≪絵本のおはなし≫おはなし会の中から…

おはなし会で届けた絵本の内容をここにご紹介します。
子供たちの様子を思い浮かべながら一つ一つ書き留めてみました。
一覧はBooksでご覧下さい。題名をクリックすると画像を見ることができる絵本もあります。





 カ
かあさんのいす   [ベラB・ウィリアムズ 作] あかね書房

家が火事で燃えてしまい、小さなアパートで暮らす、けなげな家族のお話です。
だから、ソファーも大きないすもありません。お母さんはウェイトレスの仕事で疲れて帰ってきます。そのお母さんに女の子とおばあちゃんは、ふかふかの大きな素敵ないすを買ってあげたいと願います。
ウェイトレスのお母さんは食堂からおおきいびんを持ってきてお金を入れるようにしていました。びんがいっぱいになったらいすを買いにいきます。・・・・それは世界中で一番素敵ないすです。
本当の幸せは何かとじんわりと伝わってきて、心が温かくなるお話です。

母の日を意識して5月に届けました。
このお話には続編として『ほんとにほんとにほしいもの』『うたいましょうおどりましょう』等があります。



かいじゅうたちのいるところ   [モーリス・センダック 作] 富山房

子ども達を楽しませるだけの絵本が多い中でセンダックは妥協を許さない、心の底にある根深い秘密等をはっきりと表しています。
それは愛する母親からの自立心から始まって・・・マックスに角がはえ、欲求不満の気持ちがページの囲みの大きさで表現され、窓から見える月の満ち欠けも欲求の満足度に対比しています。
だから、暴れ廻る頃には囲みがなくなり満月です。自立の旅に出て戻ってくる所は、やはり優しい母のもとですね。
その頃、お母さんは暖かい夕ご飯を用意していてくれてます。
角の帽子も脱いで、真っ白のページに「まだ ほかほかと あたたかかった。」が全てを語っています。
このお話が子どもに愛されるのはお話に入り込んで浄化されるからでしょう
か?


かえるがなくからかーえろ   [松谷みよ子・文/遠藤てるよ・絵] 童心社

わらべ唄の遊びの世界が絵本になった、心地よいリズムを奏でている、楽しい1冊です。
昔は、子守唄やわらべ唄で育てられた子どもも、現代になっては希薄で機械化されたメディアの中で育られている子どもが何と多いことでしょう。わらべ唄をもっともっと幼い時から届けてあげることの大切さをこの絵本から感じます。
「ことろ」なんて大人も知らない人が多いです。でも、初めは何?と言っていた子ども達でしたが黙って読んでもらううちにわかったようです。赤ちゃん絵本でありながら低学年の子ども達は、とても楽しんでわらべ唄の世界で遊んでいるのがわかりました。
さあ、おはなし会が終わると、「♪かえるがなくからかーえろ」と歌って帰って行きましたよ。


かえるだんなのけっこんしき [J・ラングスタッフ再話/F・ロジャンコフスキー絵] 光村教育図書

 このおはなしは、今から400年以上も前に、スコットランドで書かれたものだそうです。子どもに読むためというよりも、おじいさんやおばあさん、お父さんやお母さんが子どもに語ったり、歌ったりして伝わってきた楽しいうた絵本です。
かえるだんながでかけた・・・ねずみの家で・・・けっこんしきがまとまって・・・やってきたいろんな虫たち・・・動物たち・・・そして最後にやってきたおす猫で・・・かえるだんなの結婚式の楽しい一時を織り成すおはなしうたは、さくまゆみこさんの訳で、1956年度コルデコット賞を受賞した芸術的にも優れた古典的絵本です。音符もついているので、ついつい歌いだしたくなりますがここはリズミカルにさらっと読みました。
おはなし会の導入として届けてみましたが、ここはやはり歌って語るとか、もっと楽しむ方法があったら教えてもらいたいですね。


かえるのつなひき   [儀間比呂志 作] 福音館書店

沖縄の民話です。虫害で悩む村人のために、カエルたちが知恵を絞って稲についた虫を追い払うお話です。
そのためには大騒ぎをしなくてはならないというので、かえるのつなひきによるおまつりが始まります。とても、ユーモラスでひょうひょうとした沖縄らしい楽しさがあります。切り絵によるダイナミックな絵も見逃せません。
沖縄の言葉が独特ですが幼い子には難しいかもしれません。
小学校高学年向き、雨季のおはなし会におすすめです。



かおかおどんなかお  [柳原良平 作] こぐま社

楽しい顔、悲しい顔、いろんな顔が勢ぞろい。幼い子ども向けの絵本と思い、小学生のおはなし会には避けてきましたが
おはなし会の合間、しっかりとした骨太なお話の後にしてみるのもいいかも?
子ども達から、声がかかりみんなで考えたり、なるほどと頷いてみたりと大いに盛り上がりました。


かかしのぺーター   [バーナディット・ワッツ 作 ] 西村書店

かかしといえば秋を想像するでしょうか?でも、このお話は四季の変化が美しく表現されています。
小麦畑のまん中に立っている、かかしのぺーターは子供が大好きです。でも、子供が外へ出てきません。
とうとう、冬を終え、春になりましたが・・・温かみのある心に染みるお話です。
2月頃、春を感じる季節におすすめです。



かさ   [太田大八 作 ] 文研出版

字のない絵本で、白黒の中に鮮やかな女の子の赤い傘だけが、くっきりと描かれて美しい絵本です。
雨の中、女の子が一人で、お父さんの傘をもって駅まで迎えに行くまでの街並みを捉えながら、物語は進んでいきます。女の子の気持ちが、絵からほのぼのと伝わってきます。
そして、お父さんとの会話も聞こえてきそう・・・
やはり、雨の季節に読みたいですね。しっかりしたお話の合間におすすめです。



かさじぞう   [瀬田貞二・文/赤羽末吉・絵] 福音館書店

大好きな絵本です。瀬田さんの語り文と赤羽さんの絵が日本昔話の世界を暖かくゆるやかに描かれています。
殊に開かれた扇子のような形のどのページにも独特な墨絵の筆使いとゆったりとした、それでいてリズミカルな美しい言葉が溶け合っています。
おじいさんの人の良さ、それをよかったなと何一つ愚痴をこぼさず迎えるおばあさんの優しさ。
おじぞうさんのそりひきのうたの所は最も大好きな場面です。
雪の降る静かな冬のおはなし会には最適です。年初めのおはなし会でもいいですが出来れば、年末に。
1年の最後に届けたいおはなしです。



かさどろぼう   [シビル・ウエッタシンハ 作] ベネッセ

シビル・ウエッタシンハさんはスリランカの人でスリランカのお話を多く創られてますが、この絵本も実際にあったことを絵本にされています。
スリランカの島の小さな村では、まだ傘がありませんでした。雨の日にはバナナなどの葉っぱや袋や籠などで傘代わりにしていたようです。この村に住むキリ・ママおじさんは初めて町に出かけた時、傘というものに感激して買って帰るのですが、立ち寄ったコーヒー店の店先に置いた傘が盗まれてしまいます。
がっかりしたキリ・ママおじさんでしたが、再び出かけて、買ってみたものの買うたびにコーヒー店で狙われてしまいます。さあ、このかさどろぼうの正体は!?

スリランカの明るく陽気な人柄が悪も善にかえてしまうようなおおらかさを感じる楽しい絵本にすっかり子ども達はひきこまれて、最後のかさどろぼうの正体にも大笑いでした。
雨の季節のおはなし会に最適です。他に『きつねのホイティ』『ねこのくにのおきゃくさま
』なども人気があります。 (読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。


かしこいビル  [ウィリアム・ニコルソン 作] ペンギン社

動くおもちゃのお話は子どもの心を捉えますが、この絵本もその定番です。大切な物をいっぱいカバンに詰めておばさまに会いに行くため準備をするメリーですが、あれもこれもと詰め方も工夫してやっとのことで全部詰め込んで、出かけたはずでしたが、「なんと!!」大切なものを忘れてしまっていたのです。それは・・・
このカバンの中身の絵が遠目が効かないので、おしいなあと思いましたが、よくよく見るとなるほど面白いったらありません。また、ビルの洪水のような涙もいいですね。少人数のおはなし会に導入としておすすめです。


かぜがふいたら  [ルース・パーク・文/デボラ・ナイランド・絵] 塑北社

どこにでもいそうな「ジョシュ」という少年の得技は怖い顔をすること。それはそれは半端な顔ではありません。吠えている犬を追い払うほどの凄い顔です。お父さんは風が吹くと怖い顔がそのまま固まってしまうから注意するようにと言います。そして、これまでで、一番怖い顔になった時、風が吹いてそのままその顔が固まって元に戻らなくなってしまいましたから大変です。この怖い顔に子ども達は大笑い、特に結末には大爆笑です。
「うけねらい」のような絵本という感じも否めませんが、おはなしに慣れていない子、集中力に欠ける子が多いおはなし会にはおすすめです。


