≪絵本のおはなし≫おはなし会の中から…

おはなし会で届けた絵本の内容をここにご紹介します。
子供たちの様子を思い浮かべながら一つ一つ書き留めてみました。
一覧はBooksでご覧下さい。題名をクリックすると画像を見ることができる絵本もあります。





 
ザガズー   [クエンティン・ブレイク・作/谷川俊太郎・訳] 好学社

〜じんせいってびっくりつづき〜と副題があるほどにちょっとドキッとくるお話かもしれません。
子どもが赤ちゃんの時はとっても可愛くてあんなに可愛がって育てはずなのに・・・それがいつしかまるで怪獣のように変身!手を焼き荒れほうだい・・・でもそれは時が来ていつしか成長した素敵な大人へと脱皮していきます。そして、いつしか親は老いて子どもに助けてもらう日が来るのです。老いて子どもに戻ってしまう日。そんな長い人生が驚くほどに繰り返されているのでしょう。あちこちで・・・う〜ん。思い当たるふしがと大人は唸って考えてしまいそう。これは大人向きの絵本かもしれません。思春期の入り口にいる高学年の子ども達に届けてみました。はたしてどんな風に彼らは感じたのでしょうか?「ありえな〜い!」と、返ってくるかな?と思いましたが意外と真剣な目つきでしたね。


 さくら   [長谷川摂子・文/矢間芳子・絵] 福音館書店

  ソメイヨシノの桜の木が一人称としてその1年を紹介してくれるかがく絵本です。さくらの開花を待ちわびているのは人だけでしょうか?満開に咲いたさくらに集まってくるのはどうやら花見の人間だけではありません。さて、それは・・・・
さくらは散る時の美しさも見逃せません。花吹雪となって花びらの雪が舞います。そして、はっぱはそれに合わせて緑が濃くなり赤い実もできて季節が移れば、一段と濃くなります。秋のさくらの木をこれまで気にした事があったでしょうか。春だけでない、私も見てと言っているようです。そして、冬から春風が吹くまでの準備期間に芽が膨らんで・・・そしてまた繰りかえされるさくらの季節。みごと、みごと!
欲を言えば、ちょっとだけ、はなびらの綿密な線を見たかったかなとも思いました。
もちろん、満開の桜の季節のおはなし会に最適でしょう!


さつまのおいも  [中川ひろたか・文/村上康成・絵] 童心社

「おいもはつちのなかでくらしています」これは納得する始まりです。でも、このおいも、ごはんを食べ、歯も磨き、トイレやお風呂にも・・・・と「そんな、ありえなーい!」と、声が飛び交いそう。でも、大喜びで見ている子ども達です。
芋掘り場面では、おいもたちも引っ張られまいと土の中で綱引きをしている様。ここでも焼いも大会があり、皆でプッ、プッ、プーッと、出て、・・・・・へぇ〜、くさい色ってこんな色なのね〜・・・。おはなしの気分転換、しっかりとしたおはなしの後にはこんな楽しい絵本でリラックスできるのもいいですね。おまけの1冊としても、もちろん、秋に、芋掘り遠足や焼いも大会の後なら、尚更おすすめです♪


さびしがりやのほたる   [エリック・カール 作] 偕成社

 もう、ご存知エリック・カールさんの作品には何も言う事ないほどお馴染みですね。虫のカルテットと言われた4冊の内の1冊です。(あおむし、こおろぎ、くも)
ひとりぼっちのほたるは、仲間を探しに出かけます。明りを見つけては仲間でないとわかりまた飛んでいきます。ほたるの見つけた明りは何だったでしょう。ほたるの光のしかけを楽しむために、最後のページは、おはなしの部屋を暗くしてみました。効果の程は?

もちろん、美しいほたるの季節に最適ですね。大型絵本も出版されているようですので、大人数のおはなし会にはもっとほたるの光が美しく輝いて子ども達も喜んでくれるでしょうか。再挑戦したい気持ちでいっぱいです(!?)


 ざぼんじいさんのかきのき   [すとうあさえ・文/織茂恭子・絵] 岩崎書店

ざぼんじいさんのところの柿の木はとってもたくさん熟れていて甘そうです。でも、おじいさんは決して誰にもあげないでひとりじめ。そんなよくばりじいさんの近くにまあおばあさんが引っ越してきました。おじいさんたら挨拶代わりに柿のへただけあげますがまあおばあさんは大喜びです!なぜでしょう?
理由がわかったおじいさんはへたをやるもんかと今度は葉っぱをおばあさんにあげます。でも、それも大喜びのまあおばあさん。なぜでしょう?おじいさんは今度は葉っぱをやるもんかと葉っぱを切ってしまい枝をあげます。それも大喜びのまあおばあさん。なぜ?とうとうざぼんじいさんは柿の木を切ってしまいましたから大変です!これではもう、柿を食べることが出来ません。本当に?素敵なまあおばあさんと子ども達によってざぼんじいさんの柿に楽しみという種がまかれました。
甘い柿が食べたくなりましたね。秋、おいしい柿の季節に届けたい1冊です。


さよなら さんかく   [安野光雅 作] 講談社

わらべうた「さよならさんかく」を安野さんが安野さんらしい、しかけが楽しい素敵な絵本にして下さっています。1冊で2度美味しいというのでしょうか、最後のページまでいったら、くるりと返して又読み始めるとあららら、不思議。逆さまの絵が・・・。ふぅ〜ん、と思わずうなり声が聞こえてきました。幼児より小学生、小学校のおはなし会のおしまいに読むのに最適です。


  さるのせんせいとへびのかんごふさん   [穂高順也・文/荒井良二・絵] 

 リンド・グレーン賞を受賞された荒井良二さん。「へェ、こんな絵がねぇ〜」と思わず口がすべってしまったこの作品。
おかしいなんてものじゃないですわ。どうぶつむら病院のさるの先生の元へ、きつね、くま、ぶた、ぞうさんが次々とやってきました。大活躍するのは決まって、へびのかんごふさんです。それはそれは奇想天外、よくもまあこういうことができるもんです。これを考えた荒井さんがこれまた凄いのでしょう!姉妹編に、『へびのせんせいとのさるかんごふさん』へびのかんごふさんがおいしゃさんになり、かんごふさんには、さるのせんせいがなりました。はてさて、さるのかんごふさんはちゃんとしごとができるのでしょうか…。
比較して読みくらべっこしてみるのも面白いでしょう。


