≪絵本のおはなし≫おはなし会の中から…

おはなし会で届けた絵本の内容をここにご紹介します。
子供たちの様子を思い浮かべながら一つ一つ書き留めてみました。
一覧はBooksでご覧下さい。題名をクリックすると画像を見ることができる絵本もあります。

※ 記載文を無断で転載される事のないようお願いします。




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あおくんときいろちゃん   [レオ・レオーニ 作]  至光社

現代絵本の古典(1967年出版)といっても過言ではないような優れた絵本です。 指先で色紙をちぎって、レオーニ自身がお孫さんにお話してあげたという、愛情がいっぱいつまった絵本です。

「あおくん」は「きいろちゃん」と仲良しで、ある日、「あおくん」は「きいろちゃん」と遊びたくなってお家へ行くのですが、「きいろちゃん」はいません。あちこち探して、ようやく「きいろちゃん」と出会えた時、「あおくん」と「きいろちゃん」はうれしくて「みどり」になってしまいます・・・・

色の組み合わされたデザイン的な絵本で、「三原色」の秘密がつまっていてます。そして、色たちに感情移入していますから、その情景が見えてきそうですね。
単純なお話なのに、素敵に心を温かくさせてくれます。 また、とても新鮮に感じます。 幼い子ほどこのおはなしを喜ぶ気持ちが解かるような気がします。
小さい子の集まりが多かった、少人数の図書館でのおはなし会で喜ばれた1冊です。


 あかいはっぱ きいろいはっぱ   「ロイス ・エイライト 作」  福音館書店

サトウカエデ(砂糖楓)という北米大陸で、よく見られる落葉広葉樹は、秋になると赤や黄色に美しく色づきます。
その木を庭に植えた子どものお話です。めぐりくる季節とともにしてすくすく育って・・・・
カエデの根っこや庭仕事の手袋、麻布、鳥のごちそう、紙飛行機等がそのまま貼り付けているかのように、リアルに描かれています。そして、何よりも赤と黄色がとても鮮やかなカエデの部分がくっきりと切り取られて、立体感を醸し出していますから、子ども達は感嘆の声をあげ、近づき見入っていましたね。

「あきは 最高の季節。なぜだかわかるでしょう?」― そう、秋到来の頃のおはなし会にお奨めです!


あかい ふうせん  「イエラ・マリ 作」  ほるぷ出版

これは字の全くない絵本です。赤い風船ガムが大きく膨らんで飛んでいき木にとまったら、 あっというまに真っ赤なりんごに。それが木から落ちて、 りんごにひびが入り割れてしまったのかしら?と思ったら蝶々になってお花へ…と、 次から次へ様変わりします。
赤い色と、あとはシンプルな白黒だけですが、それ故に、お話しが一層ひきたって進んでいきます。
ゆっくりめくって見せてあげると、動きが出来て、 子ども達は赤い風船の旅に想像力を膨らませて見入ってくれました。

幼い子のおはなし会では、親子と一緒に「蝶々になったね」と口に出しながら、お話を楽しみました。
高学年のおはなし会では「とんぼになるかな?」「おっ!花だ」「おう〜!そうきたか」「ほらね、やっぱり最後は風船だ」とまるで謎を解くように、つっこんだりと飛び交う声が可笑しくて笑ってしまいましたね♪

他に『りんごとちょう』を1年生の朝読で届けました。やはり、文字が一切ありません。緑のりんごがだんだん赤くなり、小さな幼虫が生まれりんごを食べて成虫になっていきます。子ども達から「蝶じゃない。蛾だ!」と声があがりました。
正解!原語ではその通り「蛾」なんですねぇ。読み終わっても、又何度も表紙に戻って繰り返すことができます。自然の営みを美しく描いているイタリアデザイナーならではの1冊と感じます。

活動風景の写真コーナーでも作品を紹介してます)


あかちゃんのゆりかご   [レベッカ・ボンド 作]  偕成社

 赤ちゃんがうまれて来るとわかった時の家族の喜び、幸福な家族の様子が描かれています。ゆりかごをつくるお父さん。自分もゆりかごに乗って想像の世界へ誘います。おじいちゃんはそれにペンキを塗って想像を膨らませていました。
おばあちゃんは、ベッドカバーを作ります。うまれてくる赤ちゃんのことを思いながら・・・。おにいちゃんはモビールを作って赤ちゃんと楽しく遊ぶ事を夢見ていました。そして、お母さんは、ゆりかごをそっとゆすってにっこりしました。
さて、とうとう赤ちゃんはうまれてゆりかごの中でゆらゆらゆれていました。
赤ちゃんを取り巻く風景描写が様々な角度から捉えられているのが一層、生命の尊さ神秘性のようなものをを感じさせてくれます。〜いつもわたしをはげましてくれた母に〜と捧げる作者の思いが伝わってきます。


あかてぬぐいのおくさんと7にんのなかま   [イ ヨンギョン 作] 福音館書店

「あかてぬぐいのおくさん」は、いつも赤い手ぬぐいを頭にかぶっているおはり上手な奥さんです。「7人のなかま」は、「ものさしふじん」、「はさみじょうさん」、「はりむすめ」、「いとねえさん」、「ゆびぬきばあちゃん」、「のしごておとめ」、「ひのしねえ」。つまり、おはりしごとの道具たちです。
その道具たちが「奥さんのおはり上手は私のおかげ。このなかで一番大事なのは私」と自慢を始めます。そして、みんなの自慢話を聞いていた奥さんは、とうとうこらえきれなくなって、大きな声で言って聞かせます。「おまえたちは道具にすぎない・・・。」さあ、それを聞いて7人は悲しくてたまらなくなります。一方、奥さんも・・・。

韓国の民族衣装、チマ・チョゴリがとてもきれいで、ものさしや、糸巻き、針箱といった小物の、凝ったデザインとカラフルな色彩にも注目です。
韓国風の歌にもそれなりのメロディーをつけて歌って届けてみました。さて、不思議なお話に不思議な顔をして見入っていた子供たちでしたが?技術家庭を習い始めた高学年のおはなし会にどうでしょうか。


あかとんぼのたび   [小林清之介・文/横内 襄・絵] 福音館書店

池の中に住むヤゴが水から出て、アキアカネとなり、空を飛ぶ様子を描いたかがく絵本です。アキアカネ達の旅は何処までも続いていきます。大雨やカラス、ヒヨドリからの災難、台風にまきこまれ吹き飛ばされたりしながらも、また新しい次のアキアカネの命のために卵を産んでいきます。アキアカネの冒険の旅と共に一生を知る事ができ、秋を感じさせてくれます。絵も本質的でコスモスと竹竿に止まっているあかとんぼの構図の表紙は飾っておきたい位に素敵ですね。
もちろん、秋のおはなし会向きです。


あかんぼうがいっぱい!   [M.マニング・B.グランストローム 作]  岩波書店

「いのち・生きる」をテーマにブック・トークした絵本です。
子ども達は、いつかお母さんのおなかにいた時や、生まれた時のお話をお母さんから、聞くことがあると思います。動物の赤ちゃんは、お母さんから生まれてくるものと、卵から生まれてくるものとがあります。
―でも、あなたも、もとはたまごだったんだよ。― ここで、子ども達は「えっ」と驚きます。

又、人間と他の動物の大きな違いは何でしょう?「いのち」とは不思議で大切なものと感じる絵本です。



 秋   [五味太郎 作] 絵本館

 四季シリーズ絵本の一冊。さおに止まったつば広帽子はまだ夏の余韻を残しています。
鳥が止まり、とび立ち、「とんぼが止まった。」運動会、バス遠足、おまつり、音楽会、菊の花、・・・次々と秋を連想するものたちがとんぼの如くさおに止まります。こんな五味さんの感性が好きです。
なんと言っても、秋の匂いが星の香りを運んでくれるところはとってもロマンチック・・・そして、いつのまにか雪が舞いだして・・・秋のおしまい。季節は冬へと移行して行くのです。
小さな集団のおはなし会なら導入として晩秋のおはなし会におすすめです。


あきのかわらでいもにかい   [さいとゆふじ 作] 福音館書店

「秋のお芋」と言えば殆どの人が「さつまいも」を想像すると思いますが、このお芋は「さといも」なのです。
山形では秋になると川原で皆でさといもを煮て鍋料理をするそうです。「いもにかい」というのですね。その風景、様子は未知の者にとっては興味深いものがあります。

パステル風な色使いの絵も優しい感じがして、秋の爽やかな風景を醸し出しています。
「さあ、できた!ああ、おいしそう。・・・」両開きのページに広がった芋鍋の絵から湯気がいっぱい出てきて美味しそうな匂いもしてきそうです。このページは長めにしかっり見せてあげたいところ。「ああ、たのしかった。・・」本当にそうです、そうです。
もちろん、秋のおはなし会におすすめです。


 秋は林をぬけて   [小泉るみ子 作]  ポプラ社

 ―秋は、いつもの道をそれて、林をぬけて、家に帰る。わたしのお気に入りの道。林をぬけると、りんご畑、ぶどう畑へとつづく。畑では、とうさんと、かあさんが働いている。ある日、とうさんの使いで炭鉱の町のおじさんちに、ぶどうとりんごを届けることになった―。北海道の秋、生活の情景が濃い油絵で描かれ、ページを捲るごとに、色彩豊かに拡がっていきます。
おはなし会の導入として、実りの秋の季節に届けた1冊です。


  あさ/朝  [谷川俊太郎・文(詩)/吉村和敏・写真] アリス館

 この本、左開きからは、「あさ」と題して吉村さんの朝焼けの美しいページから始まる朝模様の写真に旋律を奏でるかのように清清しい谷川さんの言葉がのせられています。また、右開きからは、「朝」と題して、数々の短い朝の詩と朝の風景写真がページ毎に綴られています。まさに詩と写真のコラボレーションによる「朝のリレー」です♪
大人が読むもよし、親子で楽しむもいいでしょう。朝の10分読書の導入として子どもたちの前で読むのもおすすめです。(高学年以上がお薦めですが、『あさの絵本』の方が更に、大人数の前ではいいでしょう。)姉妹本ゆう/夕もあって、あさ/朝/ゆう/夕 2冊セットになっていますから、一日の終わりには、こちらを家庭でというように読み分けてみるのも良いかもしれませんね。通常のおはなし会では『あさ』夜のおはなし会には『ゆう』を届けました。朝の空、夕焼け空が一段と好きになりそうです。


アサガオのなかはみずがいっぱい   [森田竜義・文/さいとゆふじ・絵] 福音館書店

夏休みが近くなると子ども達は「アサガオ」の鉢植えを今年も持って帰って来るのかな?と思いながらこの絵本に触れました。
 これは、「水」から見たアサガオの謎がわかるようなかがく本です。アサガオにかけられた「水」がアサガオの中に入って探検です。暗い土の中の根っこから吸い込まれて(この根っこのもじゃもじゃが何だか虫みたいで凄い!)根っこの中なんて中々見えるものではないので本当に素晴らしい、凄いですね。どこまでも続いているトンネルのようです。
きれいで神秘的なアサガオの中の様子が描かれていて、思わず身を乗り出して見入ってしまいます。
本当に、「水」は生きていくうえで大切な栄養源で、なくてはならないものですね。
夏休み前のおはなし会に最適な1冊です。


あしたうちにねこがくるの   [石津ちひろ・文/ささめやゆき・絵]  講談社

あした、どんなねこかわからないけどねこを飼うことになり、心待ちにしながらどんなねこかとママと想像する女の子。
それがとっても楽しくて子ども達は大喜び。ライオンのようだったら、おやつを盗むようなねこだったら・・.・と次々と考えることといったら不安なことばかりです。果たして、やってきたそのねこは!
石津さんの講演で聞いた話。実際に母子で話題になったことをヒントに創作されただけあって、気持ちがとっても伝わってきて子ども達もこのおはなしを好きになったようです。ささめやさんの描くねこちゃんたちも実に楽しくて可愛い♪抱きしめてみたくなるほど?


