また最後の魚がまるで木にひっかかっているような描き方がが面白いと思いました。
遠めもきく絵のタッチが良くて色がきれいですので、ゆっくり見せてあげたい絵本です。しっかりとしたお話の後におすすめです。



ネコとクラリネットふき  [岡田淳 作] クレヨンハウス

ある日のこと、クラリネットふきの家の前にふらりと一匹のネコがやってきました。このネコは牛乳や魚などの餌をやっても口をつけません。なんと、クラリネ ットの音色を聴いているうちに体がどんどん大きくなっていきます。面白い事に(?)げっぷまでクラリネットの音のようです。そして、どんどん大きくなり過ぎて、家が壊れてしまうぐらいの大きさになったネコは、まんまるふわふわと、空も飛べるようになります。飛行船の様に、ネコの体の下にバスケットをぶらさげ、クラリネットふきを乗せて空中遊泳。時には、ネコの体の上でクラリネットのコンサートです。
青い空にふわふわと浮かんだ真っ白な柔らかなネコの毛の中で音楽を聴いたら、どんなにか癒されることでしょうね♪また、このネコの表情もいいですね。最初から「にぃー」と笑っています。大きくなったときにも「にぃー」。家を壊したときも「にぃー」。

なんて、楽しそうで幸福感いっぱいの絵本ではありませんか。子ども達とネコに包まれてお話を楽しみました。



ねこのおんせん  [別役実・文/佐野洋子・絵] 教育画劇

不思議な雰囲気のある別段さんのお話しに、これまたねこ党の佐野さんの絵がとってもマッチした絵本です。

オムドンテ火山のふもとにアンテパン温泉があります。この温泉は、ねこにとてもよくきくことで評判でした。そこでアーバン村のナガールさんは、この頃元気がない年老いた飼いねこを連れて行きました。でも、・・・。なにかがあるらしい?温泉に入れないうちに帰って来てしまいました。どうして?それはなぜでしょうか。ちょっとドキリとするような奇想天外なお話ですがどこか独特の可笑しみもあります。
温泉が恋しくなるような寒い冬に高学年おはなし会で届けました。静かに聞き入っていた子ども達です。 



ねこのくにのおきゃくさま  [シビル・ウェッタシンハ 作] 福音館書店

松岡享子さん訳の好きな1冊です。シビル・ウェッタシンハさんはスリランカ生まれの絵本作家です。

あるところに、ねこの国がありました。ねこたちは皆働き者で生活に困ることはありませんでしたが、楽しむことを知らなかったのです。そんなねこの国にお面で顔を隠した謎の二人連れの旅人がこの国を訪れます。お客様はねこたちの前で音楽を奏で、踊りを踊って見せます。その素晴らしさに王様をたちまち魅了させます。感動した王様はお面をとって顔を見せてほしいと言われるのですが、なぜか二人 は決してお面をとろうとはしません。さあ、仮面の旅人の正体は…?

お客様の衣装が、何とも鮮やかでお国柄が出ています。生き生きとした絵、物語の展開と爽やかな結末に子ども達は途中で気が付いたり、大喜びしたり、驚いたり様々で愉快そうでしたね♪



 ねこのごんごん    [大道あや 作] 福音館書店

大道さんは、60歳から絵を描かれたというから驚きです。そして、90歳過ぎた今も現役で、花咲き乱れる庭や動物、鳥、魚等の画面いっぱいに広がるそのその画は豪華絢爛という言葉が相応しい気がします。
 一匹の捨てねこが迷いこんだ農家には、98歳ぐらいの老猫「ちょん」がいました。ちょんは、捨てられてななしのごんべえならば、「ごんごん」という名前にするとよい、といいこの家に住みつくことになりました。
そして、生きる上で猫として必要なことを、ごんごんはちょんから一つひとつ学びます。「なにごとも じぶんで おぼえることが かんじん」の口癖が何ともちょんの愛情を感じます。そのちょんも年月と共に年老いていき、息をひきとります。
 ごんごんは「ちょんよりも りこうで つよいねこになりたい」と思うのです。
 昔ながらの日本家屋とその庭でくり広げられるねこの世代交代のお話。ちょんの口調がユニークで、声に出してよむと、なお、よさが伝わります。 また、ちょんと同化しているような大道さんの気持ちがこの作品に表れていると思います。動物たちや庭に咲かせている花々への惜しみない愛情もひしひしと感じ、 なつかしい香りにつつまれたおはなしです。