さる・るるる [五味太郎 作] 絵本館

五味さん独特の言葉遊び。さるを文字って楽しく考えながら声に出してみよう!大人よりも子どもの方が頭がやわらかいので大得意な子ども達です?さる・くるから始まって・・・さる・さる・・・?
「さる・える」「さる・せる」は難しいかも知れませんね。申年の1月おはなし会にて初披露しました。
他に続編として『さる・るるる one more』『さる・るるる special』もあります。



さんかく   [山本忠敬 作] 福音館書店

△▲さんかくの連鎖、集まりから泳ぐ魚のようにイメージがどんどん拡がっていく楽しい幼児絵本です。いつしかそれはロケットのような形とぶつかって火花が散り、まるで万華鏡をみるような美しさがそこにあります。赤、黄、青、紫、橙、緑のさんかくが一連となって、飛び出していきます・・・・
幼児向きですが、おはなし会の合間にほっとする1冊としておすすめです。

もう1つ、注目したことは作者、山本さんは『のろまなローラ』(1年生の朝読でも届けました)『しょうぼうじどうしゃじぷた』や『とらっくとらっくとらっく』のような働く自動車を克明に描かれることで有名です。極端な言い方をすれば車を描くことが大好きで車以外のものは描かれないのではと思っていたものですから、この絵本と出合った時は嬉しい驚きでした。


3じのおちゃにきてください [こだまともこ・文/なかのひろたか・絵] 福音館書店

まりちゃんが小川のそばでれんげをつんでいると、お手紙をのせた、ささ舟が流れてきました。「みどりのみどり」という差出人になっています。さぁ、だれのことかしら?「3じのおちゃにきてください」となっていますからとにかく出かけていきましたが・・・ゆきとくんに出会って・・あり10ぴき、りす、あひる、ろば、うしまでもいっしょにいくことになったのですが、果たして「みどりのみどり」とは・・・!

ぐりとぐらを思い起こすような展開と繋がりの繰り返しの面白さが含まれている子供の喜ぶ要素がいっぱいのお話です。特に小さい子は喜びます。おいしそうで楽しそうなお茶の時間に、思わずゴクリと生唾を飲んでいた子もいたとか?
春の小さい子向けのおはなし会に向いています。



サンタクロースってほんとにいるの? [てるおかいつこ・文/杉浦範茂・絵] 福音館書店

子どもも生意気な(失礼)年頃になってくるとサンタさんの存在を信じなくなります。特に最近はTVなどによる情報メディアが発達している所為でしょうか。幼い頃から信じなくなっている子ども達の多い事に気づきます。
夢を忘れないでほしいと願う方は是非、この1冊を子ども達に届けてみましょうよ。
「へん!」と小生意気そうな顔をして最初から「サンタさんなんて・・」と口をはさんでいた子どもの顔も大真面目になってきました。
大人数には向かない絵本かもしれませんが是非、絵本に近づけて届けてあげてほしい1冊です。



3びきのくま [ポール・ガルドン 作 ]  ほるぷ出版

同名の絵本は私が知っているだけでも6冊あります。殊に L・N・トルストイ・文/バスネツォフ・絵/福音館書店★3びきのくま★の方が定番かも知れません。作品的にも優れていると思われます。実際に、公民館おはなし会で届けたことがあります。但し、集団のおはなし会という事になると、1ページの文が多すぎたり、絵と文があっていなかったり等、問題点もあります。

それに比べてガルドンのこの絵本は、ページの絵と文の分量のバランスの良さはもちろんのこと、リズミカルな文章の運び、それにも増して大きなくまの表情が最高にいいのです!お話の展開も楽しくて年長児、1年生位が最適の読者の気がします。難を言えば女の子が(キャンディーとして固有名詞になっています)強烈過ぎる事です。これで、随分迷いました。
ただ、この位の年頃の女の子はこのキャンディーのように前歯がなかったり、こんな感じだよねと仲間と意見が一致したため、1年生のおはなし会で届けました。

案の定、子ども達は食い入るように見つめ大喜びでした。そして、1年生のある女の子が私の側によって来て「に〜っ」といたずらっぽく笑ったその顔はキャンディーそっくりでしたよ♪ 
家庭でじっくり向き合う絵本としては、トルストイ著もおすすめします。



三びきのこぶた [瀬田貞二・文/山田三郎・絵] 福音館書店

あまりにも良く知られたお話で同タイトルの絵本だけでも60冊もあるとか・・・。
その中でも最も良い絵本と定評があります。ダイジェストにまとめられてしまっていたり、残酷だからと大人的な見方で塗り替えられたような絵本が目につく中で、物語が原作に忠実でリズミカルな文章、三度の繰り返し、絵が芸術的で優れているという点においても評価が高く、オレンジを基調とした色彩もこのお話のもつイメージを助けています。

大型絵本もあり、いっそう迫力があって子ども達も感激してくれました。学年おはなし会など同年齢の子ども達の集団読み聞かせにおすすめです。
 


三びきのやぎのがらがらどん [マーシャ・ブラウン 作] 福音館書店

この絵本も子ども達に良く知られている人気のある絵本です。
「三びきのこぶた」同様で一見、三兄弟のようですが同一で(この場合がらがらどん)幼少、少年、青年の成長過程を意味しているようです。つり橋を渡ることがそのステップというわけです。
成長するためには通らなければならないものがあります。それがトロルという存在で、勇気をもって辿りつくためのいわば障壁と言えます。昔話の奥義とは凄い物だと痛感しました。

もちろん、そんなことは子どもに何の説明もしないで楽しく届けています。でも、子ども達自身もこの絵本の素晴らしさを肌で感じているようです。「でんがくざし」や「こっぱみじん」などという一見難解な言葉も絵が素晴らしく補ってくれていますので、幼い子も言葉を知らなくても、十分イメージできるのがこの絵本の魅力と感じます。
但し、あまり幼い子だとトロルを怖がる子もいますので、子どもの発達状況に合わせて届けてあげたいですね。(読み聞かせのポイント・実際例 も参照して下さいね。