あしのうらのはなし  [柳生 弦一郎 作]  福音館書店

科学絵本の帝王(※)柳生弦一郎さんの「足の裏」についての楽しいかがく絵本です。はだしになって駆けっこする運動会の時期にいかがでしょう。
人間の足の裏とゴリラの足の裏は、どう違うのでしょうか?足の型をとったことありますか?へっこんで写らないところは土踏まずっていうんだ・・・。
でも「足の裏」て、あまり見たりすることないでしょうか。本当に知らないことが多いようです。子供たちは熱心に聞いていました。かくし絵もあって、楽しく学べる一冊です。

(※)体の特徴についての柳生さんのかがく絵本は他にも多くありますが、『はなのあなのはなし』もユニークで「穴」をテーマにしたおはなし会でも届けました。


あたごの浦  [脇和子、脇明子・再話/大道あや・画]  福音館書店

讃岐のおはなし。「前はとんとんあったんやと。」ではじまる讃岐弁の語り口調がこのお話を一層ひきたてています。
波打ち際に打ち寄せる漣。潮の香も微かに漂ってきそう。もしかしたら、本当に海の生き物たちはこんな風に人間の見えない所で宴会をしているのかもしれませんね。そんな気がしてきます。そして「妙々々々々々」と手を叩いて囃し立てる様子のなんと楽しい事か。
何故か大人の方が大喜びしています。もしかしたらこれは昔、お子様だった人のためのおはなしかもしれません。



あたしねむれないの  [カイ・ベックマン・作/ペール・ベックマン絵]  偕成社

リーセンはお人形がないと眠れません。(そう、そう、子供って、そうよね。私の子供の頃もそうだったな。)
「おにんぎょうをもってきて!」と、お母さんを呼びます。でも、「じぶんで とってらっしゃい」と、お母さんのしつけは厳しい。(でも、このお母さん、そっと隣の部屋からリーセンのことを見守っているのです。)

ところが、しぶしぶ持ってきた人形も、くまのぬいぐるみがないと眠れないと言いますから大変です。大きな目をしてリーセンを見ています。そのうえ、クマ、イヌ、ネコ…次々に眠れない仲間は増えて、とうとうベッドに横一列に並んでいきます。リーセンは部屋から部屋を行ったり来たりで、いつになったら、眠れるのでしょう?

繰り返し、積み重ねの楽しさと動きを子ども達は次々に現れる人形達に目を輝かせています。


あたしもびょうきになりたいな!   [ブランデンベルク 作] 偕成社

以前、TV関口宏の「行列のできる本屋さん」でも紹介していた絵本です。
猫のエドワードが病気になり、周りの家族たちが親切にしてくれる様子を見て、「あたしもびょうきになりたい」とエリザベスは、思っているうちにとうとう本当に病気になってしまいます。
子ども達はこの気持ちに共感します。
健康である事の喜びは、病気になってみてやはり健康が一番いいとわかるのですね!そして、元気だからこそ、だれかのために何かがしてあげられる、それがいいという事も感じさせてくれると思います。小さい子が喜んで見てくれました。



あたたかいおくりものもりのおくりもの (3)   [垂石眞子 作] 福音館書店 

もりのおくりもの』3冊セットの内の1冊です。クリスマスのほのぼののとしたお話です。
クリスマスの贈り物にセーターを編んでほしいと森から、りすさんやうさぎさん、いのししさん、ねずみさん、そしてたぬきさんのところに葉っぱのお手紙が届きました。でも、たぬきさんは上手に編めません。さあ、いよいよ皆は手作りの贈り物を持って森に向かいますが、どうしてもセーターが編めないたぬきさんは・・・。

ほのぼのとして心が温かくなるお話です。又、パステル調の色使いが一層心を和ませてくれるのかもしれません。残念なのは小型絵本なので大人数の読みには難しい事です。それで、思い切って、これを大型絵本にしてみました。何本の色鉛筆を使ったのでしょう。(笑) 毎年、クリスマスのおはなし会にはお目見えの一作です。
 

もりのおくりもの』の中には、他に『もりのふゆじたく』『きのみのケーキ』があります。時間が余った時、おまけの1冊として届けました。
活動風景の写真コーナーでも作品を紹介してます)


あたまのなか   [高橋悠治・文/柳生 弦一郎・絵] 福音館書店

体の中で、頭はとても大切な所という事は、なんとなくわかっているもののどうなっているのでしょうか。
脳の仕組みが、子供にもわかり易く書かれています。そして、いろいろな信号を送っている所は、とっても爆笑しながらもわかったようです。
「脳はうそつきなんだ!へぇ〜。」 5年生の学年おはなし会で届けました。


あな[谷川俊太郎・文/和田 誠・絵] 福音館書店

横型上めくりの変形絵本です。自分の基地を造ることにより自分の世界に浸る少年の哲学書のような気がします。子ども時代って「隠れ場所の穴」を求めますよね。こういった心境はとてもわかります。
「何もすることがないから穴をほる」に対して、お父さんの言葉「あせるなよ。あせっちゃだめだ」がとてもいい。他のみんなは「何をしてるの?変な事してる?」という気持ちに対してお父さんだけは違うのですね。完成したした穴に「なかなかいい穴ができたな」と感心するこのお父さんは素敵です。励ましてほめることは大人として親として見習わなくてはとつくづく思いますね。
上から見た穴と穴の中から見る上(空)の違いは掘った者にしかわからない世界でしょう。「これはぼくのあなだ」がすべてを物語っているのではないでしょうか。

集団で読む時、めくり方にやや苦労しますが小学校おはなし会におすすめの1冊です。


あなたがうまれたひ [デブラ・フライジャー 作]  福音館書店

「いのち・生きる」のテーマでブックトークした時の絵本です。
バージニア・リー・バートンの『せいめいのれきし』とは対照的なデザイン、色彩感でシンプルそして鮮やかな色が印象的です。
毎日、どこかの国で新しい命が誕生しています。こんなにも優しくそして力強くそして、シンプルに誕生の喜びと重みを謳いあげている絵本に感動です。
1年生のお母さんから「おはなし会で読んで下さってありがとうございました。子供がとても好きになりました。」と嬉しいご報告をもらいました。



あねさまにばけたきつね    [松谷みよ子・文/松本修・絵]  コーキ出版

ある日、ようさくという男が草刈に出かけ、一匹のきつねの不審な様子を覗いていたら、なんと、あねさまに化けるのを目撃してしまいます。そのため、ようさくに、とんだ災難となってかえってくるという松谷みよ子さんの昔話です。
きつねが化ける話はよくありますが、松谷さんの文体が語りにしてもいいような、歯切れの良い口調のテンポがなんとも楽しくて味のある昔話となっています。絵も大胆に描かれた人物やきつねの飄々としたとぼけた、癖のある顔も、見ても楽しく子ども達もひき付けられていました。
秋のおはなし会に最適ですが、この出版社は残念ながら倒産して、現在入手不可能になっています。他の出版社から復刊される事を願います。


あのときすきになったよ  [薫くみこ・作/飯野和好・絵]  教育画劇

友情とは?と考えさせられるお話。飯野和好さんの強烈な絵と斬新な筆使いも元気を与えてくれています。
そして、大胆で迫力があるのですが、いたって繊細です。

「菊地まりか」という本名があるのに「しっこさん」と呼ばれている子がいます。もう、これだけで子ども達は大笑い。初めは「わたし」もしっこさんと心の中で呼んでいたのだけど・・・。
友達になっていく過程を、悪口の呟きからイバラのように、心に突き刺さる言葉の連続に少々、胸が痛みます。
でも「わたし」はあることをきっかけに菊地さんと仲良くなります。その背景となる青空のかなたに1本のひこうき雲がすうっと流れていきます。それは「わたし」のわだかまりが溶けていく心を象徴するようで、そんな細かい描写にも感動を覚えます。
でも、真に、「しっこさん」から「まりかちゃん」と呼べるようになったのは、ある事件がきっかけでした!?