ただ、画が細かいので遠目が効きません。大人数のおはなし会には不向きですが、こういった香りのするおはなしは現代っ子に少しでも届けてあげたいと、春近いおはなし会にしてみました。

ごんごん再登場の絵本『こえどまつり』も届けました。いつのまにか、おばさんがおばあさんになり(?)家族の犬も代わっていますが、ごんごんだけは相変わらずです。今回はこえどまつりのもようを絢爛豪華に彩られた山車や賑わうお祭り、花火に到るまでじっくり見応えがあります。笛や太鼓の音、わっしょいの掛け声が短い一文の中から聞こえてきます。お祭りの時期に届けてみるのもいいですね。


ねこのジンジャー  [シャーロット・ヴォーク 作] 偕成社

ねこのジンジャーはこれまで居心地のいい家で悠々自適に暮らしていました。ところがある日、飼い主のテレサが子猫を連れてきたため大変です。「お友だちよ、なかよくしてね」と言われますがお昼寝を邪魔されたり、子猫の身勝手さに我慢できなくなったジンジャーはとうとう家出をしてしまいました。残された子猫はひとりっきりじゃつまらない…・。

軽やかなペンと淡い水彩で、ねこのしなやかな動きや愛らしさがなんとも素敵に描かれている1冊です。仲間といる事で分かち合えることの大切さをそっと感じさせてくれるような絵本でもあると思います。
小学生低学年のおはなし会におすすめです。
飼い主のテレサとジンジャーの最初の出会いを描いた『はじめましてねこのジンジャー 』も出版されています。
2冊を比べてみると、ジンジャーの体に変化があることがわかりますよ。

 

猫山  [斎藤隆介・文/滝平二郎・絵] 岩崎書店

山の谷川でイワナ釣りに来ていた三平は、日が暮れて道に迷ってしまいます。森の奥で、やっと明るく光っている窓を見つけてその家に泊めてもらいますが、な、なんとそこは恐ろしい猫ばばと子猫達の家でした。以前、三平の家にいたニャンコもいて、なんとか三平を逃がしてくれますが猫ばばに見つかり三平を捕まえないと猫汁にすると脅かされた猫達が後を追いかけて来ます。三平は捕ってきたイワナを猫たちに放り投げて、逃れようとしますが猫ばばは容赦しません!

一見、怖いお話に感じられますが、「むほん」という言葉には滑稽さを感じ、時代劇のような感覚で痛快なストーリーに子ども達も最後までお話にのめりこんでいましたね。 



ねずみくんのチョッキ  [なかえよしを・文/上野紀子・絵] ポプラ社

可愛いねずみ君の赤いチョッキはお母さんが編んでくれたものです。「似合うでしょう?」とちょっとご自慢です。そこへ、「いいチョッキだね。ちょっときせてよ」とあひるくんが来て、きついけど似合うかな?とポーズ(?)そのあひるさんのチョッキを見たさるくんも又、「ちょっと、着せてよ」と言って、・・・次々に動物が、しかもだんだん大きい動物が来てチョッキを着てゆくものですから、とうとうそのチョッキは!!「うわー!ぼくのチョッキだ!」と嘆くねずみくんでしたが・・・・。

繰り返しの面白さと次々に現れる動物たちの予測できる行動に大喜びする子ども達です。幼い子供向けおはなし会あるいは、おまけのお楽しみとしておすすめです。
 


ねずみじょうど  [瀬田貞二・文/丸木位里・絵] 福音館書店

貧乏なじいさんがばあさんに作ってもらった、そばもちを持って山へ行きました。昼になって、包みを広げると、そばもちが山坂を転げ落ちていってとうとう小さな穴に落ちてしまいました。すると、穴の中からねずみが出てきて、じいさんをある所へ連れて行きますが・・・・。
ストーリーテリングとしても届けた昔話ですが、絵が素朴で味わい深い墨絵になっていて、抑えた色使いがいかにも浄土のイメージを浮き出していると思います。少人数のおはなし会に向いていると思います。



ねずみのおいしゃさま  [中川正文・文/大村百合子・絵] 福音館書店

大雪の降る夜中、ねずみのお医者様に、りすさんの家からぼうやが熱を出していますから来てくださいと電話がありました。お医者様は、スクーターに乗って出かけましたが雪のため動かなくなってしまいました。そこで、かえるさんの家を見つけて休ませてもらうことにしました。翌朝は良いお天気で、急いで病気のぼうやの元へ急ぎます。さて、ぼうやの具合はどうだったでしょう?
ちょっと、とぼけた感じのねずみのお医者様や色んな動物さんたちのとの関わり合いが何とも言えない程、ほのぼのと伝わってきます。冬のおはなし会、低学年向きにおすすめです。
 