 シ
しあわせハンス−グリム童話 [フェリクス・ホフマン・絵/せたていじ・訳] 福音館書店

ホフマンはグリムの昔話を数多く絵本化しています。その中で代表的な1冊です。
わらしべ長者とは正反対に金の塊がどんどん小さなものとの取替えになっていきますがそれを望むのもハンス自身ですから文句のいいようがありません。
ある意味、<おめでたい>少年でしょうが、本来の<幸せ>とはこういうものなのかもしれませんね。

どんどん話が繋がっていき、文字もページに長く1行のみで次のページに跨っていたりと、そのままでは読むのに困難です。(しかも、ひらがななので尚更です)更に、絵と文が一致している訳ではないので、このまま集団の読み聞かせに届けるには難しいと思います。それなりに大変ですが・・・
これから巣立っていこうとしている6年生にプレゼントしたいと思い、6年生お別れおはなし会で届けてみました。



ジオジオのかんむり [岸田衿子 作/中谷千代子・絵] 福音館書店

ジオジオはライオンの王様です。一番強い王様と 皆に恐れられているけれども、年をとって 少し気が弱くなっていました。そこへ蛇やヒョウに狙われて卵を亡くした「はいいろのとり」がやってきます。ジオジオが自分のかんむりを鳥の巣に提供し、育った小鳥たちの声で目が良く見えなくなっても、楽しく暮らしました。

この強くて優しい年老いたライオンのお話は、相手を喜ばせたり、楽しい気分にさせてあげることが自分の喜びであると感じさせてくれます。そして、本当の幸せについても 考えさせてくれる一冊です。
そして一層、中谷千代子さんの絵でキャンバス地の粗い布目を生かした油絵の色彩が、ぬくもり感をもたらしてくれていますから効果的です。子ども達も静かに聞いてくれました。 



シオドアとものいうきのこ [レオ・レオニ 作] ペンギン社

サブタイトルは「えらくなりすぎた ねずみのはなし」となっています。仲間に偉く見られたいと思って、うっかりついたうそが見破られたねずみはついに、仲間から姿を消す事になります。仲間に認められることへの願望が悲しくも、このねずみの中から伝わってきます。

子ども達も「クィルプ」「クィルプ」と合唱しながらもきっとねずみ側の立場で受け止めていたのではないかと、感じました。(1年生の朝読にて) 



じごくのそうべえ [田島征彦 作] 童心社

「♪とざい とうざい。かるわざしのそうべえ。いっせいいちだいの かるわざでござあい・・・」
我が家では評判の良い絵本です。最も長期にわたって読んだ絵本かも知れません。関西弁の調子の良い上方落語とお話の筋の面白さ、そして何よりも田島さんの強烈過ぎるくらいの大胆な絵がこのお話をいっそう、盛り上げています。
続刊として、『そうべえごくらくへゆく』『そうべえまっくろけのけ』もありますがやはり、最初のこの絵本が最高だと思います。九州ではなじみの薄い関西弁なのでかえって、面白がられたりもしましたが、あまり幼い子には無理のようです。
やはり、小学校のおはなし会、それも中学年以上が適当だと思います。子ども達は大爆笑です。 



しずかでにぎやかなほん [マーガレット・ワイズ・ブラウン・文/レナード・ワイスガード・絵] 童話館

 詩のような始まりですが、タイトルどおり、静かでありながら、そうとも言えないにぎやかさもある絵本ですね。
静かな音って何かな?黒、赤、青、黄色の色使いに押さえてデザイン的。少々、答えに辿り付くまでに飽きられてしまう感もしなくはないけど・・・きっと、絵本のすきな子は なに、なに、なに、!とぐいぐいと引きつけられていくと思います。
おはなし会の導入に。ただ、あまり幼い子や読書年齢の低い子にはこの良さは伝わり難いかもしれませんね。
始まりの記念すべきおはなし会等にどうでしょう?


しずかなおはなし [サムイル・マルシャーク・文ウラジミル・レーベデフ・絵 ] 福音館書店

墨絵の色彩に、静寂な中から流れ出る詩のようなおはなし。本当に題名通り「しずかなおはなし」です。
はりねずみやおおかみの絵といい、見返しにまで木の葉のメッセージを織り交ぜ、自然の厳しさも兼ね合わせながら、心がなんだか温かくなるおはなしです。
秋から冬に移り変わる季節に適していると思います。字のない絵だけのページの扱いや絵と文の配分の多少がありますので、あまり幼い子よりも、おはなしに聞きなれた子のおはなし会におすすめです。



しっぽのはたらき [薮内正幸 作] 福音館書店

文字通りしっぽのいろいろな働きを色々な動物を紹介しながら、たくみな構成と克明な絵で、わかりやすく解説してくれています。
ページをめくりながら、クイズのようにも用いる事ができる科学絵本です。子ども達も熱心に答えてくれました。
読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。



しばてん [田島征三 作] 偕成社

たろうは、決して、泣かないあかんぼうでした。「こいつはしばてんのうまれかわりやないやろか。」と化け物呼ばわりして恐れられ、村人は彼を山の中に捨ててしまいます。・・・それでも生き延びた彼は、村の飢饉を知り、立ち上がります。
本当の「優しさ」とは何でしょう?又、「裏切り」という人間の持つ心の醜さも共に考えさせられる一冊です。
高学年のおはなし会、学年おはなし会におすすめです。



 しまうまのさんぽ   [U.G.サトー 作] 福音館書店

仲の良い、しまうまの兄妹の散歩は一見、何気ないような風景がほほえましいユーモアによって、子ども達の無邪気な心を見事にくすぐっています。縞の部分に注目して、とってもユーモラスに視点を変えた演出はデザイン的でかつトリックのよう♪ある時は、鍵盤、迷路、紐、バーコードにまで・・・次々変わっていく「縞の散歩」に子ども達は絶叫的な感嘆声を発して大喜びです。おはなし会の途中から参加してきた子どもでも、すぐにこの絵の中に溶け込んでしまい夢中になるほどのすぐれもの。長く愛されていく絵本になりうるでしょう。
おはなし会の合間にお薦めの絵本です。