心の成長が発達している子ほど、口をつむってこのお話に感動してくれました。「しっこさん」という言葉の面白さだけを捉えてこのお話を好きになった子もいました。いつか理解できる日が来ることを期待しながら、私自身の遠い昔の友情と重ねていました。紫陽花の美しい季節、6月頃のおはなし会に最適です。

読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。


あのやまこえてどこいくの   [ひろかわさえこ 作] アリス館

夕暮れ時、仲の良い母子が手をつなぎ、言葉あそびしながら帰り道を楽しんでいく様子が浮かびます。実際に、そんな風に生まれた事もあってか、リズム感となぞなぞの要素をもった楽しい小型絵本です。
もっと、大勢の子ども達と楽しめたらと画用紙に紙芝居風にして届けました。
子ども達は「・・・どうするの?」の問いかけに答えたり、次の言葉に感心したり笑ったりと大いに盛り上がりました。友達同士で楽しむから又、格別ですよね。



アボカド・ベイビー   「ジョン・バーニンガム 作」  ほるぷ出版

 病弱な家族に新しく誕生したやはり丈夫でない赤ん坊は、何も口にしませんでしたが、ついに、アボカドだけは食べました。それを機にこの赤ん坊はめきめきと丈夫になってあっと驚くようなスーパーベイビーに変身してしまうのです!その怪物並みの行動は「そんな馬鹿な!」と笑い狂う程です。バーニンガムさん、ここまでやってくれましたか〜、と抱腹絶倒する顛末に大人も一緒になって楽しんでしまいます♪
この1冊で、楽しいおはなし会になるでしょう。


あまがさ [やしま・たろう 作] 福音館書店

日本人の代表絵本作家として、世界的に有名なやしまさんがニューヨーク生まれ「モモ」という女の子を通して日本をこよなく愛する姿勢が感じられます。ニューヨークの風景と古風な言葉の感覚からもやしまさんの感性が伝わってきます。
それは、モモが三歳の誕生日にあまがさとながくつをもらった想い出をノスタルジアに綴られています。早くあまがさをさしてながくつはいて、外を歩きたいのに雨が降らない日が続き、モモは雨を待ちわびます。でもその内、いよいよ大降りになってあまがさをさしてながくつをはいて出かけたモモですが・・・幼い時、こだわった事や夢中になったことが思い出となることもあればいつしか忘却の彼方へ葬り去られてしまうこともあります。現実はそんな風に、案外さらりとしているのかも知れません。
この絵本はやはり、晴れの日ではなく外は雨で、雨の音をリズミカルに感じながら届けたい1冊ですね。
そして、静かに、そっと・・・聴きたいですね。


あめのひ   [ユリー・シュルヴィッツ 作] 福音館書店

よあけ』と同作者の絵本です。『よあけ』が<静>ならこちらは<動>。
躍動感溢れる、雨の息遣いが聞こえてきます。統一された色彩と言葉のリズムが一致して、こんなにも雨の日って楽しかったのかしら・・そう言えば子供の頃は雨の中でも水溜りで遊んだね。いつから雨を鬱陶しいと思うようになったの?
おはなし会の合間、長いおはなしの後に少し、心を解すのに最適な1冊だと思います。
やはり、雨季のおはなし会にどうでしょうか



あめふりのおおさわぎ  [デイビッド・シャノン 作] 評論社

突然の大雨にさあ、大変!ほえだした犬を父さんがしかり、赤ん坊が泣き、電話をしていた母さんが「しずかにしてよ!」と叫んで、家の中は大騒ぎ。そして、おまわりさん、パトカーまでやってくる始末。通りはたちまち渋滞し、何事かと店の人たちが出てきて、またまた、ひともんちゃく。次々と連鎖反応のように起こるできごとは、とどまるところを知らないで、どんどんいきますと……。そして、突然、雨があがり・・・。

見開きのページいっぱいに広がる、原色を多く使用した明るい絵。思い切りアップにしたり、いろいろな方向から捉えたアングルで、絵に奥行きや広がりが感じられます。さまざまな視点で、あちこちでおこる騒ぎのおはなしに何だかちょっと疲れも感じてきます。
あ、この絵本は大型で重いのです。ぜひ、集団の前で読まれる時は腕の力を鍛えられると思いますよ?(確かに腕が疲れたかな?)子供たちの反応はこの大騒ぎをどう、捉えたでしょうね。ニヤニヤ・・・・?
やはり、雨季に最適?


あやちゃんのうまれたひ   [浜田桂子 作] 福音館書店

大好きな1冊です。もうすぐあやちゃんの6歳のお誕生日。カレンダーの印を見ながらお母さんは懐かしそうにあやちゃんの生まれた日の話をします。
新しい命がうまれる。それを待ちわびる家族の思い、そして誕生した喜びと感動がしみじみと伝わってきます。 大人たちはみな、我が子の誕生の日を思い浮かべると思います。私もちょうど、この絵本と同じくらいの時期、年末に80本もの点滴の末に誕生した小さかった我が子の出産時を思い出します。

ぜひ、家庭でも集団でも届けてあげたいおはなしですね。
季節は12月ですが冬に限らず「命のおはなし」としても最適だと思います。


ALD・わたしだけのひみつのともだちさ   [ジョン・バーニンガム 作] ほるぷ出版

ひとりがすきなわたし。だけどひみつの友だちがいます。困った時にきてくれる友だち。さあ、アルドとは・・・?
疑問に思った絵がありました。〈わたし)のあるページだけ、線が異様に太くてまるで誰かがサインペンで上からなぞったようになっていて、これはバーニンガムの絵の上に誰かがなぞったのではないか、とも思えた位目立っています。実は本当に(ひとり)を強調しているからなのだと気がつきました。だから、アルドの大切さが伝わるというものです。こう考えるとさすが、バーニンガムです。

「この絵本好き!わたしにもアルドがきてくれるといいな」とおはなし会の後で、1年生の女の子がそう言ったのが印象的でした。きっと、こんな思いをしている子どもは多いのですね。バーニンガムは本当に子どもの味方です。


 あらまっ!   [ケイト・ラム・文/エイドリアン・ジョンソン・絵/石津ちひろ・訳] 小学館

ケイト・ラムさんはこの絵本が最初の作品で、イギリスの新人絵本作品に贈られるマザーグース賞を受賞されています。この絵本の主人公パトリックは息子さんと同名ですので、モデルになっているのかもしれませんね。
訳者は言葉遊びの達人といっても過言でない石津ちひろさんですので、楽しさ、面白さは格別です。
この絵本の題名「あらまっ!」は、おばあさんの驚きの口癖ですが、いつまでも、頭にこびりついてしまうほど何回も叫んで、ユニークでちょっとコミカルなおはなしです。そんなおばあさんにひきかえ、パトリックがいたって冷静なだけに可笑しみが倍増してます。「!?」の記号が さあ、何回でてきたのでしょうか?
しっかりとした聴かせるおはなしの後におすすめです。


アリからみると   [桑原隆一・文/栗林慧・絵] 福音館書店

昆虫写真家の栗林さんは「虫の目レンズ」「高速ストロボ撮影」など、次々とオリジナルの撮影機材を開発されて遠近ぼけない特殊な撮影方法で昆虫の世界を記録する昆虫写真界のパイオニアとなられました。受賞も多数とか。
昆虫の目線で世の中を見てみると、虫はこんなひろ〜い世界に生きているのですね!

これは アリの目線から撮影した写真絵本で、トノサマバッタ、イナゴ、ウスバキトンボ、ショウリョウバッタ、オオカマキリ、ノコギリクワガタにカブトムシと、いろんな虫たちの驚きの写真が次から次へと登場します。
アリの視線ですから、どの虫たちも画面に収まりきらないほど巨大で、ものすごい迫力です。子ども達ちからも思わず「おーっ!」と感嘆の声が上がりました。
夏休み前、夏のおはなし会、ブックトークにお奨めです。2005年感想文課題図書にもなりました。
 

あれってしってる?  [内田麟太郎・文/かわむらふゆみ・絵] 福音館書店

この絵本については、コメントしません。とにかくご覧あれ!子ども達は、食い入るように見ていました。
そして最後には・・・。ところで、あれって何?
おまけの一冊、しっかりしたおはなしの後など気分をほぐす1冊として。


あれれれれ   [やぎゅうげんいちろう 作] 福音館書店

「あれれれれ」と子どもの興味、好奇心な目で見たそれは・・・・に見えたよ!と、驚くような日常が子ども達の毎日には至る所にあるでしょう。そんな不思議に思うことを好奇心旺盛な子どもの目線から描かれています。そして、そこから、子どものイメージする世界をユーモラスに捉えている絵本です。最後の裏表紙まできちんと見てみましょう。
これは「あれれれ」と言葉のリズムを楽しむ絵本でもあるようですよ♪・・・ありりりり?
おはなし会の導入、しっかりとしたおはなしの合い間等に最適な一冊です。


アンナの赤いオーバー   [ハリエット・ジィーフェルト・文/アニタ・ローベル・絵] 福音館書店

事実に基づいたお話です。戦争が終わったら買ってもらえると、何ヶ月も新しいオーバーができるのを待ち続ける少女アンナのために、貧しさ故にお母さんが考えたことはとっても素晴らしく美しい。そして、素敵な贈り物をクリスマスに手にしたアンナの幸せな気持ちが心に響きます。
クリスマスおはなし会または高学年向けの12月のおはなし会にこの感動を届けてあげたいですね。


 イ
イエペは ぼうしが だいすき   [石亀泰郎 作] 文化出版局

イエペ少年と写真作家の出会いから写しだされた絵本。わずか3歳のイエペは帽子を100個も持っているという本当に帽子好きな心の豊かな男の子です。特にお気に入りの茶色のつば広帽子をどこに行く時もかぶっています。朝食以外は家の中でも帽子をとりません。帽子がないと病気になってしまいそうなほどに半端ではないこよなく帽子を愛する少年の愛らしさが実在の写真絵本だからこそ伝わってくる物があり、ほのぼのとした優しさに包まれるお話です。
公民館で不特定多数の子ども達向けに届けてみました。『イエペさんぽにいく』もあります。


石のししのものがたり―チベットの民話による [大塚勇三・文/秋野亥左牟・絵] 福音館書店

こどものとも傑作集の復刻版で、欲の深い兄と真面目な弟という、定番の昔話です。
兄に追い出され、山の神である石の獅子の言いつけを守り、黄金を手に入れた正直者の弟と、反対に、欲張りすぎて罰を受けた兄の物語です。
そして、とても雄大なスケールで兄が解放される経緯におかしみと、このお話を語り伝えてきた人々の温かさをも感じます。 高学年向きのおはなし会におすすめです。

 

いじわるブッチー  [バーバラ・ボットナー・文/ベギー・ラスマン・絵] 徳間書店

表紙のブッチーは小さいのに、大きな帽子をかぶって、口をグイッと横に開いて、歯をむき出しにして、いばっています。ピンクの縦縞のワンピースを着て一見、可愛いい子。でも、いつも肩をいからせています。
それもそのはず。ブッチーはよく恐竜ブッチーザウルスに変身して、「あたし」を困らせます。
なんとかして、ブッチーに負けない作戦を考えますが──。 子ども達の気持ちが少し知りたくなります。どう、受けとめているのでしょう。
お願い、いじめたりしないでね。そんな気持ちを込めて読みたくなります。ある意味、問題提起の1冊でしょうか?
色はあざやかな水彩画で描かれています。 


いそがしいよる  [さとうわきこ 作] 福音館書店

おなじみ、ばばばあちゃんのお話です。お星様のきれいな夜の野原の下で星空を見ながら夜を明かすなんて、ロマンチックで誰でも考えてみたくなる事です。でも、ばばばあちゃんだからこそ、ここまで出来るのですね。
ついに、ばばばあちゃんのしたことは・・・・。
これには、子ども達も「すげぇ〜」という歓声と共に大笑いでした。星のきれいな夏から秋の初めにおすすめです。