かぞえうたのほん   [岸田衿子・文/スズキコージ・絵] 福音館書店

「すうじさがしかぞえうた」「すいぞくかんかぞえうた」「へんなひとかぞえうた」等を中心に届けましたが、全部で、6つの数え歌が収録されています。ことばあそびは疲れた心の肥やしになりますね。
子ども達と一緒に思いっきり笑いながら楽しみました。 



かたあしだちょうのエルフ   [おのき がく 作] ポプラ社

 アフリカの昔話のようなお話ですが、日本の方の創作というから驚きです。おのさんがアフリカの草原と、バオバブの大樹と雲の風景写真から思い立ったようです。広々とした草原の中に、生死をかけて共存する野生の動物達の中に、千メートルも走れるというだちょうの「エルフ」。子どもが好きで、誰からも愛されるのは、正義感溢れ、天敵から仲間を守る為に果敢に挑んでいく姿は気持ちの良い位、雄々しいのです。そんなエルフがライオンと戦い、片足を失ってしまったことから、エルフに悲しみの日が訪れます・・・・

抑えた配色の中に壮大な草原と動物達、アフリカの風景の拡がりがイメージできます。優れた一冊でしょう。ただ、集団で読むには文の調整、読みに気をつけることが必要です。(一文が長くて、文末が行頭にきている箇所が多く読み辛いため何度も練習が要ります)大型絵本があることを知り、早速届けてみました。一層迫力があって、大勢で楽しむことが出来ました。大人数のおはなし会では絶対に大型絵本がお薦めですね。


かっこからんこからりんこん [川崎大治・文/遠藤てるよ・絵 ] 童心社

幻想的な場面の中で、流れでる切なくて物悲しい不思議な者達のうたが胸に響いてきます。
「かっこからんこからりんこん・・・」
幼い子は怖がって小さくなっていました。「怖いよ。怖いよ。」
でも、これは本当はちょっと切ないお話なのですね。ですがあまり、おどろおどろしくないように届けたいと思います。流れ出る言葉をじっくりと噛締めてほしいから。

お話が終わっても、このうたの余韻がいつまでも残っています。やはり、夏のおはなし会がいいでしょうか?



カニツンツン   [金関寿夫・文/元永定正・絵] 福音館書店

何とも底抜けに明るくて、リズミカルで楽しさがあふれている面白さいっぱいの絵本でしょうか。実は金関さんは生死を彷徨いながらこの文章を書かれたというから驚きです。どんなに苦しい時でも遊び心を忘れないというおおらかなお心が感じられます。

アイヌの鳥のさえずりの声だったり、英語の幼児の言葉、三味線の拍子、インディアンの人の名前等‥の寄せ集めのカタカナ言葉は生き生きとしたリズムとなって楽しく響いてきます。
それを元永さんが明るい色彩としてまるで宇宙の彼方からやってきたUHOのように描いて、快い気持ちに浸れます。
骨太のしっかりしたお話の後等、合間のお話として最適です。子ども達も楽しんでくれました。



かにむかし  [木下順二・文/清水崑・絵] 岩波書店

さるかに合戦の昔話は、とても良く知られた伝承昔話です。色々変化して伝えらたり、地方によって多少、ストーリーが異なっているようです。絵本も多く出版されています。中でも、日本の昔話と言えば赤羽末吉さんの絵が代表的ですが、(赤羽さんのさるかに絵本もあります)清水 昆さんの墨絵を施した絵が私は大好きで、さるかに話といえばこの絵本が一押しです。お話も木下順二さんの心地よい言葉が、わらべ唄のように心に沁みてきます。
ただ、絵だけで文の全くないページは絵と文の調整をする必要がありますので、ストーリーテリングで届けられる方もいます。耳で聴いても心地よい、絵も素晴らしい1冊だと思います。柿の美味しい秋のおはなし会に最適です。


かぶとむしは どこ?   [松岡達英 作] 福音館書店

「ムシキング」好きの子どもにとっては、たまらないほどの一冊でしょう。「カッコイイ!」「飛んでるところ、もう一度見せて〜」・・・等等フィバーしてしまう子ども達でした。でも、中には「幼虫は気持ち悪い〜」と、顔をそむける子もいたりしてやはり、騒然。―夏の王者、かぶとむしって冬から春にかけてはどんなかな?―それを知りたければ、ぜひ、これをご覧あれ!
高学年の男子が特に喜んで釘付けでした。
3月に届けましたが(おはなし会とブックトーク)また、夏休み頃にも紹介したいかがく本です。


ガブリエリザちゃん   [H・A・レイ 作] 文化出版局

花がお肉を食べる話ってどこかで見て、聞いたことがありますがどこだったかしら?ああ・・ガブリエリザちゃんのことだったのね。
H・A・レイさんならではのお話といえます。そして、思いっきり楽しませてくれるこのお話は子ども達も大満足です。
あと1冊楽しめる絵本は?と迷った時におすすめです。



 カボチャありがとう   [木葉井悦子 作] 架空社

 ナンセンスなおはなしでユーモアたっぷりなのですが、心がぽかぽか温かくなるような不思議な絵本です。
カボチャがあるいていると、「カボチャたべたーい」と寄って来たものたちは、かたつむり、てんとうむし、こおろぎ、ねずみ、ちょうちょ、きりぎりす、くわがたまでがやってくるのですが、カボチャは一言いうのですね。そして、・・・
大胆に画面いっぱい描かれたカボチャと虫達が生き生きと描かれていて、ナンセンスでありながら、自然の摂理を感じます。
大人数のおはなし会に、お薦めです。子ども達が大きな口を開けて笑顔一杯の様子が印象的でした。


かぼちゃひこうせんぷっくらこ   [レンナート・ヘルシング・文/スベン・オットー絵] アリス館

おおくまくんとこぐまくんは、なかよし。なんだかわからないけど、植えてみた種から大きなかぼちゃができました。
かぼちゃへ引っ越して、海へ空へと楽しい旅に誰もがくまくんと一緒になって大空を遊泳しているのではないでしょうか?野を超え、山を超え、海を渡るイメージを大きく広げて・・・ぶっくらこ ゆったりこ と飛んでいます。
子供たちの心も飛行船に乗ってゆらりゆらりと揺れてることでしょうね。
かぼちゃのおいしい頃に届けてみたい(?)1冊です。



雷の落ちない村   [三橋節子 作] 小学館

三橋節子さんは、35歳の若さで癌で亡くなりました。彼女は「くさまお」と「なずな」という二人のわが子に絵本を残します。幼いわが子に、母として、母の心を伝えたい残したい一心で遺言ともいえる一連の童画を亡くなる前年の秋に描かれたようです。

これは、その童画のストーリーを「近江むかし話」の民話を元に創作されてます。彼女は雷獣に興味を持ち、湖の主の大ナマズの助言と草麻生「くさまお」の活躍をも加えてます。余命を力のある限り、ふりしぼって描かれたようですが描けてない白黒の部分が返ってこのお話に深みが加わり迫力感を抱かせるから不思議です。
滋賀の湖を思い浮かべながら、高学年に届けました。

併せて、梅原猛著『湖の伝説−画家・三橋節子の愛と死−』新潮社は一読の価値があります。



かもさんおとおり    [ロバート・マックロスキー 作] 福音館書店

実際にボストンで、あったカルガモ親子のお引越しの絵本です。これを読む度に日本でも皇居前のお堀のカルガモのお引越し場面とだぶって想像します。
白黒(白こげ茶?)だけの色使いで大きく描かれたボストンの風景とかもさんの道中にハラハラしたり、安心したり心ゆくまで楽しませてくれます。マックロスキーはカルガモを実際に自分の浴槽に浮べて、写生をしたというエピソードに感心と同時に想像したら吹出してしまいます。さすが良く描けていると偉そうに思ってしまいました♪
長年読み継がれてきたロングセラーの絵本です。

このお話は2歳児には絶対難しいと思っていましたが、おはなし会で何と2歳の子がこの絵本を持って帰るのだと泣いて放しませんでした。お母さんが本屋さんで買ってあげるからと言ってもこれでないとダメだと言います。今、読んで貰い楽しい時間を過ごしたからこの子にとっては唯一の1冊になったのですね。嬉しい悲鳴でした。春の季節に



からすたろう   [やしま たろう 作] 偕成社

随分前の日本のお話ですが、描かれてあることは古くさく感じません。 山の小さな小学校へ、新しく赴任してきた熱心な若い男性教師と子どもたちのお話です。
その先生は、クラス中に無視され続けていた「からすたろう」と呼ばれる子と時間をかけて話をしました。 風変わりで無口でいじめられっ子の彼が6年生最後の学芸会で<からすの鳴きまね>をしたときから 村の人たちはなんとなく、うやうやしくその子に挨拶するようになるのです。

いつの時代にも人が幸福でいるためにはその人自身が認められることが大切であることを実感します。 そして、どんな人とめぐりあったかによって、人の生き方に影響する事ってありますね。この絵本から真の教育とはということも考えさせられます。
卒業前の6年生、高学年おはなし会でしました。静かに聞いてくれました。