しまふくろう [山本純郎、神沢利子・文/山本純郎・写真] 福音館書店

北海道に生息するしまふくろうを撮り続けた山本さんの写真から、同じく手島さんの描かれた版画絵の『しまふくろうのみずうみ』とが交叉します。
雄大で厳しい自然の中に生きる雄雄しい、しまふくろうに写真だからこそ、よりリアルに迫ってくるものがあると思います。
どちらかと言えば高学年向きの絵本といえます。又、一人でじっくり手にとって見てもらいたい写真絵本です。



しまふくろうのみずうみ [手島圭三郎 作] リブリオ出版

しまふくろう』と並べて、絵をじっくり見比べてみてください。凄いことに気づきます!
こちらは版画絵で北海道に住まわれている手島さんだから、こんなにも、綿密に壮大に素晴らしく描けられるのだと思います。
厳しさの中にも子どもを家族を愛する、しまふくろうのお父さんの羽の寛大さやその表情などが版画絵の世界だからこそ映えるのでしょう。彫刻刀で丹念に彫られた線の力強さ柔らかさ、そして繊細さは素晴らしく目を見張ります。
是非、小学生には届けたい1冊です。以前は福武書店から出版されていました。



 しもばしら   [野坂勇作 作] 福音館書店

 寒い朝におばあちゃんと一緒に畑へ大根取りに行ったはーちゃん。畑を歩く足音、足跡のくぼみの中に見たもの。
それが、しもばしら。ふしぎな形と動き。どんなところにあるのか。おばあちゃんのとてもわかりやすい説明とはーちゃんの気持ちと同化して、絵本の中の「ふしぎなもの」に、子ども達はすっかり虜になっていくことがわかりました。
かがく絵本の良さが凝縮して入るような、楽しくて興味がわいてそして、実際に体験したくなるような・・・
しもばしらが簡単に、家庭でできてしまうところは、なんとも子どもの好奇心を引き出してくれると思いました。
はーちゃんになって、家庭で学校で霜柱探検と実験してみたくなるそんな1冊ですね♪
もちろん、寒い冬のおはなし会に最適です。


 ジャイアント・ジョン   [アーノルド・ローベル 作] 文化出版局

 2006年秋に、翻訳家・福本友美子さんの講演を聞きました。「福本さんは翻訳本をどうやって選書されるのですかとよく質問されます」と、そこでOHPを使用されてご自身の作品をいくつか読んでくださり、この時間が一番楽しく、古い年代の本でまだ誰も訳されていないものを発掘されると言われただけあり、絵などはとてもシンプル。でも、上質の子どものための絵本である事が伝わってきてこれは帰ったら子ども達に読んであげたいと、思っていた作品のひとつです。
原作が、アーノルド・ローベルであることも頷けます。
まほうの森に住む巨人のジョンは妖精達と踊ってくらしていましたが、貧しい暮らしを支える為に仕事を探しに出かけ、お城で働く事になりました。王様、お后様、お姫様、そして城に住む犬のためにせっせと働くジョンでしたが、妖精達がジョンのもとへやってきて、まほうの音楽をはじめたから大変なことに・・・・。

物語の中にでてくる干し芋のような食べ物も、日本の子ども達にわかりやすいようにと「ポテトチップ」と、された福本さんの訳は本当に楽しくて、よく伝わってきます。
夏頃のおはなし会に最適です。


ジャックはいえをたてたとさ [ポール・ガルドン 作] 祐学社

マザーグースのうたT』(草思社)より「これはジャックのたてたいえ」の絵本版です。この絵本を高学年のおはなし会で使った理由は、頭の固い先生が谷川俊太郎訳でパネルシアターをした時、「ネズミを殺したネコ」「ネコをいじめた犬」「禿頭の坊さん」という表現に問題があると指摘されたからです。
「昔話、わらべ唄、マザーグースの残酷性」についての資料を示しながら説明しましたがほぼ徒労に終わりました。校長先生は理解して下さいましたが考えた挙句、この絵本で届けることにしました。この絵本からはそのような表現はありません。でも子ども達から「少し、残酷ね」と声があがりました。子ども達自信がそれに気づく、感じることが良いと思います。何でも蓋をして綺麗なものだけを見せようとする教育的押し付けだけでは子供の心にいい影響を与えるとは思えないのですが、それだけ深刻な時代になってきたという事でしょうか。

公民館や図書館では「パネルシアター」で皆で大合唱してます。指摘されてからは少し言葉を変えて届けてみましたが、家庭では親の判断にお任せしたいと思います。



11ぴきのねこ [馬場のぼる 作 ] こぐま社

漫画家らしい馬場さん(近年、亡くなられました)の描かれる、11ぴきのねこはシリーズ(全5冊)になっていて、どの絵本も楽しくて子ども達に人気があります。
いつも、おなかをすかしているのらねこたち。でも、このねこたちの良さは、見つけた獲物も等分して分けるところです。でも、さすがに殆ど食べられない。そこへ、大きなさかなが食べられると聞いて、舌なめずりで大きなさかなを求めて行きますが果たして・・・・。
どの絵本も、最後のオチが最高に楽しいですね♪他に『11ぴきのねことあほうどり』『11ぴきのねこふくろのなか
も届けました。因みに、我が家では『・・・あほうどり』が人気です。


十二支のお節料理 [川端 誠 作] BL出版

十二支の動物たちには「お節料理を作る」という、それぞれの役目・仕事がありました。年神さまはお節料理を作るため、十二の動物を選び、それぞれ順番に係を決たのです。早速、動物たちは力を合わせて準備に精を出します。さてさて、どの動物がどんな役目をもらったのでしょうか。

丁寧に仕上げられた版画のイラストが、年の始めを祝うにふさわしい清々しさと晴れやかさを感じさせます。
そして、ほのぼのとしつつも、「新年を迎える」という厳かな気分も味わえる1冊です。
是非、1月よりも年末のおはなし会に届けたいお話です。ずらっと並んだ十二支の中から、子ども達の目はどの動物にいったのでしょう?今年の干支?来年の干支?それとも自分の干支?案外、子供は好きな動物に目がいってるようですよ!