夏のばばばあちゃんの絵本に『すいかのたね』もあります。ばばばあちゃんがまいたすいかのたねをめぐって大騒動を起こす楽しいお話で、これも子ども達に大人気。夏のおはなし会に時々登場します。
他にも、『よもぎだんご』は3月、『どろんこおそうじ』は9月、『ばばばあちゃんのマフラー 』は12月、『そりあそび』は2月に届けました。


いたずらかいじゅうビリー!   [パット・ハッチンス 作] 偕成社

なんでも、じぶんでやらなくちゃ気がすまない弟のビリーに悩まされるおねえちゃんのヘイゼル。でも、おとうさんも、おかあさんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、ビリーの味方をします。おかげで、おもちゃをめちゃめちゃにされてしまい、ヘイゼルは遊ぶものがなくなってしまいました・・・。
どこかの家にも、こんないたずらかいじゅうがいそうです。そして、家族のすばらしさをも伝えてくれています。
鮮やかな色づかいと登場人物の表情も印象的な1冊です。

公民館で伝えましたが、終わってから、真っ先にこの絵本に飛びついていって、この絵本を放そうとしなかった子は最年少2歳の男の子でした。もしかしたら、ビリーのような子なのかも知れませんね。
ビリーシリーズのひとつ『せかい一わるいかいじゅう』も届けましたが『いたずらかいじゅうビリー!』と、うっかり間違えてしまうくらい表紙も似ていますね。他に、『いたずらかいじゅうのたんじょうび』『いたずらビリーとほしワッペン 』『いたずらかいじゅうは どこ?』等もあります。


いちご  [平山和子 作] 福音館書店

いちごの待ち遠しい季節に、思わずゴクリ。優しい言葉はどこから流れてくるのでしょう。問いかけと、その答えはどなたが言われてるのかしら?
本当に瑞々しい色づきに「さあ、どうぞ」があちらこちらから、小さい声が大きくなって、側まで差し出されたらそっと手を伸ばして食べる仕草を幼い子だったら必ずしますね。本当は大きい子もしてみたいのでしょうが恥ずかしいのかしら?
赤ちゃんおはなし会はもちろんの事。公民館や図書館のように不特定多数の子ども達が集まるおはなし会の合間にもどうでしょう。そして、いちごのなる時期、美味しい季節に最高です



いちご   [新宮 晋 作] 文化出版局

いちごに対する作者の愛おしいほどに思う気持ちが「いちご賛歌」となって描かれている1冊です。
いちご畑から甘い香りを放ち、土の中から緑の葉っぱととともに宿っている赤ちゃんのような可愛らしいいちごへの思いが厳しい冬の寒さを経て、静寂な季節の移り変わりとともに流れてきます。風や太陽や雨の実りとともにみつばちは訪問者となって・・・・。星も輝いて、いつしか白いいちごともなり得ます。
おはなし会の導入として、静かに気持ちを落ち着けて届けたい1冊です。


いちごばたけのちいさなおばあさん   [わたりむつこ・文/中谷千代子・絵] 福音館書店

いちご畑の土の中にかわいいおばあさんが住んでいました。いちごの実に赤い色を付けていくのが、おばあさんのお仕事です。
絵本の世界でも異常気象があるのですね。まだ、春遠いのに天候の所為で葉が伸びてしまったため、おばあさんは忙しくなります。そして、仕事が終われば歌が生まれます。♪わたしゃいちごばたけのばんにんさ・・・・ ところが翌朝は一面の雪景色!

―キャンパス地に描かれた中谷さん独特の筆運びが、わたりさんのお話と溶け合って、寒い冬から暖かい春の訪れを感じさせてくれます。そして、いつもながら動物達が生き生きと登場してきます。中谷さんの動物をこよなく愛する気持ちが伝わってきますね。
ほっとさせるやさしいお話。春を呼ぶ季節のおはなし会プログラムに最適です。
 


いちねんせい  [谷川俊太郎・詩/和田 誠・絵] 小学館

題名通り、1年生のための詩の絵本です。『これは のみのぴこ』コンビによる谷川さんの詩に和田誠さんが楽しい絵を描かれています。
1年生の朝読でこの中から1つ、2つと選んで届けましたが、静かに集中して感じ入ったり、中には笑い転げたり、くすくすと笑ったり様々です。
例えば、「わるくち」という詩は子どもの中では、ありがちなお互い負けずと悪口の連発、言い合い合戦が繰り広げられる言葉が連なっていきます。でもその内、言う事が尽きてしまうと・・・「そのつぎなんといえばいいか ぼくわからなくなりました しかたないから へーんといったら あいつ ふーんといった」子ども達はもう大爆笑です。共感できるからでしょうね。「この本借りよ〜」と中々、好評な1冊です。

『いちねんせい』が読み終わったその次に、薦めたいのが、同コンビによる『ともだち』。高学年から先生も好評です。


いっぱい やさいさん [まどみちお・文/斎藤泰久・絵] 至光社

「きゅうりさんは、きゅうりさんなのがうれしいのね・・」とひとつひとつの野菜さんたちを、こんな風に優しく表現されたら、野菜さんたちを見る目が変わります。丁寧に一枚づつページをめくりゆっくり心を込めて、野菜さんたちの詩をうたいたくなります。
野菜さんの側には小さな虫さんが応援していますよ。虫の名前も最後に紹介してあるのが親切です。
「あかがねさるはむし」なんて知らなかったわ。
おはなし会の後にそっとこの本を持ち出して読んでいた子がいましたね。



いっぽんばしわたる  [五味太郎 作] 絵本館

五味さんの言葉の世界の面白さが詰まった絵本。幼い子から高学年まで楽しめるから不思議です。
少し長めの小型絵本は親子で楽しむのには、ちょうど良い大きさでしょう。
おはなし会ではやはり小さすぎて、遠目がきかないので画用紙に紙芝居風にして届けました。紙芝居なのでめくる時は右から引くのか左からなのかよく気をつけてね。くれぐれも後退りする事のなきようにね♪



いつもちこくのおとこのこ   [ジョン・バーニンガム 作 ] あかね書房

「ジョン・パトリック・ノーマン・ マクへネシー」という名前のいつもちこくばかりしているおとこのこですが、谷川俊太郎さんの訳だけあって詩のように、いつのまにか覚えて頭から離れなくなりそうな位「 ジョン・パトリック・ノーマン・ マクへネシー」が何度も繰り返されます。
彼はとても不条理な思いをさせられます。学校に行く途中、思わぬ災難に遭い、時間をとられてしまいます。遅刻した学校で、先生は彼のいうことをまったく信じないで、罰を与えます。さて、最後は落ち着いてピンチを切り抜けることができたでしょうか。「こんな先生はいない?」そして、「いつも遅刻ばかりしている子は?」と質問したくなります。やはり、小学校でのおはなし会におすすめです。


 いのちのまつり   [草場一壽・文/平安座資尚・絵] サンマーク出版

“ヌチヌグスージ”と副題がついた沖縄の絵本です。沖縄のおばあを思い浮かべながら暖かい気持ちと同時にさすが長寿の里で、命を大切に祖先を敬い思う気持ちになります。楽しい絵と共に祖先から繋がってきた人の命が沖縄独特のお墓の話と共に広がっていきます。命が一杯繋がった拡大ページは思わず「お〜!」と声が出てしまいますね。
『命の旅は終わらない。いや、終わらせてはいけないのである。「無限」という可能性を秘めて、今、光輝いている生命の物語を一人でも多くの人に伝えてほしい。』と作者は言われます。命を考える一冊です。


いろいろあってね  [内田鱗太郎・文/本信公久・絵] くもん出版

まさに、いろが色があってね、いろいろあってね、色々あってね・・・・
「色」をテーマにしたおはなし会での言葉遊びに使いました。
おはなしのつなぎや合間におすすめです。



いろいろいろんな日   [ドクター・スース・作 / S・ジョンソン、L・ファンチャー・絵] BL出版

今日の気分を色にしたら○色気分と、思う時がありますよね。毎日変化する中で心もその状態で変わっていきます。
そんな心の動きを色で表現して描かれています。
色のもつイメージを喜怒哀楽の気持ちにしたら・・・子ども達や私たちのもっているイメージとさて、同じ?どうでしょうか?色々あるからおもしろいですね。
絵本を読み終わってから、今の気持ちを色にしてみるとさあ、何色かしら?子ども達からも色の名前が飛び交っていたようです。
暗い気分の時、明るい時だけでなく無理して元気に繕っている時だってあるのね。素直になれない時だって、そんな自分が嫌だなと感じる時だってあります。そんな自分の心の中を見つめることができる、元気を与えてくれる絵本ともいえます。


いろがみの詩  [野呂昶・文/とだこうしろう・絵] 戸田デザイン研究室

「色」をテーマにしたおはなし会・ブックトークの最後に読んだ絵本です。
優しい心に包まれるような詩と色紙型の絵に、遠い昔の母の匂いを懐かしんだり、色でイメージする事で見えてくる世界もあるのねと、大人も溶け込んでしまう。そんな詩と色の絵本です。
さあ、あなたは、どのいろがみがお好きですか?