ガラスめだまときんのつののヤギ   [田中かな子・訳/スズキコージ・絵] 福音館書店

おばあさんが大切に育てた麦をヤギが食べ散らしてしまいます。そこでおばあさんは助けを請いにいろんな動物達に話します。さて、クマもオオカミもかなわなかったヤギを、最後にはハチが挑むのですが・・・。
積み重ね言葉の繰り返しとスズキコージさんの力強い筆運びの絵がお話をいきいきとひき立てています。みんなで楽しんだおはなしです。



からだっていいな   [山本直英・文/片山 健・絵] 童心社

「こころ」を謳ったものが比較的多い中で、体のことを見つめるとても素敵な絵本です。
心が疲れているとき、体は信号を送っています。そんな時の「がんばり」はいけませんね。体あってのこと・・・よね。
からだっていいよね。地球といっしょに目が醒めて一日が始まる。当たり前のことなのにこんなに優しくそれでいて心がぽかぽかしてくる楽しい絵本。片山健さんの太いタッチの筆使いが一層、暖かくしてくれます。
やはり、ほっとする1冊として骨太のしっかりとしたおはなしの後で届けると効果的です。



からだのなかでドゥン ドゥン ドゥン   [あべ弘士 作] 福音館書店

これまでの「かがくのとも」より対象が小さい子にもわかり易くなった「ちいさなかがくのとも」創刊に拍手です。
いのちの音“鼓動”をこんなにも楽しくリズミカルにぴったりとした絵本に感動です。まさに、からだのなかから「ドゥン ドゥン ドゥン」と力強い音が規則正しく聞こえてきます。ひとも、いぬも、ねこも、らっこも、くじらも、いのちの音が聞こえてきます。ドゥン ドゥン ドゥン・・・・・ 
大きい子も小さい子も一緒になって「この響き」を感じて楽しみました。



カングルワングルのぼうし   [エドワード・リア・文/ヘレン・オクセンバリー・絵] ほるぷ出版

カングル・ワングルは不思議な人。いえ、人か動物か、妖精かここではわかりません。(子ども達の想像に任せたいと思います)ただ、いつも大きな帽子をかぶって(だから顔が見えないのです)クランペティの木の上で座っています。しかも、その帽子は毛皮やリボン、鈴などがいっぱいついてやたらと大きくて派手なのです。
本当にこれじゃ、顔なんて見えやしません!

ある日、クランペティの木を見つけたカナリヤがその帽子に巣を作らせてほしいとやってきます。そして、他にもたくさんの鳥や動物がやってきました。しかも、なんと見たことのないようなユニークで奇妙な者達まで!
「足指のないポブル」「「きらきらおはなのドング」「はったりネズミ」や「びっくりこうもり」等、カングル・ワングルの帽子をめざして、ゾロゾロと・・・・


オクセンバリーさんは、ジョン・バーニンガムの奥様というだけあって、なんとなくタッチが似ているような気もしますが、この作品はケイト・グリーナウェイ賞を受賞しています。
色鮮やかで見るだけでも、美しく楽しい夢のある絵本です。言葉も謳うようでリズミカルで絵と文が一体となって子ども達の心に溶け込んでくるような素敵な絵本です。でも、一体、カングルワングルはどんな顔をしているのでしょう?緑が美しい5月のおはなし会で楽しんだ1冊です。



かんちがい   [吉田 遠志 作] リブリオ出版

動物絵本シリーズの〈5〉アフリカ版です。アフリカという広大なそして野性の世界。厳しい自然の中で生きていくためには命に関わる過酷な現実に動物の母親は赤ちゃんを敵から守るために命がけで戦います。
食うか食われるか。でも、それのみではなく共存社会でもある事を忘れてはいけません。つまり、助け合うということです。違った種類の動物が自然の助け合いをしながら調和を保っているのですね。
平和な助け合いの世界でもあるということをこの絵本から感じられます。

但し、幼い子には難しいようです。血を見て「なんで、なんで」と呟いていました。小学校のおはなし会に向いていると言えるでしょう。



ガンピーさんのドライブ   [ジョン・バーニンガム 作] ほるぷ出版

ガンピーさんシリーズのドライブ版です。ガンピーさんが、子どもや動物たちを自動車に乗せて一緒にドライブにお出かけです。でも、車の中はぎゅうぎゅうです!途中、大雨が降ってきて、ぬかるみにタイヤがからまってしまい、車が動かなくなりました。
「だれかがおりてくるまをおさなくちゃあなるまいよ」さぁ、どうなるのでしょうか。
ガンピーさんのふなあそび』と平行して届けました。どちらも楽しいお話に子ども達の顔はにこやかです。



ガンピーさんのふなあそび   [ジョン・バーニンガム 作]  ほるぷ出版

同じくガンピーさんシリーズでこちらの方が初期のものでケイト・グリーナウェイ賞を受賞。
「・・ガンピーさんはふねをいっそうもっていました。・・・」絵本の良さってこういう所にあるのでしょうね。船は一艘と数えるのだと教えられても解からない子供でも、こんな風に絵と言葉が自然に一致してすっと入ってきたら、「ああ、そうなんだ。いっそうなんだ」と頷きます。

私も乗せてと次から次へお友達がやってきます。右側にはカラーのお友達。左側にはガンピーさんの船が細い白黒の線描きになっているため、ひょいとお船に乗り込む様子をとてもイメージできます。
そして・・・もう、子ども達は次の展開を予測してますね。出会って思いっきり、楽しい時間を過ごし、又、次回を約束して別れる。子供の世界に共通しています。
おしいことはやはり、細書きの部分が遠目がきかないこと。大人数のおはなし会では難しいと思います。



 キ
  [佐藤忠良 作] 福音館書店

『こどものとも』2001年2月号です。鉛筆デッサンのコブコブの太い木の幹が表紙に描かれています。そして、大きな木の写真。力強い詩と絵の中に人間の人生を重ね合わせ、美しくたくましく年輪を重ねていく木に魅せられてしまいます。地に大きく根を張る木の生命力、やさしさ、そういったものがこの絵本の中からこぼれています。
「ありがとう また くるよ」
いつか、復刻版で又、会いたいと思っていましたら2005年夏ハードカバーとして出版されましたから嬉しい。高学年におすすめです。



木いちごつみ   [岸田衿子・詩/山脇百合子・絵] 福音館書店

岸田さんが21世紀に残す詩・小学生に暗唱させたい詩を山脇さんの絵で素敵な絵本となりました。
常に子どもの心を持ち続け子供の目線で書き続ける岸田さんと子どもに愛され続けている心和む絵を描かれる山脇さんとの絶妙なコンビによる子どものための詩の絵本です。
季節感も織り交ぜながら描かれていますので全部読まなくてもいいと思います。おはなし会の初めに一つあるいは二つほど、季節に応じた詩を選んで届けてみました。
子ども達の心もおはなしの世界に入る準備がすんなりと整ってにこにこ顔で聴いています。



きこりとおおかみ―フランス民話   [山口智子・文/堀内誠一・絵] 福音館書店

おなかをすかしたオオカミが森のはずれにある、きこりの家に食を求めてやってきます。家の中では、おかみさんが煮えたぎったすかんぽのスープをしゃくしでかき混ぜていました。オオカミに気付いたきこりは難を避けるためオオカミの頭にスープをかけるように、おかみさんに言います。頭にやけどをしたオオカミはその場から逃げ出しますが、1年後仲間を従えたオオカミが又やってきて・・・。

「すかんぽ」の意味は子ども達に説明をしてから読みました。「きこり」の意味も解からない子がいて、後で説明しましたがやはりちょっと初めから説明すればよかったのかなと反省しました。読書体験の豊富な子なら解かると思います。
堀内さんの迫力ある絵がとにかく素敵です。特に、木に上ったきこりの目線で描かれたオオカミの群れ、しなった木などの遠近感溢れるダイナッミクな構図は一層、お話の緊迫感・臨場感を盛り上げています。
冬のおはなし会で大きい子向けに最適だと思います。



きつねとねずみ   [瀬田貞二・文/山田三郎・絵] 福音館書店

三びきのこぶた』コンビで創られた、やはりオレンジを基調とした落ち着いた色合いで線の細かい丁寧な絵が本物を感じさせてくれる絵本です。
大自然の厳しさ、営みが「きつねとねずみ」から伝わってきます。そして、普段は目にすることがない土の中の世界が正確に描かれていて、ねずみの巣穴がとっても居心地よさそうです。
小さい子も充分楽しめました。それにしても、きつねはここでもまぬけ? 
 