他に、川端さんの『十二支の年越しもあります。こちらは小型版なのでその年の干支のページだけ画用紙に拡大して年の初めのおはなし会で届けてみました。


じゅうにしものがたり [瀬川康男 作] グランまま社

十二支の動物は、どうやって決まったのでしょうか?古代中国に始まったという十二支。
神さまは、動物たちに一年のはじめの日に集まるようにと、おふれをだしました。一番はじめにきたものから、十二番目までのものに名誉の職を与えようというのです。
小さなねずみは知恵をしぼり、悪戦苦闘して一番乗りを果たします。その後にはうし、とら、うさぎ、りゅう、へび、うま、ひつじ、さる、にわとり、いぬ、いのししの順に集まりました。「おまえたち十二のものどもは、これから一年ずつその年に生まれた人たちが幸福になるように守ってやるがよい」と、神さまは命じました。では、ねこはどうしていないのでしょうか?

瀬川さん独特の墨やリトグラフによる絵は、鮮やかで折り返しもついたぺージは躍動感でいっぱいです。
十二支のお節料理』が年末なら、こちらは年の初めにふさわしい絵本です。1月のおはなし会で楽しみました。



じゅげむ [川端 誠 作] クレヨンハウス

NHKの子ども番組で取り上げられてから、一層、爆発的に人気になった絵本です。古典落語が現代の子どもに浸透する事自体が素晴らしいと思います。それにも増して、子どもの暗記力には頭が下がります。
幾度となく、年末年始のおはなし会で読みましたが、終わってからは、いつのまにか声に出して合唱です。
TVの影響とは本当に凄い!子ども達からも、リクエストされた絵本です。おかげで、年齢も幅広い子ども達のおはなし会に安心して届けられます。

「じゅげむ、じゅげむ・・・・」終わってからも、皆で大合唱!


 しょうたとなっとう   [星川ひろ子、星川治雄 写真・文] ポプラ社  

 冒頭からいきなり「しょうたは なっとうが だいきらいです」と始まり、嫌いな理由が丁寧に述べらて大地と自然の写真が1ページに拡がっています。さあ、次からは、じいちゃんによって、しょうたの「まめ」に対する知識が植えられていくのですね。青大豆を畑に蒔くことからその成長を通して、しょうたの大好きな星の図鑑と大豆が宇宙で繋がっているような気持ちになります。興味を覚えたしょうたの観察が毎日続いていきます。秋の終わりに、さやの中から大豆を見ます。
そして、大豆の変身をじいちゃんから、又教わるしょうたですが・・・
写真絵本で実際に豆の知識が楽しく理解でき、更にしょうたとじいちゃんのストーリーがドラマのように描かれているのが何ともほほえましくて温かい気持ちにもさせてくれます。さあ、しょうたはなっとうが食べられるようになったでしょうか?
ひみつのほしなっとうもぜひご覧あれ!そして、最後の裏表紙のしょうたとなっとうの写真に子どもたちから歓声があがりましたよ♪この絵本を読んだ後「なっとう」を食べた子は何人かいたでしょうか?


ショーティとねこ [バーナディン・クック・文/小笠原まき・絵] 福音館書店

ショーティは、長い胴に短い足をした茶色い子犬です。そして、緑の大きな目をした一匹のねこと、同じ家に仲良く暮らしていました。
ところがある日、大きな箱が持ち込まれてから、ねこはそこに入ったきり出てこなくなりました。何日かして箱の中から何かが聞こえてくるようになり、ショーティは気になって箱に近づいていきました。
でもその途端、ねこは怒って追い返してしまいます。あんなに仲良しのねこだったのに、どうした事でしょう?
ショーティはますます、箱の中が気になります。そこで、ねこのいない間に、そっとのぞきこみました。
さて、ショーティの見たものは・・・・!

墨で描かれた太い黒々とした輪郭に、茶と黒を基調として、シンプルに抑えた色彩の中に力強さと反面、柔らかなやさしい毛並みの風合いは細いタッチで描かれていて、その感じがたまらなく好きです。動物の力強さと可愛いさが入り混じっていて大きなアングルの絵も絶妙です。
犬猫の好きな子供にとっては楽しいお話だと思います。多方面のおはなし会におすすめです。



しりとりのだいすきなおうさま   [仲村翔子・文/はたこうしろう・絵] すずき出版

  しりとりは子ども達も大好きだから喜んで楽しめる1冊でしょう。おうさま―まり―りんご―・・・・しりとりの順番に夕食を食べないと気がすまない王様。最後はしかもプリンで終わらないといけません。さあ、無事にプリンで終わるように料理人は食事を作れるでしょうか?
おはなし会のお楽しみの1冊としてこんな絵本も楽しいですね。読み終わった後、もう一度しりとりの再確認していた子ども達でした。


しろいうさぎとくろいうさぎ   [ガース・ウィリアムズ 作] 福音館書店

 水墨画のような絵は、まるで日本人が描かれたように思いますが『大草原の小さな家』でお馴染みのガース・ウィリアムズさんですから驚きです。「ガース・ウィリアムズ展」に行って原書を見て、2度ビックリした事は、全くの白黒なのですね。
絵本化するにあたって黄色いタンポポにするなど色をつけて、うさぎの気持ちをより強く表現しようとされたのでしょうか。
黒いうさぎの思いと、無邪気な白いうさぎの触れ合いを通して生まれる「愛の形」は少々、戸惑いも感じますが、幼い子でも、ちょっとおませな女の子なら大好きになってしまうような絵本です。いえ、男の子も、女の子を守ろうとする強い気持ちがこの絵本から感じる子もいたとか・・。
中には「黒人問題」「ジェンダー問題
等と賛否両論の意見もありますが、松岡享子さんの訳が素朴簡明にこの絵を一層ひきたてていると思います。
春のおはなし会向きです。


 ジローとぼく    [大島妙子 作] 偕成社

  子犬を拾い、名前を「ジロー」と名付けた「ぼく」はいつもいっしょに寝ていましたが、その内、ジローが大きくなり、犬小屋をお父さんが作ってくれました。でも、離れていては眠れないふたり(?)です。ぼくは、ジローの家でジローと一緒に寝ましたが・・・・朝、目をさますとおかしなことに「ジローがぼく」となり、「ぼくがジロー」になっていましたから大変です!
さあ、ジローは「どんな ぼく」に変身していたでしょう!? 
愛すべきペットといることはとっても幸せ、できることなら自分もペットになれたらな〜・・・子供時代、そんなことを一度は思ったことないでしょうか?ペットから見た人間の世界ってどんなでしょう?
そんな楽しい夢がこの絵本の世界にあります。愛嬌あるジローの人面犬(?)がこれまた味があります。
最後のおはなしが始めとまた繋がって、繰り返され、大人数で楽しめる絵本です。