いろいろへんないろのはじまり   [アーノルド・ローベル 作] 冨山房

「色」についてブックトークした内の1冊。昔は黒と白しかない灰色の時があったというお話から始まります。
魔法使いがこれではいけないと「青」を作りますが、人々の気分は悪くなってしまいます。
それで又、「黄色」次は「赤」と創るのですが・・・。
細かい描写が多いので、集団で読むには不向きかなと思います。でも、楽しいお話なので「読んでね」という気持ちを込めてブックトークで届けてみました。



 いろのダンス   [アン ジョナス 作] ベネッセコーポレーション

 「色」の絵本って数多いとつくづく思います。それは「色があっての絵本」だからでしょうか。
これもその内の一冊です。新体操の演目で、大きな色の布を持って華麗に舞うダンスがありますが、その布と同色のレオタードを着た人達が織り成すダンスから、単色から混ざり合った色の数々、色と色の変化をお楽しみあれ・・・といったところでしょうか。最後は全部を混ぜて、ダンスは終わります。
知ってたかな?色の混合?さあ、絵の具で確認したくなった子もいたりして・・・・目で楽しみ、ダンスのようにリズミカルな言葉も生き生きとして集団おはなし会の合い間やしっかりとした中心になるおはなしの後におすすめです。


 ウ
ウィリーとともだち  [アンソニー・ブラウン 作 ] 童話館出版

アンソニーさんはこよなくゴリラを愛する人です。動物を擬人化する事は絵本の世界では当たり前のことなのに、何故かアンソニーさんにかかると、わざわざゴリラがこの世界を支配して、人間様が動物園の檻の中に入れられてしまうから、滑稽です。
孤独な少年ウィリーに、怖いもの知らずで一見悪びれた風貌、でも本当は心優しくて世話好きなヒューはウィリーの良き友達になりました。でも・・・「こんな子っているよね」どこかから声が聞こえてきたような?読んだ後、心がホッと温かくなりました。


他に『ボールのまじゅつしウイリー』もあります。サッカーが好きで練習はしているけど選手になれないウィリーがある工場で不思議な少年と出会ったことから、サッカーが上手くなり選手に選ばれます・・・。
サッカー好きっ子に届けてあげたい1冊です。


 ウエズレーの国   [ポール・フライシュマン・文/ケビン・ホークス・絵] あすなろ書房

他の子よりはみだしていると両親から思われているウエズレー。個性尊重をテーマにしたような一冊です。でも、このお話が面白いのは教訓的でなく、むしろはみだしっ子賛歌になっているところのように感じます。友達からも阻害されたいじめられっ子が考えたことは、夏休みの研究に自分の庭を造ること。誰からも認められない少年が自分で考え、研究し、創り出す。そして、ウエズレーはそれだけに留まりませんでした。実った作物をいかに育てて、そこから色々なものを獲得していきます。まさに”文明”でした。すると、それを羨ましく感じて友達が大勢集まってきて・・・・
他者と同じであることよりも違うことが素晴らしい!・・・読後感に爽やかさを感じます。絵も鮮明で、画面いっぱいに広がり、一人の少年の王国物語を鑑賞しているかのようです。夏休み前、夏休みにお薦めです。


うさぎのくれたバレエシューズ   [安房直子・文/南塚直子・絵] 小峰書店

大好きな絵本の1冊です。このコンビによるお話は、優しい心に包まれますね。表紙、扉をめくって見返しにまで南塚さんの、春爛漫の美しい絵が隅々にまで広がっています。
バレエが上手になりたいと、いつもお願いしていた女の子の元にある日、不思議な小包が届きます。その贈り物は山のくつやのうさぎさんから届いたバレエシューズでした。女の子は早速お礼に出かけて、そこで見たものは・・

大人数のおはなし会では遠目が効かないかもしれませんが、女の子は特に喜んでくれますね。
どこからか、うさぎさんのダンスミュージックが聞こえてきそうです。
桜のきれいな時季に最適です。


 うさぎのみみはなぜながい    [北川民次 作] 福音館書店

 メキシコの民話です。仲間達にいじめられてばかりいるうさぎがもっと大きくしてほしいと、神様に願いでました。神様はそれには、3つのことを命じたとおりにしたら願いをかなえてやろうと言われます。それは小っぽけなうさぎにとっては難題でしたが知恵と勇気を振り絞って、願いをかなえてもらう為に挑みます。さて、それはどんなことだったでしょう。そして、うさぎは叶えられたのでしょうか・・・・という「なぜなぜ話」のとてもよくできた昔話らしいお話です。色合いもとてもシンプルにおさえて(藍色一色の画面と三色刷りのみ)想像力をかき立てられます。
大人数の前で読むには遠目が効くか気になるところでしたが、6年生のクラスでしっかりと聴いてくれました。質の高い絵本だとあらためて思います。


うずまき   [よつもとあきら 作] 福音館書店

自然の中の形。よ〜く気をつけて探せば、こんなところ、あんなのも、面白い渦巻きの形に見えます。
驚いたのは、まつぼっくり。「ひとつひとつのうろこをたどってごらん。」そうだったんだと、気付かされます。
あらあら、○○○まで!?これには子ども達も大笑い。「そして、わたしたちのすむ うちゅうも うずまきで できている なんだかふしぎだね」 おまけの1冊にどうでしょう。



うそつきのつき    [内田隣太郎・文/荒井良二・絵] 文溪堂

黄色い表紙に笑わない満月から始まって、―おじさんは笑いません。ニワトリが二羽、鳥を飼っていても。おじさんは笑いません・・・と、ずっと駄洒落が続きます。
そして、本当に最後までこのおじさんは笑わないのでしょうか?
アクセントを間違えないで読むことに練習がいります。言い方しだいで違ってきますものね。
子ども達も表情がくるくる変わり、最後は・・・
しかっりしたおはなしの後、気分をほぐす1冊としていいかも知れません。お月様のきれいな秋にでもいかがですか。 


 うたがみえる きこえるよ   [エリック・カール 作] 偕成社

 エリック氏は、優れたしかけ絵本が多い中でイマジネーションを大切にした絵本と言えるでしょう。・「・・さあ!あなたも耳をすませ、空想のつばさをひろげて、絵本の中のうたを みてごらんなさい。」と。独自の創作色紙を繋げて宇宙空間いっぱいに広がった 絵、絵、絵・・・何を感じ何を見て音を聴いたかは、それぞれの胸の中、頭の中で描いてみることができるでしょう♪さあ、子どもたちは?大きなおはなし会の前の導入としてお奨めです。


うつくしい絵  [かこさとし 作] 偕成社

「色」についてブックトークした内の1冊。美しい色、絵とはどんなものをいうのでしょう?
加古さんは、美しさを感じ取れる人になってほしいという願いからこの本を創られました。美しい絵とは美しいものを美しく描けば見る人は美しいと感じるでしょうか?
名画の中から一つ一つひも解かれる様に読み進むうち、本当に絵画展にいるようで心が洗われ「美しい心」になって幸せを感じてしまうそんな素敵な1冊です。



うみとぼく   [中渡治孝 作] 福武書店

美しいとかいうのではなく、自然な海がここにあります。技巧的でない普段着のように描かれた海。
都会暮らしから離れ、田舎の海町で暮らし、自然と触れ合った作者ならではの漁師さんの目から見た海のようです。
漁師とその子どもの素朴なお話もすっと溶け込んで、静かな穏やかな空気がそこにあります。
アメリカとカナダでも『The Sea and I』として出版されたようです。
少しお話に慣れた子ども達に届けたい1冊です。


うみのおまつり  [東 君平・山口 進 作・笠原邦彦・おりがみ]福音館書店

これは必見の絵本です。影絵と折り紙と詩が一体になって織り成すお話。
ぜひ、折り紙の上手な方はこれを見て折って、子ども達にお話してあげてみたらどうでしょう。もちろん、絵本だけでも充分楽しめますよ。言葉を噛締めるように、ゆっくり丁寧に見せながら読んでみて下さいね。
「もっと、見ていたい」と子ども達からも請求された1冊です。



うみのしっぽ  [内田隣太郎・文/長新太・絵] 童心社

このコンビにかかったら奇想天外、怖いもの知らずって思ってしまいます。
いきなり、「にげるんだ」から始まり、描写が物凄く大きくなったり、遠目が効かない程小さくなったりで絵の動きにスピード感があります。だいいちお魚がぴゅーんって空を飛んでくるのですから、たまりません。
でも・・・知っていました?小川をこちょこちょとくすぐると海がくすぐったがるなんて。
まぁ、この絵本は楽しみながら理科に強くなるのですね!?とにかく「アハハ・・」と声をあげて楽しんだ1冊です。夏のおはなし会におすすめです。


うみべ  [織茂恭子 作] サンリード

夏の終わりの海は想い出と共に何故かもの悲しさを感じます。沈む夕日の鮮やかな色彩と共に、静かに流れるような短いおはなしに込められた思いは、役目を終えた砂浜の船に託しているかのようです。
そして、女の子と男の子、おじいさん、大きな犬が見つめている先はみな同じです。
「しずかな、しずかなうみべです。・・」舞台の一幕を見ているように黙って見つめていた子ども達の顔が印象的でした。
もちろん、夏の終わり、秋の初めのおはなし会に導入としておすすめです。



  [ジーン・ジオン・文/マーガレット・ブロイ・グレアム・絵] 福音館書店

どろんこハリー』の夏編。家の人たちと海水浴にでかけて、またまたひと騒動のハリー。
海草を頭からかぶって海のお化けに間違われ、海岸で遊んでいる人たちを次々にまきこんでいきます。 でも、最後は家族の溢れる愛情にハリーは幸せですね。ハリーはいつも、とってもかわいくてお騒がせで楽しい。そして、子ども達に愛されていますね。やはり、夏のおはなし会に最適です。



ウルスリのすず  [セリーナ・ヘンツ・文/アロイス・カリジェ・絵] /岩波書店

大塚勇三さん訳のこの絵本は長いけれど、しっかりとした主題を持って子どもの心に飛び込んできます。そして、物語の展開からぐいぐい惹きつけられ最後まで楽しめるお話だと思います。

ウルスリという山の子どもは家のお手伝いをよくする男の子です。明日は鈴行列のお祭りという日、鈴を借りに出かけました。大きいのがほしかったのですが、一番小さな鈴しかもてなくてがっかり。考えに考えた末、夏小屋に大きな鈴がかかっていた事を思い出しウルスリはその鈴がほしくて、雪の森の中を出かけていきました。でもそれは、とても辛い山登りでした。そして心細く不安にもなります。もし、その鈴がなかったら・・・・。お父さん、お母さんはウルスリがいなくなって、心配して探し回ります。とうとう、朝になりました。さて、ウルスリはどうなったでしょう!