きつねにょうぼう   [長谷川摂子・再話/片山健・絵] 福音館書店

日本の昔話にはきつねが人間に化けるお話は多いものです。ましてや、雨の日の「きつねの嫁入り」と伝えられるほどに伝承話が到る所にあります。他の動物では、蛇や有名な話には「鶴女房」といったように恩返し物語や「雪女」のような類として似通ったお話が各地に散らばっています。

このおはなしは馬鹿げた話でも悲劇でもなく、なぜ、きつね女房がやってきたのかわかりませんがやはり、雨の日に男の家にやってきて働くうちに嫁になり「ててっこうじ」という男の子を産み育てるうちに、きつねとばれてしまった途端に山へ姿を消してしまい、残された男と「ててっこうじ」はそれでも幸せに暮らすことができたのは「鶴女房」のような禁止事項がなく、偶然にもばれてしまったという経緯の違いからなのでしょうか。悲劇で終わらないめでたしめでたしで終わりながら、片山さんの力強い筆のタッチ(特に、つばきの花が咲き乱れる絵は素晴らしく美しい)と長谷川さんのわらべうた調の言葉が一体となって情感溢れるおななしにすっぽりと溶け込むことができます。
「何度も届けてみたいおはなしだな」とおはなし会後に頷かされました。晩秋から早春のおはなし会に最適です。


きつねのホイティ   [シビル・ウェッタシンハ 作] 福音館書店

スリランカ人のシビル・ウェッタシンハさんの楽しいお話の訳を書かれたのは東京子ども図書館の松岡享子さんです。やはりスリランカを舞台として、きつねのホイティと3人の奥さんとの間に繰り広げられる、楽しいやりとりの中で笑いの中にもスリランカの生活を知ることができます。
スリランカの衣装などの美しい絵も印象的です。ホイティの歌とそれに負けじとやり込めるスリランカの知恵ある女性の歌は絶妙で楽しませてくれます。
「頭もよけりゃあ、気前もいいのさ」の如く、人を騙す事は悪い事。でも、本当の賢さは心の広さと感じることができる絵本です。

少し、長いお話ですが子ども達は飽きずに最後までのめり込んでいました。
おはなし会の中心になる絵本の1冊といえます。



木のうた     [イエラ・マリ 作] 福音館書店

イエラ・マリ独特の字のない絵本の世界。木の1年を通して自然界の美しさをページめくる毎に、奏でる鳥や動物達の詩が聞こえてきそうな素晴らしいストーリー。
字がなくても物語を感じ、一つ一つに子ども達は目をやり、声をあげていました。これぞ芸術性の高い絵本といえるのでしょうね。もうじき、春という時期にどうでしょう?



きのみのケーキ   [垂石眞子 作] 福音館書店

もりのおくりもの』3冊セットの内の1冊です。森に住む動物と森の木のほのぼののとしたお話。たぬきさんは森で拾った木の実でケーキを作りました。それを森の仲間たちと一緒に食べようと皆を呼んできます。ところがいつのまにかそのケーキは消えてなくなっていました。さて、誰が・・・?
予定していたプログラムが早めに終わって、おまけの1冊に『もりのふゆじたく』とともに届けました。小型本なので少人数向きのおはなし会向きと言えます。たぬきさんは子ども達の人気者ですね。



キャベツくん   [長 新太 作] 文研出版

なぞ解きナンセンス的なキャベツくん。「ぼくをたべるとこうなる!」と言って次々に変化していく ブタヤマさんの様子が見ものです。黄色と青を基調とした色合いから明るくて奥深さが感じられます。
低学年のおはなし会で届けましたが、とても子ども達に人気のある絵本です。



きょうはなんのひ?   [瀬田貞二・文/林明子・絵] 福音館書店

子どもの世界の遊び心たっぷりの楽しいお話。宝探しのように紙に書いたメモの行く先には素敵な「きょうは何の日か」という秘密が待っていました。
そこへ辿り着くまでの細部に渡って描かれた一つ一つの絵にじっくり眺めて見ていたい気がします。
とっても幸せな気分にしてくれるこの絵本は、家族や友達、兄弟というように身近な集まりで本当に小さなおはなし会に向いているのかもしれません。やや、遠目もきかないように思います。でも、とても心があったまるお話だけに届けたいですね。



きょうはみんなでクマがりだ   [マイケル・ローゼン・再話/ヘレン・オクセンバリー・絵] 評論社

 きょうは朝から上天気。赤ちゃんも入れて5人の狩人家族と犬一匹がクマがりに出かけます。みんなで行けばこわくない!?草原、川、沼地を通り・・・元々この絵本は子ども達のあそび歌になっていたそうです。確かに、繰り返しのリズミカルな擬態語がふんだんにあって、楽しいですが、読みにはそれなりの工夫が必要で、少々難解かもしれません?
文と動作が生き生きとしていますので、それを損なわないように伝える読み方に訓練が必要でしょう。でも、大人数で、又は家族で楽しめます。おはなし会としては、冬がお奨めです。


きょじんのおまつり   [マックス・ボリガー・文/モニカ・レイグルーバー・絵] ほるぷ出版

丘の上に大きな巨人と小さな巨人が住んでいました。ある日、巨人まつりで競争することになったのですが、とても小さな巨人に勝ち目があるとは思えませんが・・・。
ダイナミックな絵とお話が一つに溶け合って楽しめます。それにしても・・・巨人にも大きい、小さいがあるのですね?知らなかった!
「大きい・小さい」のブックトークで届けた後、公民館のおはなし会で読みました。



巨人のはなし―フィンランドのむかしばなし―   [マルヤ ハルコネン・文/ベッカウオリ・絵] 福武書店

やはり、「大きい・小さい」をテーマにブックトークで紹介したお話です。巨人の話ばかり13話収録されてます。
北欧の昔話は巨人、トロルとかいったものが多く出て来ますが、子ども達はこういったお話に大きい男の子ほど好みます。この中から、1つ選んで届けてみてはどうでしょう。
朝の読書の時間にもおすすめです。



きょだいなきょだいな   [長谷川摂子・文/降矢なな・絵] 福音館書店

「あったとさ あったとさ ひろいのっぱらどまんなか・・・こどもがひゃくにんやってきて・・・」
さあ、その後から本いっぱいの大きさのピアノや電話、扇風機などが出てきます。テンポのいい繰り返しに子ども達は一緒になって声を揃えて大合唱です。 えっ、閻魔大王様のところは、ちょっとテンポが違いますか?
私はあんな大きなトイレットペーパーがあったら当分買わなくていいな(主婦ダ!) と言ったら「どこにしまっておくの?」と突っ込まれてしまいました。
黒いダイヤル式の電話機もこれまたいいですね。携帯電話の現代には貴重ですよね。 そう言えば、可愛いきつねが各ページに出てきますが知ってました? 大型絵本でしっかり楽しみました♪



 きよぼうきょうはいいてんき     [白石清春・文/西村繁男・絵] 福音館書店

縁側ではっているきよぼう(作者の子供時代)を、お母さんは庭にござを敷き、座らせます。そこから暖かい陽の光を浴びて、脳性小児マヒの「きよぼう」が見た世界を映し出した絵本です。
ここでは、あまり聞きなれない(私が使わない、知らないだけかもしれませんが)擬態語が使われています。でも、それがとても新鮮に感じられたり、状態がよくわかって適切な表現に感じ取られます。例えば「ずっぴらこ ずっぴらこ」、そよかぜが「そゆるん そゆるん」といった風に・・・。
きよぼうの目線から見たアングルで捉えてますので、周りの虫達がとてつもなく大きかったり、その遠近感や感じ方は、あの子(脳性小児マヒのいとこ)もこんな風だったのかな〜と、ちょっと遠い昔を思い出してしまいました。
小学生の子ども達のおはなし会で届けましたがペーパーバックなのがおしいいところです。


きれいずきティッチ   [パット・ハッチンス 作] 童話館

お母さんのティッチを褒める言葉から始まります。「ティッチの部屋はなんてきれいなんでしょう」と。それにくらべて、お兄さんとお姉さんのの部屋は、ゴチャゴチャとモノであふれかえっています。
お母さんに片付けをするよう言われ、小さなティッチも手伝うことになりました。いらないものをすっかり引き受けてしまったティッチのお部屋は、大逆転!描かれている部屋の様子、おもちゃは見ているだけでも楽しいです。子どもは本来、散らかっている部屋は大好きなんです?!

ティッチ』とは出版社が違うのですが、訳者も違う絵本2冊を並べてどちらを読むか悩みました。星川奈津代さんとつばきはら ゆきさんの訳のこの絵本。それぞれ一長一短があります。星川さんは兄姉が「ピートとメアリ」に対して、つばきはらさんは「ピーターとメアリ」になっています。『ティッチ』のシリーズということから鑑みて、星川さんを採用しましたが所々の文章表現によっては、つばきはらさんの方がいいと感じる所もあります。
低学年おはなし会で届けました。やはり「部屋の絵」には興味津々な子ども達でした。



ぎんいろのクリスマスツリー   [パット・ハッチンス 作] 偕成社   

りすは、クリスマスがくるので、自分の木を一生懸命飾り付けました。ひいらぎ、つた、きいちご、まつかさ、くるみ等、森の木の実をふんだんに使って自然の美しいオーナメントの飾り付けでした。夜にはツリーの上に美しい銀色の星が出ましたが、朝になるとその星は消えてしまっています。誰がその星をとってしまったのかとりすは探しに出かけます。
ハッチンス独特のおさえた色彩(赤、緑、黄、青)でありながら、とても美しいクリスマスツリーとリスが星を探し求めて友達の元へ廻りながら、思いめぐらす繰り返される一つ一つのことばの連鎖に子どもの心をしっかりと繋げています。
さあ、星はどこへ?そして、素敵なクリスマスの贈り物になったのでしょうか?
子ども達に人気のある『ティッチ』や『ロージーのおさんぽ』のハッチンスらしい絵本です。
ただ、大人数の集団の中では、やや遠目がきかないのが残念な気がしましす。