しんすけくん [谷川俊太郎・文/大久保千広・絵] サンリード

昭和48年7月14日生まれのしんすけくんの生活・社会情勢がこの絵本から漂ってきます。
この日の朝日新聞の一面まで載っていますから、この日がお誕生日という幸運な方は必見です。
もちろん、子供たちにとっては、未知の世界に目を見張ったり羨ましがったりする子もいて盛り上がりました。
古き良き時代、ちびまるこちゃんの世界のように、大人は懐かしさを覚える1冊でしょうか。



しんせつなともだち [方 軼羣・文/村山知義・絵] 福音館書店

ある雪のたくさん降った冬の寒い日です。食べ物を探しに出かけたうさぎは、かぷを二つ見つけました。
ひとつは自分で食べ、もうひとつはおなかをすかせているはずの友だちのろばの家に置いていきました。
そしてこのかぶは又、ろばからやぎへ、やぎからしかへ、そして又、うさぎへと戻ってきます。
「善意は我が身に返る」という言葉がありますが、友達への思いやりの心をのせて届けられていく、ぐるぐる話で、心の中がぽかぽかと温まる物語です。親切な友だちを、たくさん持っていることは幸せなことですね。

絵も可愛くて、うさぎさんは耳のあいた帽子をかぶっていたり、しかさんはマフラーしていたりが何とも言えません。
もちろん、冬のおはなし会に欠かせません。子ども達も優しい心に満たされているように感じます。




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スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし [レオ・レオニ 作] 好学社

小学校の国語に出てくるおはなしは、できれば習う前に届けてあげたいところです。
色版画・スタンプで押した小さな、さかなたちの群れの中に黒いかしこいスイミーの存在が、くっきりどのページにも浮かんでいます。虹色のくらげやいせえび、こんぶやわかめ、うなぎ、いそぎんちゃく等々の海の生物の美しさには目を奪われます。
海の自然をみせられながら、スイミーの賢いヒミツに、子ども達は仲間意識をも感じるのではないでしょうか?
みんなで力を合わせる事、一人ひとりが責任をもって、役目を果たす事の大切さ、素晴らしさに気づく子もいたようです。
低学年までにおすすめです。おはなし会ではやはり、夏向きでしょうか。



スーホの白い馬 [大塚勇三・再話] 福音館書店

モンゴルのおはなしで、2年生の国語の教科書に出てきます。
白馬の死ぬ場面になると、子ども達も私も涙色になってしまいます。本当に感動的な物語は、誰の心にも揺さぶられるものがあるのですね。
そして、モンゴルの雄大さとスーホと白馬の気高さを、ものの見事に赤羽さんの絵がひきたてています。
大好きな絵本です。
公民館での「子どもいきいき講座」や、3年生と5年生の学年おはなし会で届けました。


すきですゴリラ [アントニー・ブラウン 作 ] あかね書房

父と娘とはある時期に屈折しやすいものかも知れない・・このおはなしからそんな事を感じます。
ゴリラの大好きな女の子ハナの前にある日、ぬいぐるみのはずのゴリラが大きくなって現れます。そして、忙しい父親に代わって、ハナを動物園、映画などに連れて行ってくれます。
こんなに楽しかった事は、はじめてとハナは思うのですが・・・・さぁ、ページをよ〜く見てみましょう!かくし絵になっているのですが何が隠れているのでしょう?
そして、本来の父親は?父娘で楽しみたい絵本でもあるかもしれませんね。おはなし会の終わった後、みんなでかくし絵探しで盛り上がりました。<父の日>頃のおはなし会に届けてみてはどうでしょう。
読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。


『うちのママってすてきなの』は、無条件に愛情を感じる母親のすばらしさが描かれていてこちらは、<母の日>頃のおはなし会に。又、『おんぶはこりごり』の中に対照的なかくし絵がお得意の形で描かれているのがユニークです。


すてきな三にんぐみ [トミー・アンゲラー 作]  偕成社

黒いマントの三にんぐみは、不思議な中にも子ども達のわくわくするような魅力が溢れるほど、隠れているような気がします。
だから、幼い子から大きい子、男の子も女の子にも人気のある絵本でしょう。集団のおはなし会には最適です。
大型絵本は尚更、見栄えが良く、迫力があってボランティア仲間の間では好評です。
このおはなしを空で覚えてしまっている子がいたのには、驚きと同時に納得もしましたね。



ストライプ  [デヴィット・シャノン 作]  セーラー出版

アメリカらしいおはなしです。他人から自分がどう映るか気にして、他と同じでなくてはやっていけない苦しみや、思春期にはありがちな素直になれない自分の見栄や、つっぱりから抜けだせない・・・そんな子はいませんか?
特に高学年にもなると・・・・そんな子がある日、しましまもようになったり、巨大な薬カプセルになったりと体に異様な変化が突然現れたらどうしましょう!?
楽しい面白い中にもドキッと感じる子がいたり、食い入るように見つめていた6年生の子がいました。さぁ、この大変なおはなしを高学年のおはなし会でぜひ、おすすめします!