高学年の男の子が熱心に聞いてくれました。きっとウルスリと共に冒険をしていたのでしょうね。冬の高学年おはなし会におすすめです。


うんぴ・うんにょ・うんち・うんご   [村上八千世・文/せべまさゆき・絵] ほるぷ出版

図書館員さんにすすめられて届けた絵本です。こういう絵本はちょっと恥ずかしい?でも、人の健康のバロメーターの便の様子を楽しく率直に伝えてあるのはさすが「学校トイレ出前教室」の講師をされている作者だけのことはあります。まるでうんちの四段変格活用のようですが、この状態が大切なのです。

うんち: 繊維質の豆、野菜を食べて早寝、早起きで正常なのをだしましょう!
うんご: でも、野菜をたべないで排便をガマンしていると、なかなか出てこない! においはすごく臭くてカチカチだから痛いんですって!
うんぴ : 冷たいものばかり食べ過ぎると お腹が痛くなって ドロドロのがピーっと出て 黄色っぽくて たまごが腐ったみたいなにおいですって!
うんにょ: よく噛まずに食べると、ふにゃふにゃのがにょろりとでて、黄色っぽくてちょっと臭いようです。

このことを知ったら、便をがまんしないで、規則正しく排便できるようになるといいですね。


 エ
 えぞまつ   [神沢利子・文/吉田勝彦・絵] 福音館書店

北海道の深い森にえぞまつが立っています。えぞまつはゆっくり育つ木。ぐんぐん伸びる他の木に負けておしのけられてしまいます。芽生えても芽生えても育たない?でも、北海道の森には悠々と、えぞまつがそびえ、生きています。
なぜでしょう?それは・・・・
秋、冬、春、夏と移り変わる四季にえぞまつの力強い命の息吹、受け継がれていく命が描かれています。
雄大な凛とした北海道の自然、森に生息するえぞまつに感動です。
少々、字は読みにくいかもしれませんが、何度も練習して大きい子向けに届けてみたい一冊だと思います。


えのすきなねこさん  [にしまきかやこ 作] 童心社

 にしまきかやこさんの画風は、淡いパステルカラーで、余白を充分とっているイメージがありますが、この絵本は、濃厚なタッチで彩色されていて、最後のページまで、全く余白のない珍しい作品です。
とっても絵を描くのが好きなねこさんのところへ、うさぎ、きつね、さる達がやってきて、何の役にも立たない絵を描いているのかと言われます。でも、ねこさんはやっぱり歌いながら、絵を描きました。そして、三匹が又やってきて、猫さんの絵を見ましたが・・・・
芸術の秋のおはなし会に届けました。


 エンソくんきしゃにのる   [スズキコージ 作] 福音館書店

 汽車の中に羊飼いと羊が乗り込んできたらどうします?エンソくんは、ひとりでおじさんの家まで汽車に乗って向かう途中でした。大人の人とも、友達も知っている人はいない一人旅です。車中で話し掛けられた優しいおばさんとの語らいの中でほんの少し、寂しさも紛れて、和んだ一時も束の間、そのおばさんも「ぼうや、きをつけてね」という言葉を残して途中下車してしまい、入れ替わりに、羊がどっとたくさん乗り込んできて・・・・
さてさて、これからどんな楽しい(?)汽車の旅が続くのでしょう。
スズキコージさん独特の青、黄色を基調とした油絵で大胆に描かれた汽車の旅は、長方形の型版「こどものとも傑作集」ならではの持ち味を上手く引き出しています。
汽車のような長い乗り物と暗いトンネル、男の子の一人旅、不思議なものとの出会い、どれも子どもの想像力をぐんぐんと伸ばしてくれる要素を抱えてスズキさん独特の世界がマッチしているのでしょう。
子ども達の笑顔がそれを物語っていましたね。


 オ
王さまと九人のきょうだい  [君島久子・文/赤羽末吉・絵] 岩波書店

中国のイ族に伝えられている昔話。
こどものいない老夫婦に、神から授かった九人の子どもの名前は「ちからもち」「くいしんぼう」「はらいっぱい」「ぶってくれ」「ながすね」「さむがりや」「あつがりや」「切ってくれ」「みずくぐり」。顔も体つきもそっくりな九人兄弟です。
兄弟達はそれぞれの得意技で、悪い王様が出す難題に立ち向かいます。
赤羽末吉さんの質の高い絵が昔話の不思議さ、面白さを盛り上げてくれます。子ども達も愉快痛快な物語に引き込まれれているようでした。
おはなし会の最後を飾り、みんなで腹いっぱい楽しみました。 


おおかみのチキンシチュー   [カザ 敬子 作] 西村書店

食いしん坊なおおかみが、ある日チキンシチューを食べたくなりました。そこで、見つけたにわとりをチキンシチューにしてやろうと飛びかかろうとします。でも、もっと太らせてから食べようと、おもいとどまり毎晩せっせと、お菓子などを作っては運びます。
さあ、食べようと訪れたその時、100羽のヒヨコたちにお礼を言われてしまいおおかみは・・・。
どうなるのと先が楽しいおはなしって最後に必ずあららら・・となるのよね♪又、それが楽しい。おおかみって何故か子ども達に人気者です。


おおきなおおきなおいも   [赤羽末吉 作] 福音館書店

大好きな絵本の1冊です。子ども達もいもほり遠足の時を思い出しているのでしょうか?幼児は特に喜んでくれました。やはり、実際の幼稚園での出来事を赤羽さんが楽しい本にしてくれました。
特に、おいもが大きくなって「まだ、まだ」とページをめくってもめくってもしばらく続く所は「わあ、すごい!」子ども達は目を見張ります。大きなおいもに、またまた、歓声が上がりました。
もちろん、秋のお芋の美味しい時期に最適です。



おおきなおとしもの  [アンデルセン作/J.ウォ-ル文/R.クルツ絵] ほるぷ出版

アンデルセンのお話はとても素敵なのですが、集団のおはなし会に向く絵本は数少ないですよね。その中でもこの絵本は最適だと思います。でも、本来は詩なんですね。それをジャン・ウォ-ルさんが創作されました。
扉をめくると「えほんのすきなひとに!」ですって!これだけでもう、わくわくします。色使いは黒ペン字の輪郭に5色ほどの彩色におさえてある所がこのお話を惹き立てています。でも、夢見るおばさんのひょうきんさと現実の厳しさの滑稽でそれでいて憎めないのは、どこかの誰かさんと共通点があるからでしょうか?
子ども達はさすがに、途中で結末に気がつきます。またそれがいいのでしょうね。最後は「おしまい」ではなく、「・・・おきのどく」で閉めるからまたいいですね♪

2005年4月2日はアンデルセンの生誕200年ということで復刻版が多数出版されています。今の子ども達はディズニーしか知らないという事がないようにしっかり届けたいですね。早速、記念すべき生誕4月のおはなし会でも届けました。そんなに長くなくそれでいて満足感があって子ども達も楽しんでいました。


おおきなかぶ  [内田莉莎子・文/佐藤忠良・絵] 福音館書店

このロシアの昔話に、内田さんの音楽的で力強いリズミカルで、無駄のない簡潔な訳文に佐藤さんがしっかりした動きのある絵をつけておられます。本当にもうこれ以上のものはないと感じられるほどとよくできています。そして、横長の形態だから尚更です。もう、絵本好きなら何の説明も要りませんよね。
幼い子は声を大にして「うんとこしょ・・」とお話の世界に溶け込んでいきます。小学生でも喜んでくれました。



おおきなすいか   [なかのひろたか・文/二俣英五郎・絵] 童心社

暑い夏の森の中、くまさんはおおきなすいかを見つけてご機嫌でした。そこへ、きつねさんがやってきてすいかは冷やした方がおいしいと教えてくれます。そこで、くまさんは川へすいかを冷やしに向かいますがなぜか、きつねさんも後からついてきます。そこへ、たぬきさんとうさぎさんもやってきましたが、いつのまにか「くまさんがすいかを冷やしてごちそうしてくれる」ということに摩り替ってしまいました。「そんなこといってないよ」とくまさんはすいかを抱えて走り出します。みんなはくまさんを追いかけ、川までやってきましたがすいかを冷やすほどの川は流れていませんでした。そこで、・・・・

思わず、くすりと笑みがこぼれるほどの可愛らしいお話ですが、独り占めしないで知恵を出し合って働いて、仲間と分け合えたすいかは最高においしく食べる事ができたのでしょうね。最後のページはちょっと感動です。くまさん、うさぎさん、きつねさん、たぬきさんが並んで見つめている先は雨上がりのきれいな虹です。ほのぼのとして温かい絵本です。
1年生の朝読、夏休み前に届けました。みんなニコニコ顔で楽しんでくれました♪


おおきなのはら  [J.ラングスタッフ・文/F.ロジャンコフスキー・絵] 光村教育図書

きな野原のあちこちで、かわいい動物の親子がおしゃべりしているよ!−この次、いなかにいくときは、この本にでてくる動物がいるかどうかさがしてみようね。そうっと歩きながら、よーくみるんだよ。きっと、見つかるよ。−
2色刷りのページと暖かい色使いの多色刷りとがミックスされていて、呼びかけるようなやさしい言葉と迎合しています。
大きな野原の日当たりのいい砂地にかめの親子。こがめは1ぴき。次はきつねの親子でこぎつね2ひき。というようにだんだん数が増えていきます。そして、最後は・・夕闇に風が吹いて全ての動物たちは走り去っていきます。本当に野原に出て探してみたくなります。
これは詩の絵本のようですね。おはなし会の導入として届けました。



おおきなもののすきなおうさま   [安野光雅 作] 講談社

昔、ある所に、大きな物が大好きな王様がいました。王様は家来に命じてなんでもかんでも大きく作らせます。さてさて、家来達は奮闘してどんなものを作ったのでしょう。最後のページに描かれているものは?
安野さんらしく幾何学的で面白く描かれています。春におすすめです。


おおはくちょうのそら  [手島圭三郎 作] リブリオ出版

北海道の湖に春が訪れ、北の国へ旅立とうとする白鳥の一家。でも、子どもが病気になり一羽だけ残して旅立ちます。
親白鳥は、どうしても残された子どもを置いていくことができずに又舞い戻ってきます。ところが、戻ってきたのを見て安心した子どもは、その夜、息を引き取ります。
家族を思う心、美しさ、別れの悲しさが切なく心に響きます。また、北海道の大自然や羽ばたく白鳥の伸びやかな姿が描かれた版画の美しさにも感動します。
静かに、静かに届けたい1冊です。できれば冬。高学年の学年おはなし会におすすめです。 


おかあさん   [瀬戸口 昌子 作] ポプラ社

子どもにとって、誰よりも好きな人はお母さん。温かくて優しく守って包んでくれます。本当に地球上で最も安全な場所でしょうね。でも、ある時は厳しく叱ってくれます。だから「おかあさん・・」
私は本当にこんな母親だろうか?そして、私の母はどうだったかしら?作者もご自分のお母様は違っていたと思いながらも浄化されて故郷となっています。今の子ども達はどんな気持ちでこの「おかあさん」を受けとめるのかしら? 5月の母の日頃に届けた1冊です。



おかあさんだいすき   [マージョリー・フラック 作] 岩波書店

長年読み継がれ、これからも子ども達に届けたい絵本の1冊です。この中には短編が2編入っています。『おかあさんのたんじょうび』と『おかあさんがあんでくれたぼうし』 で、どちらもおかあさんへの愛がいっぱいつまっています。
5月に、『おかあさんのたんじょうび』の方を届けました。