 きんのたまごのほん   [マーガレット・ワイズ・ブラウン・文/レナード・ワイスガード・絵] 童話館

 昔、ひとりぼっちの小さいうさぎが、たまごをみつけました。中身を想像しながら、それを割ろうと試してみます。
なんともその想像と動作が、可愛らしくてユーモアたっぷりです。しばらくして、自然に割れた、たまごから出てきたのは、何だったでしょう。
美しい花が大画面いっぱいに広がる中で白いたまごの形。その中で又、たまごのおはなしが繰り広げられるという美しい絵と織り成すあたたかなお話が優しい気持ちにしてくれます。

「きんのたまご」にはどんな意味があるのでしょう。
そう言えばイースター(復活祭)にペイントしたたまごが使われますが、この表紙も、リボンと花できれいに飾られた大きなたまごが描かれています。ラストの「わたしは、ここにいます。」という言葉とも関係があるように思われます。

読み終わった後の子ども達の顔も、どこかふんわりしたやさしい顔になっていたように感じました。
春のおはなし会に最適でしょう。


 ク
クイールはもうどう犬になった   [このせたまみ・文/秋元良平・写真] ひさかたチャイルド

「かしこい動物」をテーマにブックトークした1冊です。文字通り、盲導犬になるまでのクイールという名の犬の実話で写真絵本です。
生まれてから里親で可愛がられ育ち、盲導犬訓練所に移り訓練され盲目の人のために目となるやさしさをも併せ持ったクイールを通して人間としての心の目が明るく開かれることの大切さを感じます。実際に子ども自身が手にとって感じてほしいと思います。

もうどうけんドリーナ』 [土田ヒロミ 作/福音館書店]も1年生の朝読で届けました。


くいしんぼうのあり   [クリス・バン・オールスバーグ 作] ほるぷ出版

女王アリの食べ物探しの群れからはみ出た「くいしんぼうのアリ」2匹のちょっとハラハラする冒険物語です。
“色彩の魔術師”と呼ばれるアメリカの絵本作家が版画風のタッチで、視点をアリから見た人間の世界を描いていて、「これは面白い」とアリになったようにのめり込んでしまいました。きっと子ども達も同じだったのではないかなと思います。

「すごいしらせがやってきた・・・」という出だしからも「なになに?!」と気持ちが一点に集中します。翻訳もすばらしいと思ったら『はなをくんくん』や『ピーターシリーズ』などを翻訳されている木島 始さんです。木島さんは小さな子どもが耳から聞いただけでも筋道がわかるように英語をそのまま日本語にするのでなく、日本語の物語として組み立て直おしをされたと言われますからさすがです。
映画『バグズライフ』や『アンツ』はこの絵本がヒントになったという噂もありますが・・・?


くすりになるくさやき   [田畑 一作 作] 福音館書店

七草の紹介から始まって、薬草の効用を落ち着いた配色で自然の草花の絵を見ながら、楽しく学ぶ事ができます。
普段は、みかけない山の実や何気なくみていた草花の実は食用で薬にもなること・・・。
当たり前に美味しく食べていた果物にも、実は・・・。こんなにいっぱいある、やくにたつくさやきを楽しく知ることができるかがく絵本です。
1月、高学年のおはなし会で届けました。興味津々で聞いてくれていた子ども達の顔が印象的でした。



くさる   [なかのひろたか 作] 福音館書店

こんなに良い絵本が絶版とは残念です。6月頃の雨季に入る頃に届けたい1冊です。
食べ物の臭いは、主婦にとって悩みの種の一つ。子どもだけに限らず、家族で環境問題を考えたり、資源のリサイクルを知るきっかけにもなります。それに、楽しく学べれて一石二鳥です。文章も簡易で楽しめます。



くった のんだ わらった   [内田莉莎子・再話/佐々木マキ・絵] 福音館書店

ポーランド民話の民話です。牧場のひばりの巣をおびやかすもぐらから卵を守るため、おおかみに助けを求めにいきますと、おおかみはごちそうをしてくれるのならという条件で引き受けてくれました。 ひばりは結婚式の宴に飛び込んで、人々を外に誘い出し、そのすきにおおかみは、ごちそうを平らげてしまいました。「ああ  くった くった。」と満腹のおおかみは次に喰ったら、喉が渇いて次はビールを飲ませろと言います。そして、「のんだ」後に今度はおかしいものを見せてくれたらと言います。
なんて図々しいおおかみにひばりは・・・・
民話の世界でも、佐々木さんの味のあるおおかみが大活躍です。おおかみのわらった顔といっしょに子ども達も大笑いです。給食後の昼休みのおはなし会でしたから、本当に「くった のんだ わらった」ような楽しいおはなし会になりました。

くまげらのもり   [手島圭三郎 作] リブリオ出版

極寒に生きる生きもの、くまげらは、からすほどの大きさのきつつきです。これは、そのくまげらの子どもが巣立ちするお話です。
人間の子供も自立する時は勇気や不安がつきまとうもの。親から促されても初めは怖くて、何かにしがみついたり、見慣れない世界に怯えたりします。でも、そういうことを乗り越えて一人前になっていくのですね。
他に『くまげらのはる』もあります。
小学校のおはなし会で届けましたが、版画絵の素晴らしさもあってか見入っていた子ども達の顔が印象的でした。



くまのコールテンくん   [ドン・フリーマン 作] ほるぷ出版

くまのコールテンくんは、おもちゃ売り場で、自分をつれっていってくれる人を待っています。そして、コールテンくんに目をとめてくれたひとりの女の子が現れました。でも、おかあさんはボタンが一つとれてると首をふって許してくれません。
子ども達は、コールテンくんの冒険と出会いに喜び、大いに楽しんだお話です。そして本当の友だち、友情が生まれる事の喜びを感じた子がいたと思います。だからこそ子ども達が大好きな絵本といえると思います。


『コーちゃんのポケット』では、その女の子リサとお母さんとで、せんたくやさんに行った時のお話です。コールテンくんは「コーちゃん」と呼ばれて、どこへでも連れて行ってもらえて、すっかり家族の一員のようですね。ポケットをほしがったコーちゃんの大騒動が面白くて愛らしい。
おはなし会に来てくれた子ども達も、このコーちゃんのお話にとても楽しんでいましたね。


くまのビーディくん   [ドン・フリーマン 作] 偕成社

ドン・フリーマンの絵本にはテディベアを題材にしたものが多いです。この、くまのビーディくんもそのひとつです。
セイヤーという男の子が持っているくまのおもちゃの名前です。ある日、ビーディーくんは、くまの住むほらあなに行ってみました.けれども、何か足りないようで、落ち着いて過ごすことができません・・・。
このお話も真の友だちの大切さを教えてくれていると思います。さて、子ども達はコールテンくんとどちらが好きでしょうか?



 くもさんおへんじどうしたの   [エリック・カール 作] 偕成社

くもが糸をだして巣を張るまでを、エリック独特のコラージュでくもと巣と獲物のはえは指で触ると盛り上がる手法で描かれています。
馬や牛、ヤギ、ブタ、犬、ねこ、あひるなどがくもに色々と言って誘いますが、くもは返事をしません。巣つくりに忙しいのです。そして、とうとう巣ができあがり、おんどりがけしかけた時には、くもはすでに獲物を掴まえていました。
ちょっとしたエリックさんの遊び心がいつものことながら楽しい。さて、最後のページを見ると次に、くもが狙っているのは?
くものおはなしの後にちょっとしたおまけのような感覚で届けてみました。ほっとする楽しい絵本ですね。


くものこどもたち   [ジョン・バーニンガム 作] ほるぷ出版

ジョン・バーニンガムの晩年の作品だと思います。子供に徹底的な味方であった彼の作風に少し変化が顕れた時期の絵本でしょうか。
独特の写真やエッチングを上手く取り入れてとても芸術的な絵本です。
とても、迷いました。この絵本を選び読むにあたって・・・。でも、本来は子どもが好きな彼の考えの基に立ったお話しと感じます。遥かなる未知の世界、雲の中で遊んで又返って来る子ども達の夢を謳っていると感じます。



雲のてんらん会   [いせひでこ 作] 講談社

「おおい、雲どこへ行くんだ?」と、声かけたくなるような絵本です。いえ、まさしく展覧会の絵のよう。
「私たちは空の底に棲んでいて、泣いたり、笑ったり、考えたり、かぜをひいたり・・空のあちこちにも風は吹いていて、雲が毎日、空の地図をかきかえている。・・・額縁のない空の展覧会。私は目を細めては空のやぶれなんかをさがしている。」
雲の百面相がとても美しく描かれています。「どこかに、あのこがかくれているよ・・」と、遊び心も忘れずに。
私は「天使のはしご」が好きです。(別名:ヤコブの見た夢)
「雲」をテーマにしたブックトークで紹介しました。又、おはなし会の初め、導入としても届けました。 