すみれとあり [矢間芳子 作] 福音館書店

春の花すみれ。花から種ができ、飛ばされると地面に落ちた種をありが運び始めました。運ばれた種から芽を出しています。ありはすみれの種をもらって、またすみれの仲間を増やしていきます。
もちつもたれつ・・・友だちなんですね。
春のおはなし会で届けました。ぜひ、子ども達自身でも、じっくり手にとって見てほしい科学絵本です



 セ
せいくらべ [安野光雅 作] 福音館書店

「大きい・小さい」をテーマにブックトークで届けた時に使った絵本です。絵本だけでは小さい子には難しいページがありますので、画用紙で色々な瓶をつくり黒板上にせいくらべの実際を見せて測ったりしました。

「大きいとか小さいとかいうのはどうやって比べるのかな?近くの人同士だったら簡単だよね。でも遠くに住んでいる人と背比べしようとしたらどうやってするの?せいの高さと同じ長さの棒をもってもらって並べればほら、こんな風にわかるって!それではここにいろんな形の入れ物に水が入っています。どれが一番たくさん入っているか背比べするにはどうしたらいいでしょうか?同じ容器に入れ替えて並べ替えたらいいよね。ではここに角砂糖を入れてどれが甘いかなんてわかりますか?ちょっと、難しいかもしれませんが答えはこの絵本 安野光雅さんの「せいくらべ」に載っています。他にも、玉いれの入った玉を一々数えなくてもやはり同じような容器に入れて高さを比べれば一目でわかるよね。」と、いった具合に・・・

果たして、子ども達は理解できたでしょうか?「ハーイ!」と元気よく答えてくれて一安心しました。安野さんは数学、科学を楽しく描かれる天才画家と尊敬してしまいます。



せいめいのれきし [バージニア・リー・バートン 作] 岩波書店

「いのち・生きる」をテーマにブックトークした際、使った絵本です。とても絵本とは言えないほどの圧巻です。
はるか大昔、地球上に生物が誕生してから、わたしたち人間の時代になるまでの長い長い生命の発展の歴史を紐解いていくように舞台の場面、一コマ、一コマ、物語りがすすめられていきます。事典よりも詳細に楽しめる1冊かもしれません。



 せかいいちうつくしいぼくの村   [小林 豊 作]  ポプラ社

小林さんが、1970年代初めから80年代初めにかけて、中東・アジアを訪問したアフガニスタンの小さな村がモデルになっているこの作品。悲惨さを訴えた反戦本が数ある中で、これは美しい自然に彩られ、ただただ美しく平和で、喜びに満ちた生活が描かれているだけに、最後は衝撃的で身に沁みました。
高学年、6年生で「戦争・平和」についてブックトークをと頼まれた時、思いついた一冊ではありますが、そのまま読んで届けた方が伝わるのではと思いました。(本文だけでなく、最後の作者の言葉まで読むことを忘れずに・・)
美しい自然とヤモ少年の戦争に行ったお兄さんに代わって、お手伝いしながら戦争から帰ってくることを信じて待ち続ける健気さにも心打たれます。平和である事、満たされていることに忘れてならないことを押し付けでなく、すっと心の中に沁み込んでくるこのお話は届けてあげたい、伝えなければならない使命をも感じます。

戦争がなくなって、ヤモの村がふたたび世界一美しい村によみがえる日がくるのでしょうか。

『ぼくの村にサーカスがきた』『せかいいちうつくしい村へかえる」と合わせて紹介したいです。


ゼラルダと人喰い鬼 [トミー・ウンゲラー 作]  評論社

おなかをすかせた人食い鬼は出会ったお料理上手の女の子をお城へ呼んで、お料理を作ってもらいます。
女の子のつくるお料理は、これが見るからにとてもおいしそうです。ずらりと並んだごちそう一つずつ、じっくりじっくりご覧あれ!思わず、生唾ゴクリです。
大き目の絵本なので人食い鬼の凄み以上に、ごちそうのカラフルでダイナミックな絵に「食べたい!」と子ども達からも声がありました。 



せんせい [ 大場牧夫・文/長 新太・絵 ] 福音館書店

子ども達は一日の半分、もしかしたら親以上に先生との時間を持っているかもしれません。先生って不思議な存在に感じる事があるかもしれませんね。時々先生って馬!オニ、おすもうさん、おおかみ、おきゃくさん、かんごふさん、おとうさん、おかあさん、こども、こぶたのせんせいですって!
ちょっとこれが笑ってしまいます。
幼稚園児、小学1年生までのおはなし会向きにおすすめで、これから入園、入学という時季が最適だと思います。『
わたし』の姉妹版のような楽しい、かがく絵本です。


せんたくかあちゃん [さとうわきこ 作] 福音館書店

洗濯好きのかあちゃん(洗濯機ではなく、なぜか洗濯板なので、“おかあさん”というより“かあちゃんと”いう言い方がピッタリですね)ただし、何でも洗ってしまいます。(エッ!こんなものまでも・・・びっくりです。)ついにかみなりさままで「あらってくれい」と・・・・?!
すっきりとした元気なかあちゃんの活躍に、皆で楽しんだ絵本です。夏のおはなし会向きです。



 ソ
ぞうのエルマー [デイビット・マッキー 作]  アリス館

「イロ・いろ・色・色々な本」をテーマにブックトークで届けました。
ぞうのエルマーは、きいろで、だいだいいろで、・・・いろんな色をもった、灰色でない、ぞうでした。
他のぞうたちは灰色なのに、エルマーは、みんなと、色が違う事が悩みの種でした。だから、みんなと同じ灰色になりたいと思っていました。エルマーは、小鳥に相談して皆と同じ灰色になります。さて、どうやって、灰色になったのでしょう。その方法がとても、おもしろいのです。それでエルマーは、満足したでしょうか?そして、さあ、その後が大変です。なぜかって?それは、最後のページでわかります。

たくさんの色とりどりのぞうにどれがエルマーか、わかりますか?そして、子ども達は、どのぞうが一番、すてききれいと感じるでしょうか?色んな答えが飛び交って、楽しんだ1冊です。



そしたら、そしたら [ 谷川俊太郎・文/柚木沙弥郎・絵 ] 福音館書店

どこからかあおいビーだまがころがってきて、いけにおちました。「そしたら、そしたら・・」かばがでてきて、くしゃみをしました。「そしたら、そしたら・・」びっくりして「きりん」がでてきました。「そしたら、そしたら・・」こんどは「さる」がでてきて・・。
子どもたちは笑いながら、ついてきました。そして最後のそしたらそしたらで、最初のページに戻ってしまう本当に楽しい絵本です。
柚木沙弥郎さんの鮮やかな絵に、谷川俊太郎さんのまるで詩のように進んでゆく展開はさすがで、 力のある絵と、力のある言葉がうれしくて楽しい一冊です。おまけとして、家庭ではすごろくで遊べるのがまた嬉しいですね。