ダニーは、もうすぐお母さんの誕生日なので何をプレゼントしようかと考えます。決める事が出来ないので、誰かに相談する事にしました。
めんどり、がちょう、やぎ、ひつじたちがそれぞれのおすすめを教えてくれるのですが、どれもお母さんがすでに持っているものばかりです。そこで・・・・
ダニーのおかあさんへの愛情たっぷりのプレゼントはとても素敵なものでした。
残念な事にこの絵本は小型版で集団ではそのまま読むには無理があります。そこで単純な繰り返しとリズミカルな言葉を効果的に届けるためにパネルシアターにしてみました。熱心に見入ってくれた子ども達でしたね。
5月のおはなし会、母の日頃におすすめです。
活動風景の写真コーナーでも作品を紹介してます)


おかえし  [村山桂子・文/織茂恭子・絵] 福音館書店

日本の風習とでもいうのでしょうか。大人のお付き合いの世界って、ちょっと子どもから見たら摩訶不思議なものとして映るのかもしれませんね。それをブラックユーモアとでもいうように面白おかしく、繰り返しと積み重ねの言葉に乗せて描かれています。もう、最高!
たぬきさんの家の隣にきつねさんが引っ越してきて「・・・・これはほんのつまらないものですが・・・」と、いちごのかごを渡します。たぬきさんはそのおかえしに、たけのこをもっておかえしに行きます。「・・これはほんのつまらないものですが・・・」と。それから永延とこのおかえしが続きます。
さてさて結末は・・?子ども達はこのおかえしのセリフを共に声を大にして、楽しんでくれました。



おじさんのかさ  [佐野洋子 作] 銀河社・講談社

好きな絵本の1冊です。大人って些細なものにこだわる事があります。反対に子どもの無邪気さに助けられたり気づかされる事があります。もしかしたら、これは大人のための絵本かもしれません。
おじさんは傘を「ひらきました」ではなく「ひらいてしまいました」という言葉と大きく開かれた黒い傘が全てを物語っている気がします。でも、子ども達はそんな事はどうでもいい事。「あめがふったら ポンポロロン あめがふったら ピッチャンチャン・・」とこのお話に出てるくる子ども達と同様の気持ちで声を出して歌ってくれます。
おじさんの傘は「宝の持ち腐れ」にならなくて良かったね♪ものを大切にするという事は使わないでしまっておくのではありません。持っている役目をフルに使う、生かしてこそ本物です。そしてそれこそ大切にするということなのでしょうね。

それにしても・・講談社と銀河社の絵本を比べてみますと絵が違って見えるのです。摩訶不思議?
6月頃の雨季に最適です。



 おしょうがつさん   [谷川俊太郎・文/大橋 歩・絵] 福音館書店

 お正月の伝統行事、門松、おそなえ餅、おせち、おとしだま、福笑い、はねつき、こま等をひとつひとつ大切に親しみを感じるような言葉とともに伝えている小型絵本です。最後の暦の元旦が「いのしし」なので、いのしし年に最適だと思いました。1月最初のおはなし会の導入として届けました。(だからと言って、12年に一度はもったいない。家庭では、毎年のお正月に家族でこの絵本にあるようなお正月ならではの遊びを楽しんで、後世に残していけたらいいですね。


おちばのしたをのぞいてみたら・・・    [皆越ようせい 作] ポプラ社

 秋の森林、公園の道に敷き詰められた落ち葉の下をのぞいてみたことあるかしら?
そこには・・・・ダンゴムシや色んな虫がいますよ。ちよっと、ドキッ!全て実物大、それ以上の大きさの写真で紹介されていますから、ページを捲るごとに子ども達からは歓声(?)が聞こえてきます。まじまじ、見る子、手で顔を隠し指の間からおそるおそる覗き込む子と様々です。
秋の科学写真絵本としてインパクトのある1冊でしょう。

『ダンゴムシ みつけたよ』もお奨めです。どちらがドキドキ・・・かな?大型絵本なら尚更・・・かもです。


おちゃのじかんにきたとら   [ジュディス・カー 作] 童話館

明るい色彩で、おおらかな親子ととらの楽しい1冊です。ソフィーとおかあさんがお茶の時間にしようとしていると、玄関のベルがなり、そこには大きなトラがいます。ソフィーもおかあさんも大歓迎です。とらはどんどんテーブルの上にある食べ物をぺろっと食べてしまいました。
それでもまだ食べ物はないかなと台所をみまわします。そして、とうとう・・・・
こんな事てあり?とらが食べまくるようすを笑顔で見守ってしまいます。笑ったとらもなんて奇妙な事(?)くすくす・・と子ども達の笑いが響きました。『おやつのじかんにきたとら』としても出版されました。



お月さまってどんなあじ?   [ミヒャエル・グレイニェク 作]  セーラー出版

お月さまってどんなあじなんだろう。こんなこと考える子もいるかも知れませんね。
初めはカメが思いました。「ほんのひとくち たべてみたいね。」そして、高い山に登ってみますが、お月様には届きません。それから次々と・・カメの背中にゾウ、その上にキリン、シマウマ、ライオン、キツネ、サルが背中に乗っていきます。そして、やっと、ネズミがお月様をパリッとかじることができました!さぁ、おつきさまはどんなあじだったのでしょう?

積み重ねの楽しさと温かい絵で、縦長大型絵本は小さい子ども達のおはなし会に最適です。子ども達は静かに聞いてくれました。優しさに包まれたお話だからでしょうね。お月様のきれいな秋の日に。


おっきょちゃんとかっぱ   [長谷川摂子・文/降矢なな・絵] 福音館書店

おっきょちゃんとカッパのガータロとの儚くも夢のような幻想の世界に、「浦島太郎」や「桃太郎」の世界をも思い浮かべるようなお話です。どの子もきっと、おっきょちゃんと同化して異次元の世界でたっぷり遊んで現実に戻ってきたのではないかと思います。
食い入るようなまなざしで見つめていたあの子も・・・・やはり、夏のおはなし会に届けたいですね。

(おはなし広場も併せてご覧下さいね) 


おてがみ  [中川季枝子・文/中川宗弥・絵] 福音館書店

こねこのにおの元へ郵便やさんが大きな箱を届けてくれました。それは、さくらまちのたまこちゃんから届いた風船でした。でもその風船は手から放れて飛んでいきます。みけねこ・みーたの所へ、そして又・・
くりかえしの楽しさと、お話の運びは中川夫妻の息のあったコンビによるものです。
そう言えば、いつだったか風船に手紙を書いて飛ばしたら、お返事が返って来て嬉しかった日が思い出されます。
やはり、7月23日の「文の日」頃におすすめです。



おとのさま   [ただよしひと 作] 福音館書店

福音館書店創立50周年記念作品大募集採用作品だそうです。
タイトルからして吹きだしてしまいそうで斬新(?)なお話だと思ってこの作品に触れました。

あるりっぱなおとのさまが、馬に乗ってお城から出かけていきますと、色んな人たちに出会い、その度に歌をおとのさまは口ずさみます。この歌がまたくどい位にでてきて、楽しいというか読み手は大変(?)です。
でも、子ども達はすっかりはまってしまいそうでした。このおとのさまはとても優しいお方で、哀れな村人達のために馬を変えてやったり、着物を貸してやったり、刀と錆びたかまを取り替えてやったりします。
そうするうちに、おとのさまをさらおうとしている三人の男に出会いますが・・・。

「むかしむかし、りっぱなおとのさまのおはなし おしまい」と終わり方もいいですね。本当に楽しいお話です。
高学年おはなし会で届けました。


おなべおなべにえたかな?   [こいでやすこ 作] 福音館書店

「♪あ〜ぶくたった にえたった」の遊びを思い起こさせるような楽しい絵本ですね。
春の日に、きつねのきっこは山向こうのおばあちゃんの留守中に火にかけたおなべの番をする事になりました。
おなっべの中味はおいしそうなスープです。スープの番をしていると、コトコトとおなべが煮えたかどうだか色々と教えてくれます。さてさて、おいしそうなスープをちょっと味見しているうちに・・・・大変な事になります!さあ、このスープはどんなスープにできあがるのでしょうか?とっても楽しい春一番のおはなし会に最適です。子ども達も喜んで唱えていたような?


おなら  [長 新太 作] 福音館書店

大きなぞうさんの肛門がアップになった表紙に、ぞうのおならはおおきいぞう。最初から笑いがありますね。
口から食べたものは、口から入った空気とともにおならのもとになっています。だから、おならは出ないと大変と教えてくれる健康の絵本です。
表紙の裏にまでいっぱい書かれた「おならの音」にはまたもや子ども達は大笑いです。
何故か(?)サツマイモいものおいしい時季に届けました。


おにいちゃん   [浜田桂子 作] 童心社

おにいちゃんは小学2年生だけど病気で寝ています。でも、時々調子のいい時は外で遊べるのですが、意地悪大将のあきらにいじめられます。妹の「わたし」はそんな時、あきらのお母さんに直談判に行きます。「わたし」はいつもお兄ちゃんの味方です。そんなおにいちゃんがある日入院して・・・
浜田さんは心情・場面に応じた色使いを考えて、美しく優しくこのお話を届けておられます。元気になったおにいちゃんの何と晴れやかで、緑の鮮やかな色がこれまでの病気を一掃しています。赤い夕日とのコントラストに映えています。冬の終わりから春に届けたい1冊です。



おにたのぼうし  [あまんきみこ・文/いわさきちひろ・絵] ポプラ社

節分の夜のお話。まことくんの物置小屋には黒鬼の子供が住んでいます。「おにた」という気のいい子鬼です。節分でも、まめまきの匂いのしないトタン屋根の家には病気のお母さんを女の子が看病していました。おにたは女の子のために、おすそ分けをしますが・・・
雪の降る静かな情景と湯気のたったご飯と煮豆の仄かな匂い、女の子の静かな静かな豆まきの音が、いわさきさんのパステル調の絵で一層、心にすうっと染み込んできます。
「ちひろ展」のおはなし会でも読まれました。節分の季節に。
(おはなし広場も併せてご覧下さいね) 


おにのめん  [川端 誠 作] クレヨンハウス

この絵本は上方落語なので、セリフは関西弁です。主人公はお春という、親元を離れて荒物問屋で奉公している女の子。
お春は「おかん」が恋しくなると、「おかん」そっくりのお面を見ては、寂しさをまぎらわせておりました。そのお面がなんといつのまにやら「おにの面」になっています!!これは一大事です!そこで、お春のとった行動は・・・
「来年のことをいうと鬼が笑う」という諺と最後のオチのページに、子ども達も大笑いでした。
年末のおはなし会におすすめです。 


おばあさんのすぷーん神沢利子・文/ 富山妙子・絵/福音館書店

詩のような流れのお話です。
ひとりのおばあさんが大事にしていたスプーンが旅をしていきます。3匹のねずみがスプーンを見つけのぞきこむ場面が楽しい。なぜか、そのスプーンはソリになって、・・・楽しくてあたたかいお話です。
クリスマスおはなし会で届けました。寒い冬に温まるお話ですね。