くりくり  [ひろかわさえこ 作] アリス館

 「ことばであそぼ」と副題がついているほどに「くりくり」のくりかえし言葉遊びの連鎖が楽しい。絵も愛嬌のあるくりが何ともいえなく愛らしい。
「くりくりのくり ゆっくり ずんぐり むっくり そっくり ぱくり ばくり たべまくり・・・・・」
ちょっとしたおはなしの合間、おまけのほっとした一冊でしょう。幼い子向けのおはなし会にも最適です。


クリスマスがせめてくる   [小野かおる 作] 福音館書店

山の奥の森に住んでいる、くまのこどものぷうたとぷうまはクリスマスもサンタクロースもまだ知りません。春まで家の中で眠ろうとしていたこぐまたちは外のにぎやかな音に目を見合わせます。
外に出てみるとさあ、大変な事になっていました!そこで、・・・少しでも強く見えるようにと意気込むこぐまたちの愛らしくて滑稽な姿に笑みがこぼれます。
さて、村の広場でこぐまたちが見たものは・・・・。夜空に上がる花火は外国のお話のようにも思えますが。ほのぼのとしたクリスマスのお話です。
もちろん、クリスマスおはなし会に届けました。



 クリスマスにはおくりもの   [五味太郎 作] 絵本館

サンタクロースが今年も贈りものをもってやってきて、靴下に入れるのは当たり前の話ですが、その靴下には「サンタクロースへおくりもの」としてあったから、サンタクロースは大喜びです。いつも贈ってばかりいるサンタさんもたまには贈り物を貰いたいと思っているのかも?プレゼント交換をしたサンタクロースが自分の家でしたことがくすっと笑いを引き出します。与えるばかりでなくもらう喜びを知ったサンタさんの幸せなことといったら♪
素敵なクリスマスのお話です。
小さな子から大きい子向けクリスマスのおはなし会に最適な1冊でしょう。


クリスマスの12日    [エミリー・ボーラ 作] 福音館書店

 英語圏の国で、マザーグースの積み重ね唄として親しまれたものをCD付きでクリスマスにたっぷり楽しむ絵本です。12月25日から1月6日までの12日間。12日間もクリスマスが続き、お祭りのようにどんどんふしぎな贈り物がどんなものが増えていくのか、馴染みのない日本の子らにとっては楽しむと言うより興味津々でじっくり見て聞き入る絵本かもしれません。
クリスマスおはなし会で届けてみました。一度では少々むずかしいでしょうから、これは家庭に持ち帰り、繰り返し繰り返しで楽しんでみたい絵本でしょうね。


クリスマスのまえのばん   [クレメント・C・ムーア・文/ウイリアム・W・デンスロウ・絵] 福音館書店

静かな静かな、クリスマスらしいわたなべしげお訳の物語風の詩の絵本です。
クリスマスのまえのばんです。サンタらしき人とトナカイが「しごと」をしています。その人は、どんなおしごとでしょう?サンタ伝説はここから広まったのですね。

全く装丁が異なる同名の絵本『クリスマスのまえのばん』は中村妙子訳で偕成社から出版されています。落ち着いた雰囲気のあるこちらの絵本に比べて豪華で明るい感じがするでしょうか?それぞれの好みに合わせて、クリスマスおはなし会に届けてみてはどうでしょう。 



ぐりとぐら   [なかがわりえこ・文/おおむらゆりこ・絵] 福音館書店

子ども達の大好きな絵本の一つ。のねずみのぐりらとぐらについては何の説明も要らないでしょう。ぐりとぐらの青と赤のお揃いのつなぎ服が印象的で真似たがる子もいるとか・・・。
カステラを食べる場面などはもう動物達と溶け込んでお話をおいしそうに食べています。
大型絵本も出版されていますので図書館などで借りてきて届けたら最高のおはなし会ですね。

他にも、ぐりぐらシリーズは数多く、出版されています。季節や行事に応じて届けてみるのもいいですね♪
読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。


ぐりとぐらのおきゃくさま   [なかがわりえこ・文/やまわきゆりこ・絵] 福音館書店

お馴染み、ぐりとぐらのクリスマスのお話です。森で大きな足跡を見つけたぐりとぐら。足跡をつけていったら自分達の家に辿り着きました。ドアには大きな長靴が!そして、他にも服や帽子等・・。さあ、このお客様は一体、誰だったでしょうか?相変わらず、動物達がそろって、食べたりする場面は羨ましくて、子ども達もいっしょに絵本の中にもぐりこんでいることでしょうね♪

クリスマスおはなし会には大型紙芝居にして届けました。1年生の朝読は絵本でしたが、すでに、足跡の主を知っている子が大半で、口に出して知らない子に教えて楽しんでいる子ども達の顔が印象的でした。
1年最後の朝読の絵本となりました。
(ぐりぐら絵本は必ずといっていいほど歌がでてきますが、これは歌がありませんので、私は読みやすくて好きです。(^^ゞ)


くれよんのはなし   [ドン・フリーマン 作] ほるぷ出版

おもちゃ箱から飛び出しておもちゃたちが遊ぶ歌「おもちゃのチャ、チャ、チャ」のくれよん版のようにある日、くれよんたちが箱から飛び出して自由に絵を描きますが、島に立つ男の子の絵はどこか寂しげです。
くれよんたちはそんな男の子を喜ばせてあげようと考えますが・・・小型の絵本で重なりのくりかえしは幼い子ども達のために最適です。
おはなしは大きい子にも是非、届けたいおはなしですね。次はどうなるのと固唾をのんで見入っていた子ども達の顔が印象的でした。




くろいはかげさ  [ことばあそびの会・文/多田ヒロシ・絵] さ・え・ら書房

 しりとりうた、きりなしうた、つみあげうたの手作りうたです。つみあげうたはマザーグースの「これはジャックのたてたいえ」谷川俊太郎さん訳の詩やことばあそび絵本「これはのみのぴこ」などを思い出させるような楽しいもの。しりとりは、ちょっと普通のとは違う面白さがあり、きりなしうたは何かの替え歌のメロディになってしまうよう?
どれかひとつ、おはなし会の合間に楽しめる、場の雰囲気を和ませるに最適でしょう。


くろいマントのおじさん   [金森宰司 作] 福音館書店

ふしぎな黒いマントのおじさんがとりだした物は―変わった形の笛を取り出して吹いたり、気球を膨らませて・・・・
一体、この不思議なおじさんは何者?何のためにやって来たの?
ちょっとした夢を乗せて叶えてくれるこんな人がいてくれたら楽しいでしょうね。そして、さり気なく、しつこくない所がいい。ホッとする1冊でしょうか。
合間のおはなし、もしくはおまけの1冊としておすすめです。



くろうまブランキー   [伊東三郎 再話 /堀内誠一 画] 福音館書店

いじわるなご主人にいつも虐げられ、年をとっても働かされている可哀想なくろうまブランキー。
ある日大きな荷物を運べなくて、ご主人にぶたれて倒れてしまいました。そんなブランキーをサンタクロースが優しく介抱したことから、なんとサンタクロースのそりをひくことになったのです。ブランキーは幸せでした。とてもうれしそうな表情をしています。
この絵本はフランス・フレネ学校幼児グループの創作としてあります。子ども達のブランキーに対する思いに心が温まります。
もちろん、クリスマスおはなし会にて届けました。



くろねこかあさん   [東 君平 作] 福音館書店

ページ毎に三行詩のように優しく謳われた、くろねこかあさんと六匹のこねこのお話。
白黒の切り絵にやはり、くっきりとした手書の文章が一層このお話を優しく包んでくれるよう。母子で楽しむのには最適な絵本だと思います。


くわずにょうぼう   [赤羽末吉・絵] 福音館書店

日本の昔話で最も怖いお話?女房に化けた山姥の頭から大きな口がザクッと現れる場面は恐ろしくて、思わず身震いする子供もいたりします。でも、子ども達は怖いお話が大好きです。
赤羽さんの絵がおはなしのイメージと一致してよく描けていますので、絵本でも充分楽しめますが、おはなしに慣れた大きい子には、ストーリーテリングで届けても喜びます。
5月、「子供の日」の頃に最適です。 (読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。



くんちゃんのはじめてのがっこう   [ドロシー・マリノ 作] ペンギン社

くんちゃんシリーズの内の1冊です。くまのくんちゃんがはじめて学校へ行く様子と学校での出来事が優しい先生とのエピソードを中心に描かれています。
こんな学校と先生だったら新入生は何の不安もないでしょうね。新1年生の不安を取り除いて期待と喜びを与えてくれる絵本です。
やはり、新学期の頃、新入生対象のおはなし会に届けたいお話です。小学校のおはなし会で1年生がはじめて集うおはなし会でしました。学校って楽しい所と思ってほしいという気持ちで届けました。
少し、線が細いので大人数のおはなし会には不向きだと思います。



 ケ
けんかのきもち   [柴田 愛子・文/伊藤 秀男・絵] ポプラ社

まず、表紙の絵がいいです!寝っ転がって涙を流しているタイ君のからだ全体が燃えているように描かれています。絵本を逆さまにしても、どちら側から見てもいい。「遊び島」という場所からして子ども達にとっては羨ましいような素敵な生活の場になっています。その「遊び島」から繰り広げられる子どもの世界から、本音で真剣な子どもの気持ちがストレートに爆発します。