ソメコとオニ [ 斎藤隆介・文/滝平二郎・絵 ] 岩崎書店

5歳のソメコは毎日退屈していました。大人たちはだれも相手にしてくれません。そんなある日、遊んでくれた、優しいおじさんに連れられてやってきたのはなんとオニの岩屋でした。つまり、ソメコをさらって、身代金を取ろうとしていたのです。でも、ソメコは思いっきり遊べて大喜びです。たまらないのはオニのほうで遊びにつき合わされて、身代金要求の手紙を書くことさえできません。なんとかソメコの目を盗んで仕上げた手紙に書かれていたのは……
ソメコとオニのやり取りがおかしくて何度となく笑ってしまいます。2月、節分の季節に子ども達と共に楽しみました。



そらいろのたね [なかがわりえこ・文/おおむらゆりこ・絵] 福音館書店

お馴染み「ぐりとぐらコンビ」による絵本で、我が家では人気の1冊です。
ゆうじは、野原で模型飛行機を飛ばして遊んでいました。そこへ、きつねが来てその飛行機をほしがりますが、ゆうじは断ります。
そこで、きつねはそらいろのたねと取り替えてくれるよう頼みました。そのたねをゆうじは、家の庭にうめて水をやりました。次の朝になると土の中から豆ぐらいのそらいろの家が出てきました。そして、家はだんだん大きくなっていきました。ひよこやねこ、ぶたが家に入り、ついにはゆうじや友だちも・・まだまだ大きくなって、まだまだ色んな動物が入ってきます!ついに、ゆうじは悲鳴をあげます。とうとう家はくずれはじめて・・・・。 

豊かな想像力をいっぱい与えてくれる、子どものための絵本だなとつくづく感じます。小さい子向きの暖かい春のおはなし会に最適です。



そらとぶテーブル [佐々木マキ 作] 福音館書店

夏の暑い日、きのこちゃんと犬のイワンは、お散歩をしている時、空地の古いテーブルに腰掛けて、ひとやすみしようと思いました。
ところが、そのテーブルは「空とぶテーブル」だったのです。たちまち、南極へ飛んだり、迷路、鉄橋の上、海を旅しながら、次々と色んな動物の同乗者を増やしていきます。
ピンクの可愛らしい表紙の絵から始まって、子どもの好きなものがいっぱい登場する絵本です。ナンセンスな漫画風のタッチでいつも楽しませてくれる佐々木さんて、どんな楽しい女性かしらと思ったものです。でも講演会の場で、本当はとってもシャイな男性だったとは!びっくりでした。
夏のおはなし会向きで、おはなしに慣れてない子や幼い子に最適です。



そらまめくんのベッド [なかやみわ 作] 福音館書店

そらまめくんのふわふわでやわらかいベッドに、他の豆たちが、眠らせて欲しい、とやってきますが、そらまめくんは「宝物だから」と断ります。
そんなある日、そらまめくんのベッドがなくなってしまい、捜し歩きますが、皆は「知らない」、「貸してくれなかった罰」と言いました。でも、だんだんそらまめくんがかわいそうになり、自分のベッドを貸してあげようとしました。
ところが、そらまめくんは大きいのでちょうど合うものがありません。 何日かして、ようやくベッドは見つかりましたが何と!ベッドはうずらの下にありました。うずらはベッドに卵を産んで、暖めていました。そして、ついに卵はそらまめくんのふわふわベッドでかえりました!・・・

2年生のおはなし会で大型版の絵本で届けました。この絵本は可愛いだけでなく、豆の形やサヤの中の様子など、目で見えないところもきちんと描いてあります。
それで、実際にそらまめや、さやえんどうや殻のついたピーナッツそして、そらまめのベッドの実物を読んだ後に見せて子ども達にプレゼントしました。そらまめの花の絵も見せてあげました。おはなしの絵と実物を目の当たりにして、やや興奮気味の子ども達が印象的でしたね。
やはり、お豆の美味しい季節5月頃が最適でしょうか。そらまめくんシリーズは『そらまめくんとめだかのこ』『そらまめくんとながいながいまめ』があります。 読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。



そりあそび [さとうわきこ 作] 福音館書店

お馴染み、ばばばあちゃんシリーズの1冊です。雪の降る寒い冬の日です。ストーブの前で(近頃では見かけないダルマストーブがなんともいいですね)編物をしているばばばあちゃんの所へこいぬ、こねこ、きつね、ねずみ、たぬき、くま、りす、うさぎと次々ドドーッと飛び込んできました。
そこで、ばばばあちゃんはあったまりかたを皆に教えます。ベッドでトランポリン!ところが勢い余ってベッドが壊れてしまいます。さて、名案!ばばばあちゃんはこれをそりにしてすべろうと言うのです。
とっても楽しいそりあそびに羨ましい気持ちも加えながら子ども達と楽しみました。もちろん、冬のおはなし会で届けました。

他にも『すいかのたね』がありますがこちらは対照的で暑い夏の日のお話ですので、夏のおはなし会向きです。子ども達に人気のある2冊です。


 そんなことってある?   [奥田継夫・文/西村繁男・絵] 福音館書店

 ほのぼのとした三世代同居家族のある春の日のジョギング風景です。今時では珍しい大家族と家の造りや町並みは昭和の後半頃でしょう。(1981年版)ぼくの後に犬のタロウ、お父さん、おじいさん、妹、お母さんの順で2キロのジョギングをスタートしたのですが、途中、おじいさんが隣のおじいさんと立ち話を始め、お父さんがお腹の具合が悪くなり、お母さんはバーゲンに立ち寄り、妹はちょうちょうを追って横道に行ってしまい、分岐点のお宮についた頃には犬のタロウまで・・・でも、家にゴール1着はなぜかぼくでない・・・「こんなことってある?」
西村さんは生活に密着した風景画が多い中、表紙がピンクという春らしい彩りにユーモアたっぷりでほのぼのとした幸せな家族の様子が伝わってきて楽しい。
テレビ絵本で動きのあるアニメーションで紹介されていましたが、ジョギングの道程が見開き一杯に広がっていてじっくり手にとってよくみると面白い発見もありますよ。
春のおはなし会に楽しんだ1冊です。


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