おばあちゃんがいるといいのにな  [松田素子 作/石倉欣二 絵] ポプラ社

家に帰ってきた時、顔を見るだけでほっとする人。寂しい時、優しく包んでくれる人。悲しい時、慰めてくれる人。私にとっては、まさしくおばあちゃんでした。そんなおばあちゃん子だった私は、この絵本を読むとどうしても鼻の奥がつうんと痛くなります。―おばあちゃんのとくいはいねむり よくテレビみながら こっくりこっくり ぼくがチャンネルかえると「みとるよ」っていう にんじゃみたい――だけど おばあちゃんはいっちゃった ぼくに「さよなら」いわなかった・・・カランというおとが ぼくのむねにおちた・・ おばあちゃんがいるといい―
初めはニコニコしていた子どもたちの顔が後半、誰もが真顔になります。命を考えるおはなし会に。



おばけおばけのかぞえうた   [ひろかわさえこ 作] アリス館

こんなおばけがいたら楽しいでしょうね。「ひとつ、ひょっこりひとつめこぞう。ひとつめ大好き目玉焼き♪・・・」何故か10人のおばけたちはそれぞれ食べ物がお好きとみえます。そして、勢ぞろいしたその後は・・・こんなに楽しくてそのくせ、アッと驚くような思いがけない展開のかぞえうたに、子ども達はリズミカルな言葉の調子と共に、心の中にすとんと染み込んでいったようです。


おばけのトッケビ―韓国・朝鮮の民話― [金森襄作・文/鄭斑香・絵] 福音館書店

七つの山を越えたある村に、ひとりぼっちの若者がいました。あるものといったら古い竹の杖と水入れのひょうたんだけです。あてもなくお墓で寝ていますと、おばけのトッケビがやってきました。とっさに身を守るためひょうたんと杖をさしだします。生き返りたいと言っていたおじいさんと勘違いしたトッケビは、若者を引っ張って娘の命を取りに出かけますが・・
少々、初めのうちは、不思議な世界にドキッとする怖さがありますが、このトッケビの思い違いは結末に笑いを誘います。
標題紙と最後の風景画の描写はとても美しく韓国・朝鮮らしい昔話です。子ども達は怖いお話が好きですがこの程度では怖がりませんね。むしろ、トッケビに愛着を感じます。



 お化けの真夏日   [川端誠 作] BL出版

 お化け屋敷に住んでいるお化けたちの夏の生活の様子。さて、どんなお化けがどんなことをして過ごしているのでしょう。三つ目、一つ目、ろくろっ首、砂かけばばあ、・・・なんと、雪女から暑中見舞いが届いて、さてその中身は!
お化けの子ども達も夏休みの宿題があって、それなりに大変でそれでいて怖いというより面白いですね。
うふ、こんな屋敷だったら、夏休みはぜひ、お化け屋敷に入ってみたくなるかも!?
もちろん、夏のおはなし会にお薦めです。子ども達の笑い声が聞こえてきて、皆で楽しんだ一冊です。


 おひさまぽかぽか   [笠野祐一 作] 福音館書店

 イメージとしては、春の暖かい日かそれとも11月の小春日和でしょうか。おひさまがぽかぽか暖かい日におばあちゃんが縁側に布団を干したところからおはなしが始まります。(いいなぁ〜、懐かしいなぁ、縁側)物干し竿や、ベランダでない縁側でなくてはおはなしになりません。ねこが大あくびをしてそのおふとんにごろりと寝てしまい、おばあちゃんもそれを見てつられてごろりと寝てしまいました。さて、さて、その後にも、いろんな動物達がやってきて、ごろり、ごろり・・・・・
おばあちゃんがお昼寝からさめると・・・・?
こんな暖かい日はまねしてごろりとしたくなりますね。
やはり、春、あるいは11月の小春日和の頃のおはなし会に最適です。幼い子が大喜びに見入っていました。


おひるのアヒル  [中川ひろたか・文/村上康成・絵] PHP研究所

−わははは!ことばあそびブック−と副題がついている位に笑えてしまう、ことばあそび(どちらかというとダジャレ)の絵本です。
「そんなばかな」と突っ込みたくなる絵と言葉の数々。おはなしの合間におまけ的な1冊に最適です。おはなし会が終わった後、もう一度みんなで絵本を囲んで大笑いしました。他のシリーズも必見です。


 オフェリアと影の一座   [ミヒャエル=エンデ 作] 岩波書店

 「まほう」をテーマにブックトークした1冊です。エンデ作 『魔法の学校』から、絵本化された作品のひとつで、影と戦ったオフェリアさんのお話。役者になるのが夢だったオフェリアさんの仕事は、小さな劇団で他の役者さんのセリフを陰で教える「影の役者」でした。でも、時代の流れでこの劇団も解散してしまい、物思いに耽っていると主のいない影が現われます。その影たちの名前がとてもユニークで可笑しい♪この影たちは、オフェリアさんと共に・・・・
エンデらしさが凝縮されたような作品だと思います。


 おまじないさん   [舟橋克彦 ・文/スズキ・コージ・絵] ベネッセ・コーポレーション

 「きょうもよるがやってくる。ひとりじゃおといれいけないよ。ひとりじゃこわくてねむれない。」「わしがいるからだいじょうぶ」「とっておきのおまじない、おまじないさんおしえてよ。 」子どもなら、一度はこんな経験あるよねって思ってしまう。どんなおまじないでしょう?怖いというよりきっと自分の気持ちの体験を同化して溶け込んでいる子どもたちが多いでしょうね。どんな、おまじないした?教えて、教えて!スズキコージさん独特の暗い青色が夜の模様と「おまじないさん」の不思議さをしっかり醸し出しています。夜、おやすみ前に読んでもらうのは、やめた方がいいかも?おはなし会で皆と一緒だから平気、平気・・・よね?


おまたせクッキー  [パット=ハッチンス 作] 偕成社

お母さんが焼いてくれたクッキーをビクトリアとサムは、六つずつ分けて食べようとしたところに、玄関のチャイムがなってトムとハナがやってきました。4人になったから3枚ずつわけるとまた、ピンポーン!玄関のチャイムが鳴るたびに友だちがやってきます。わけてさあ、食べよう!としたとたんにまたもや、どんどん増えるともだち・・・

さりげなくクッキー数えながら数を学んでしまう子ども達です。繰り返しの楽しさ、おはなしのユーモア、そして、にぎやかな絵は大人数のおはなし会に最適です。 


 おみせやさん   [かどのえいこ ・文/たばたせいいち・絵] 童心社

 雨が続く毎日。外で遊ぶことが出来ないそんな日は「おみせやさん」をするに限る!すずめが買い物にきて、ハンカチをレインコート代わりににして飛んでいったり、くいしんぼうねこがコップを買って雨を入れて、お酒のつもりで飲んだり、ねずみのおかあさんは・・・・
子どもの遊びのイメージをいっぱい広げたおはなしは角野栄子さんらしい気がします。そして、絵はやはり、子ども達の遊びの想像の世界を存分に楽しむ『おしいれのぼうけん』でお馴染みのたばたせいいちさん。文と絵がそして両者の作者の思いがぴたっとはまった絵本だと思います。
雨季のおはなし会にお薦めです。


おみやにいったらむしがいる   [日浦勇 ・文/たかはしきよし・絵] 福音館書店

おみや、つまり、神社に行ったら必ずといっていいほど昆虫がいます。そこは絶好の観察チェックポイントです。1日居ても飽きないヒミツの場所と言えるかもしれません。田舎になんか行かなくたって、こういう場所を見つけて徹底的に眺め回せば、いくらでも虫を見つけることができます。
さあ、夏休みには、お宮でいろんな虫を見つけてみよう。・・・「夏休み」をテーマにしたブックトークで届けました。 


およぐ     [なかのひろたか 作] 福音館書店

水が怖いとか、泳げない子にとっては救世主の絵本ではないでしょうか。
本当に初歩の「浮くの原理」から解かりやすく楽しく描かれています。「ああ、あれ位だったら・・・できるよ。」そんな声が聞こえてきます。「・・・およげるぞ ばた ばた ばた・・・」最後のページは裏・表紙に繋がっています。大きく拡げて見せてあげたいですね。
夏の季節、プールの授業が始まる時に最適です。



おんちょろきょう  [木暮正夫・文/梶山俊夫・絵] ほるぷ出版

日本昔話「ねずみ経」でお馴染みの絵本です。昔、一人で暮らすおばあさんのところに、小僧さんが道に迷って泊まりにきました。おばあさんは、亡くなったおじいさんのためにお経を教えてほしいと頼みます。困った小僧さんは、偶然あらわれたねずみにあわせてお経をつくります。そしておばあさんの家にどろぼうが忍び込んできたから大変。さて、さて・・・。

もちろん、「おんちょろちょろ〜・・・」はお経のように読むと、お話の妙が倍増します。子ども達からも大うけでした。小学校の学年おはなし会が最適だと思います。



おんちょろちょろ   [瀬田貞二・文/梶山俊夫・絵] 福音館書店

上記の『おんちょろきょう』とを見比べ、読み比べてみてください。おはなしはどちらも「ねずみ経」からで、何と、絵も同じ梶山俊夫 さんなのに文を書いた人が異なると絵まで全く異なるから不思議です。
こちらの方が語り口調が解り易く、絵も梶山さん風の色合いや筆運びとは想像できないほど、しっとりまとまって墨絵風に抑えてあります。それに比べて、上記は明るいオレンジを基調とした絵の具の力強い運びなど対照的です。ストーリーもこちらはおじいさんは健在です。
さあ、どちらが好きですか?子ども達は?ためしに、高学年と低学年に分けてそれぞれ読んでみましたが・・・ 


オンロックがやってくる   [小野かおる・文/絵] 福音館書店

一年中、夏のように暑い南の島。そのひとつに トルトルじま という島がありました。トルトルじまでは ひとも 鳥も けものも いつも楽しく 暮らしていました。でも、ここのこどもたちはとっても元気。時々は元気の度が過ぎて、おとなを 困らせることがありました。ある日、おかあさんに、森の奥に住むこわ〜い「オンロック」を呼ばれてしまいます!
さぁ、大変!ふしぎなおじいさんの知恵を借りて、オンロックを閉じ込めようとしますが・・・

小野かおるさんの絵はかなりの迫力で怖いです。(私は好きです。)1年生の男の子も、かなり怖がりました。
夏のおはなし会に最適です。