喧嘩する時ってこんな風に子どもはまっすぐなのですね。そして、喧嘩が終わってからの気持ちも生き生きと描かれています。仲間が作った餃子の味はさぞ美味しかったでしょうね。喧嘩をすることで出来る信頼関係ってかけがえのないものですね。子ども時代が羨ましくも思えます。
子ども達も共感できるお話に食い入るように見ていました。ギャングエイジと言われる3、4年生におすすめです。
続編に『ぜっこう』『ありがとうのきもち』『ぼくはいかない』(2003年4月)があります。



げんきなマドレーヌ   [ル-ドウィッヒ・ベーメルマンス 作/瀬田貞二 訳] 福音館書店

マドレーヌシリーズの最初の1冊で好きな絵本です。表紙も裏表紙も全く同じというのがまた面白い。風景や建物も写生された絵のようなのでパリの街並みをも味わうことができます。
おしゃまなマドレーヌの様子に瀬田さんの切れ味深い文章がマッチしてます。普段は厳格なのですが本当は心優しいミス・クラベルの性格も感じられる温かい絵本ですね。
冬のおはなし会におすすめです。
マドレーヌといぬ』や『マドレーヌのクリスマス』などもありますが後者は役者や出版社が異なって雰囲気が変わった感じになっています。ぜひ、比べて見てください。外国絵本は訳によって随分と左右される事がわかります。



 コ
こいぬがうまれるよ   [J.コール 作/J.ウェクスラー写真] 福音館書店

「いいこと おしえてあげようか?」で始まる白いページに書かれた一行にワクワクした気持ちで何々?と次のページに期待をもちます。そして、ページをめくると・・・子犬の誕生の実際を写真で見る「うまれる」様子に驚きよりもこんなにも神秘で感動的なものなのだと伝わってきます。

写真は白黒で、表紙のみセピア色になっているのは、リアルに伝わる事はかえって逆効果になりかねないという作者の意図をも感じますが、無条件で効果的です。身近な愛らしい子犬の誕生を通して、命の尊さを伝えようとする作者のやさしさ、気遣いが感じられます。
そして、文章も、物語になっているので又一段と心に沁みこんで優しさいっぱい包まれた気持ちにさせてくれます。「・・・わたしのいぬ。これからはいつもいっしょ。いっぱいいろんなことしてあそぼうね。」
「いのち、生きる」をテーマにブックトークでも届けました。



 こいのぼり   [英 伸三・写真/長谷川摂子・絵] 福音館書店

子どもの日のこいのぼり写真絵本なのですが・・・・あれっ?雪の中のこいのぼり?ということは、東北のこいのぼり!
いえいえ、日本の各地のちょっと、これはまた珍しいと思われるようなこいのぼりを数々紹介されています。各地をめぐってこいのぼりを撮られた英さんに脱帽します!そう言えば、子どもの数だけその家にこいのぼりを泳がせたり、町ぐるみでまるで旗のように連ねたり、年中、案山子の役目をしているこいのぼりを知っていますが、さてさて、ここにはそんなこいのぼりがあるかしら?「エッ!」これは驚きました。だって、住まいから近い小倉競馬場公園のこいのぼりまであるのですよ!「近辺のこいのぼり」 に大興奮してしまいます。
もちろん、季節は5月初旬のおはなし会が最適ですね。


こけ子とこっ子  [よさのあきこ・作/つよしゆうこ・絵] 架空社

明治の歌人であり、大文豪家の与謝野晶子さんが書かれた珍しい絵本です。古風で丁寧な言葉使が散りばめられており、それは現代には忘れられた美くしい本来の日本語を知らされます。
現代っ子にはやや、かけ離れているかもしれない。でも、だからこそ絵本を通して知ってほしいという気がします。
のんびりとした風情の中で紡がれる花子さんと鶏のやさしくて温かいのどかな時間がゆっくり漂っている感覚はきっと言葉も然ることながら、水彩画で彩られた絵の素朴さからなのでしょう。・・・「わたしのおばさんにいただいたにわとりは白い羽です。雪のようです。そして、とさかは花のように見えます。・・・卵を生みました。白いうさぎが寝ているような形をして、鳥屋のわらのうえに乗っかっていたのです。」こんな何気ない一文にも澄んだ感性を感じてしまいます。
酉年のお正月には最適の絵本ですが、じっくりと、ゆっくりと何度も何度も繰り返し読み続けていたい、貴重な1冊だと思います。


こすずめのぼうけん   [ルース・エインワース・作/堀内誠一・絵] 福音館書店

外国の創作に石井桃子さんが訳され、堀内さんが美しい絵を描かれている珍しい絵本です。
堀内さんは数多くの絵本を手掛けられていますが、物語によって絵のタッチが異なりとても同一人物とは思えないほどの手法で驚かされます。その中でもこの作品の絵はとても美しく、こすずめの愛らしさや背景の細かい描写などはこのまま額に入れて飾っておきたい程です。

親すずめから離れ、初めての巣立ちには不安がつきものです。不安をいっぱい抱えてこすずめが目にした物、出あった物たちとの場面は胸がキュンとなりいじらしいほどです。それだけに結末は感動的です。
このおはなしは『おはなしのろうそく』の中からストーリーテリングとしても届けました。耳だけで聞く世界は絵本とは又違うイメーシが拡がって子ども達の心に、入り込んだように思います。
春の季節におすすめです。


ごちゃまぜカメレオン   [エリック・カール 作] ほるぷ出版

色使いの手法にかけては神業的なエリックさんですが、この絵本はクレヨンで描かれ、めくるページに楽しい工夫がなされています。
左隅がインデックスのようになっていて、カメレオンのなりたい動物が 小さな絵で描かれています。

ハエをとるのが上手なカメレオンがある日、動物園でみた動物達にあこがれます。(白くまみたいになれたらなあ)するとあら、不思議。カメレオンは白く、(フラミンゴみたいになれたらなあ)すると・・・。(キツネみたいになれたら)と思うと 赤いキツネのしっぽがはえました。どんどん夢を広げていくカメレオン。 それに合わせてカメレオンは、・・・へんてこりんになってしまいます。 その度に子どもたちは、歓声を上げて笑いころげていました。
さて、さて最後は・・・・
自分探しの頃、他がよくみえるものです。でも、自分は自分。自分が一番と気付いた時が虹色に輝くのかも知れませんね♪
1年生の朝読で届けましたが、大爆笑の渦でした。


コッケモーモー!   [ジュリエット・ダラス・コンテ・文/アリソン・バートレット・絵] 徳間書店

ある朝 鳴き方を忘れたおんどりは 「コッケモーモー!」と牛の前で鳴きました。?アヒルの前では 「コッケガーガー」豚の前では・・・羊の前では・・・・ .。みんなに馬鹿にされて「どうしよう。ぼく、なきかたを わすれちゃったのかなあ」
その夜 キツネがめんどり小屋をねらってやってきました。そこで、おんどりが、へんてこな鳴きかたで騒ぎたてます。動物たちは目をさまし、みんなできつねを追い払うのに成功しました。

色彩が明るく、おんどりの鳴き声が 太字で力強く大きく書かれて楽しい絵本です。認められることは自信に繋がる。人のためになるってこんなに嬉しい事。そして、自分自身にも勇気が沸いてくることなのかなと励まされるお話です。
さあ、大きく息を吸って!子ども達も合わせて鳴き声を真似していました。小さな子は特に喜びます。



コッコさんのかかし   [片山 健 作] 福音館書店

コッコさんシリーズのうちの1冊です。「かかし」を知らない現代っ子にはぜひ読んであげたいと思います。
コッコさんはおとうさんとおにいちゃんとで「かかし」を作って近所の畑に持っていきました。
移り行く季節の中でコッコさんは「かかし」の存在を確認します。合わせて稲の成長、刈り入れ、台風と台風一過の畑の様子が片山さん独特の力強い筆のタッチで描かれていて自然の風景の美しさ、雄大さを見ることができます。
一見、遠目が効かないかのように思われますがこの絵はむしろ遠くから見たほうが素晴らしい事に気づきました。特に、都会育ちの子供にはおすすめです。秋頃のおはなし会に最適です。


子どもは、身近な大人から、聞かされ、体験することで知っていくものですね。コッコさんは、幼いこどもが成長していくその様だと思います。かかしがどこにいるのか、確認しながらコッコさんの気持ちと一体になっていることを感じます。台風でかかしがどうなったか、コッコさんが心配して想像している場面ででは、緊迫します。子どもたちは、つぶやき、驚き、心配、そして、最後はほっとして、コッコさんを通して「かかし」はどんなものかを知ることができます。

ことばあそびうた [谷川俊太郎・詩/瀬川 康男・絵] 福音館書店

小学校でも習うことばあそびに子ども達は喜んで合唱します。特に「かっぱ」「いるか」は大好きなようです。
谷川さんの言葉を大切にリズムを奏でた詩のあそびに乾杯!(完敗)
大きな画用紙にそっくり写しておはなし会の最後に届けています。