 ねずみのつきめくり    [谷川俊太郎・文/レオ・レオニ・絵] 佑学社

 レオレ・レオニの絵と谷川俊太郎さんの詩については、何も言うことはないでしょう。数多い動物の絵本の中で、ねずみの絵本が一番多いとのこと。子ども達もねずみが登場するお話は大好きですよね。だから、中々、選ぶのも迷う中、ねずみの視点で、描かれた「つきめくり」は、これはカレンダーとして飾っておきたいほどと、そんな事を思っているうちに、おはなし会の初めに毎月、1ページ毎に届けることを思いつきました。また、谷川さんの詩、ことばも楽しいですものね。
これで、ねずみ年の一年が毎回待ち遠しくなってくるんじゃないかと、勝手にほくそえんでいます。

好学社から新出版さrたのは、小型版になって残念な気がします。

ねっこ  [平山和子 作] 福音館書店

草の根は地面の下でしかっり根をはって草を支えています。そして、水や養分を吸っています。多くの至る所でしっかり大地に根をはっている雄大さと共に、根っこの大事な働きを見直させてくれるこの絵本から生きてゆくことの大切なヒントをも教えてくれているのを感じます。
6年生のお別れおはなし会で届けました。伝わったでしょうか?



ねぼすけスーザのおかいもの  [広野多珂子 作] 福音館書店

題名のように、いつもねぼすけのスーザのお話ですが、おばさんと二人暮らしで、スーザの両親はでてきません。おばさんとの関係もよくわかりませんが、スーザとおばさんの心の交流を描いたものです。

いつもはねぼすけスーザなのに、めずらしくこの日は早起きでした。働いてためたお金を入れた袋を握りしめ、ロバのサンチェスに乗って、丘を五つも越えて街まで買いものに出かけます。おばさんに、バースデープレゼントを買うためです。オレンジも、お人形もすてき。でも、一番すてきなものは、真っ赤な椅子でしたが、スーザのお金ではとうてい足りません。でも、一番大切なものを見つけることができました。そのプレゼントとは何だったでしょうか?スーザのプレゼントには、相手を思う大切な気持ちがたっぷりつまっていたのでした。 物語はスペインの農村になっていて、情熱的な国スペインの美しい背景も楽しませてくれます。

続編『ねぼすけスーザのセーター』『ねぼすけスーザとやぎのダリア』『ねぼすけスーザとあかいトマト』等があります。『ねぼすけスーザのセーター』もおはなし会で届けましたがここでは何と、おばさんの方がスーザの一番欲しかった、セーターをプレゼントします。そう言えば、スーザがおばさんにプレゼントした椅子の上に編みかけのセーターが置いてありますね。又、スーザがお気に入りのセーターを探して街をうろうろしているとき本屋さんのショーケースに飾ってある本は、『ねぼすけスーザのおかいもの』そして、その横には『ねぼすけスーザのセーター』もあります。そして、続編では・・・・。ちょっとした楽しいかくし絵の発見もまた楽しいものです。



 ノ
のはらうた  [くどうなおこ 作]  童話屋

自称「野原みんなの代表者」の工藤さんは元広告会社のコピーライターだけあって、ユーモアのセンスに富んだ素敵な言葉で、野原に住み着いている虫や鳥、動物、草花などのささやきや自然の息遣い等を小さな詩集として著されました。
まるで、本当に木や風までもがささやいているかのような言葉に子ども達は喜んだり、元気をもらっているかのようです。T、U、V、Wまであり、添えられたカットも楽しめます。
又、ほてはまたかしさんが素敵な色版画にされた『版画のはらうた』はT、U、V、W まで出版されており、これをおはなし会の導入として季節や行事にあったものを選んで、毎回届けています。1年生の朝読でも届けていますがとっても気に入ってくれたようで、図書室では「のはらうた」争奪戦が繰り広げられるほどの人気ぶりです。

2005年2月には、「のはらうた」20周年記念としてのはらうたわっはっはっ』が出版されました。これまでののはらのみんなが勢ぞろいしています。さあ、何人いるでしょうか?又、四季折々ののはらの広場も見ものですよ♪


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