ことばのこばこ [和田 誠 作] 瑞雲社

「ことばあそび」の時間、この小箱から飛び出して皆で唱えて遊びました。本当にしりとりから回文、数え唄、早口言葉など数多くの種類の言葉遊びがぎっしり詰まっています。「小箱」とはいうもの大型絵本になっていて和田さん独特の絵もいい味だして描かれています。これ1冊で充分、色んな楽しみ方ができそうです。この中から一部をお借りしてパネルで子ども達と遊びました。皆で声に出して繰り返す程、楽しみが倍増します。絵本の周りを囲んで少人数でワイワイガヤと楽しむ事も出来ますね。手元において時々、楽しみたい1冊です。


ことばをおぼえたチンパンジー   [松沢哲朗・文/薮内正幸・絵] 福音館書店

アフリカの森の中で群れを作るチンパンジーを観察しながら調べられているだけあって、詳細にチンパンジーの生態・人との類似・表情などが克明に知る事が出来ます。特に、チンパンジーに文字を教えられるかという実験は興味深いところがあります。
この絵本の良さは単なる実験レポートではなくチンパンジーに「アイ」と名づけた作者の共有生活の中から溢れる愛情に答えるかのように習得していくチンパンジーの姿に、いつか人間も本当に互いにわかりあえる日がくるような気がします。又そこから見習わなければならないものが見えてきそうな気がします。
「かしこい動物」をテーマにブックトークで届けた1冊です。



ことろのばんば   [長谷川摂子・文/川上越子・絵] 福音館書店

「ことろ」とは子どもを取ってさらって行ってしまう妖婆のことで、昔から、子どもは日が暮れるまで遊んでいないで早く帰りなさいという教えとして言い伝えられて来たようです。
「わらべうた」としても歌われていますが、長谷川さんが素晴らしい昔話にされ又、それと一体となった川上さんの絵は細部に渡って凛とした美しさ、深みがあり、ばんばの凄みのきいた顔や山の風景の隅々まで細かに描かれています。奥深い秋の山の色、風のにおいや鳥の鳴き声、水の音等も聞こえてきそうな素晴らしい色彩。そして何よりも、ばんばの登場する場面の赤い怪しげな光に包まれたような場面の描き方は芸術的ですっぽりとおはなしの世界に惹きこまれていってしまう魅了させる力があるように感じます。低学年の子ども達も長いお話ですがしっかりと静かに聴いていました。
その後に読んだわらべうた絵本かえるがなくからかーえろも効果的でした。(上記参照)
「こーとろ、こーとろ」と合わせて合唱していましたね。深まりゆく秋のおはなし会におすすめです。


こねこのチョコレート   [B・Kウィルソン 作/大社玲子・絵] こぐま社

 ジエニーは弟の誕生日に持っているお金からプレゼントしようと思い、お母さんと買い物に出かけて、こねこの形をしたチョコレート8個入りを買います。それを明日の朝、誕生日までに自分の部屋のタンスにしまいまししたが、気になって眠れません。(食べてみたい)気持ちを止められなくてついに、一個食べてしまいます。あまりのおいしさにもう一個、・・・・・
とうとう全部食べてしまったのです。誕生日の朝になって、ジエニーは弟に空のこねこのチョコレートを差出すことになるのですが・・・・。
これは、「おはなしのろうそく20」にも収録されていて、ストーリーテリングとして届けて、子ども達に頭で描いてもらうのもいいと思います。ただ、2004年11月に出版されたこの絵本は色刷りと白黒のページが半々に抑えて、おはなしのイメージを壊さないように配慮されてあるのがいいと思います。
可愛らしいおはなしに、邪魔にならないさりげない愛らしい絵がおはなしに聞きなれない子も、安心して聞き入り、子ども達の笑顔がとても輝いていました。


このにおいなんのにおい   [柳原 良平 作] こぐま社

おはなし会の合間に「この音何の音かな?」とキーボードの音あてクイズをする事を思いついた途端、この絵本が思い浮かびました。
もしも、「におい」が見えたらどんな色かな?においは鼻でわかります。でも、目では見えないのかしら?においを絵に表すという面白くて難しそうなことを見せてくれるこの絵本は本当に凄いです!
ただ、イメージはそれぞれ異なると思いますのでここから子供と話し合ってみたりするのも楽しいと思います。幼い子にはリズミカルな言葉とシンプルに描かれたな貼り絵がなじみやすく、においを見る楽しさを知る事のできる絵本だと思います。  

こぶじいさま   [松居 直・文/赤羽末吉・絵] 福音館書店

鬼が出てくる昔話はたくさんある中で大好きなおはなしです。よく知られた昔話でもありますが、松居さんの再話と赤羽さんの絵がマッチして、おはなしそのものがすっと溶け込んで生き生きと心地よく感じられます。
殊に歌が楽しい。鬼と歌いながら踊る場面は子供たちもニコニコ顔で聞いてくれます。
長さも適当なので2月の節分に限らず、いつでもどこでも小さい子から大きい子まで幅広く楽しめます。



ゴムあたまポンたろう   [長 新太 作] 童心社

長さんのナンセンスさもここまでくるとおかしくて楽しくて言いようがありません。
あたまがゴムでできたポンたろうがとんできます。そして・・・この次から次へと奇想天外な話にわくわくしながらも根底に流れるやさしさを感じます。
それは最後はお母さんのようなゴムの木で、すやすや眠る場面で安堵感を覚えるからです。奇想天外な話ですがそれにも増してきれいな奇抜な色がマッチしていて独特な世界が描かれています。

おはなし会でも、子供たちは大爆笑でした。この奇想天外な発想が人気が高いようですね。
薔薇がきれいな5、6月頃のおはなし会におすすめです。



これはおひさま   [谷川俊太郎 作/ 大橋 歩・絵] 福音館書店

「これはおひさま・・」から始まって繋がっていくことば遊びも兼ねた楽しい絵本です。
これはのみのぴこ』は長くて難しく感じる子もこの絵本なら一気に出来てしまうから楽しさ倍増でしょうね。
パネルで届けたところ大合唱の上、おはなし会の後で絵本の引っ張り合いになったほどの大人気でした。



これははこ   [五味太郎 作] 岩崎書店

「これははこ。これもはこ。・・・」といろんな興味深い箱が次々に出てきます。屋根や窓がある大きい箱は・・・家。あまり見てると怒られる箱は・・・・テレビ。「並べて片付ける箱は?」「おたのしみの箱は?」
なぞなぞ感覚で子ども達が声を揃えて答えてくれました。
お楽しみ度をUPするために紙芝居にして届けました。
他に『これはて』『これはあたま』『これはひも』『これはうみ』『これはやま』もあります。



これはのみのぴこ   [谷川俊太郎 作/和田誠・絵] サンリード

「これはのみのぴこ」から始まって「これはのみのぴこのすんでいるねこのごえもん」というように前の言葉の上に積み重ねていく言葉遊びの絵本です。
はっきりとした文字と和田さんの絵も大きくてわかりやすいので、絵本のままで充分おはなし会で楽しめます。(敢えて、パネルなどに変えることもないと思います。)その位、よく出来た楽しい絵本だからです。
息継ぎをしないでどの位の速さで言えるかな?途中から、子ども達の大合唱となりました。速さにだけとらわれないでね♪



これ め   [中辻 悦子 作] 福音館書店

目ばかりが勢ぞろい。どんな目?あがりめやかなしいめ、うれしいめ等、当たり前の目だけでなく笑ってしまう目もたくさん出てきて子ども達は大爆笑です。えっ?!「でたらめ」も?
おはなし会に少し余裕があって、おまけのもう1冊という時や、子ども達の様子を見て集中させたい時などに重宝する絵本です。手遊び代わりとしてもいいですね。常に用意しておき、ここぞという時に届けたい1冊です。


こわーいはなし   [せなけいこ 作] 鈴木出版

これは切り絵の絵本です。
雪の降る夜、ちいさなおばけが迷子になって、うさぎの子どもに道をきこうとしたら・・・うさぎの子はびっくり!怖くて怖くて逃げ出してしまいます。家に帰ってそのことを告げるのですがいつのまにやら、おばけさえも怖がるほどにお話が伝わっていってしまいます。
「な〜んだ。ちっとも怖くないや」と面白がっていた子ども達でしたが、本当に?



 こんとあき   [林 明子 作] 福音館書店

 林さん自身の体験を絵本にしたらしいこの物語。こんというキツネのぬいぐるみの前に誕生した「あき」(林 明子さん)が赤ちゃん時代を経て成長した時、ふたりで砂丘町のおばあちゃんの家へ向かうまでの出来事を優しく描かれています。
林さんらしい遊び心としての登場人物があちこちに見受けられ、子どもと共に探し出すのも楽しい演出です。
もしかしたら、これはおはなし会よりも家庭で楽しみたい絵本かもしれません。でも、こんな絵本もあるのよと紹介したい絵本で、女の子が特に喜ぶようです。母子、おばあちゃん等といっしょに来られることの多いおはなし会で読みました。優しい気持ちになれてほっとする時間を感じました。


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