≪絵本のおはなし≫おはなし会の中から…

おはなし会で届けた絵本の内容をここにご紹介します。
子供たちの様子を思い浮かべながら一つ一つ書き留めてみました。
一覧はBooksでご覧下さい。題名をクリックすると画像を見ることができる絵本もあります。





 タ
たあんきぽおんきたんころりん   [長谷川摂子・文/降矢なな・絵] 福音館書店

我が家にとっては、思い入れの強い一冊です。限定出版されたと知って「いよっ!待ってました」と、即購入しました。我が子が幼い時はペーパーバックで、ぼろぼろになるほど読み込みました。ハードカバーとして復刻して頂けるよう福音館にお願いしてましたから、とっても嬉しい限りです。ことば遊びのリズム感がとてもいい。そして、わらべ唄のような、韻の面白さや子ども達の好きなだじゃれもありで、こんなにもりだくさんの楽しいうたづくしは、一度に読んでしまうのは惜しい気もします。加えて、降矢さんの絵も抜群にインパクトありで長谷川さんのとの絶妙なコンビならではの傑作です。最後のお月さまも、ふふふっ・・・笑っちゃいましたね。
やはり、夏の終りから秋のはじめ頃にお薦めでしょうか。一冊丸ごと読んでも、ページ毎に分けてもいいじゃないかなと思います。



 だいくとおにろく    [松居 直・文/赤羽末吉・絵] 福音館書店

 赤羽さんの描く鬼が何ともいえないほど魅力的な昔話絵本です。
むかし、流れの速い大きな川に困り果てた村人は、名高い大工に橋をかけてもらうことにしました。大工が流れる水を見つめていると中からぷっくり、大きな鬼が現れました。鬼はおまえの目玉をよこさない限り橋はかけれないと言います。ただし、鬼の名前を当てたら許してもいいという条件に、大工は考えますが・・・。

外国の昔話( トム・ティット・トットやルンペルシュティルツヘン)にも似たようなおはなしで、名前当ての典型的な昔話です。どこかから聞こえてくる歌によって、このおはなしが展開していき生き生きと描かれているような気がします。ここの部分は子ども達も耳をすまして聞き入っていました。



だいこん だんめん れんこん ざんねん   [加古里子  作] 福音館書店

これは、断面、断面図という難しいものの見方をまず、野菜などの切り口から、とてもわかりやすく面白く、そして言葉の語呂合わせを用い、韻を楽しむ演出も交えてユーモラスに描かれている科学絵本です。 クイズ形式にもなっていますので、子ども達は身を乗り出して考えます。ゆっくりと読みながら、答えのページは最初から見せないで隠すなどちょっと工夫すると効果的です。外から観ただけではわからないものの見方を断面図で見るという効用も理解できます。
でも、わからなくて、とっても「残念、無念・・・」と思わなくてもいいですよと、さらりと流してくれるのが、さすが、加古さんですね。
さて、子ども達は独自の断面図を考えて、創ることができるでしょうか?
5月頃におすすめです。その理由は、おっと、内緒!? 絵本をみれば「なるほど」ときっと、納得できますよ♪

それにしても、加古さんの絵は、小さいので大人数のおはなし会には向きません。高学年の少数の集まりで届けましたが、この絵がもう少し、大きかったらとそれだけが、ざんねんです。 (>_<)


 たいせつなこと [マーガレット・ワイズ・ブラウン・文/レナード・ワイスガード・絵] フレーベル館

 半世紀以上前に出版された名作と言われるこの絵本を、うちだややこさんが初翻訳されたそうで、驚きです。
絵はもちろんなのですが、言葉がとてもシプルでそれでいて深く伝わってきます。この方の感性だなと思います。
普段、何気なく見ている、手にしている当たり前な静物、動植物達や自然の摂理に驚き、新鮮な眼差しで見つめ、捉えた発想。そこから、とっても大切な事を教えてくれています。でも、決して押し付けがましく感じない。むしろ、優しくそっと頬をなでられたような安心感があり、爽やかに受け止められるような気がして、ふしぎです。
思春期に向かう高学年にお奨めしたい大切な一冊です。


 だいどころにもはるがきた   [島津和子  作] 福音館書店

 “春を感じる”絵本は色々ありますが、「台所の春って何かしら?」そう、こんなところにもこんな風に芽が出て花が咲くのですね。春野菜に限らず、当たり前のように食しているじゃがいもやきゃべつ、たまねぎ、ねぎ等の変化。菜の花はもちろんのこと野菜の花が、こんな風に咲く姿を繊細でいて、リアルにそして優しく描いて下さってありがとう♪と思わず感謝したくなります。さあ、最後の絵に注目です。裏表紙にまで気を配っている絵本は本当に良い絵本だなと痛感。
春の初めに導入としておすすめの1冊です。


だいふくもち   [田島征三  作] 福音館書店

高知のお話で、土佐弁が一層このお話を盛り上げているように感じます。一見、題名からして楽しそうに感じます。実際、子ども達も楽しんで聞きますが、実はとても怖い結末なのです。もしかしたら、『くわずにょうぼう』以上に怖いかも?ごさくの家に入ってきただいふくもちのおかげで、裕福になるものの欲がからんだばかりにとうとう我が身は・・・・!?
ごさくにとっては、めでたし、めでたしで終わらないところに、この昔話の怖い基本形があるように思います。
お正月ごろ、冬のおはなし会におすすめです。



だくちるだくちる  [V・ベレストフ・作/阪田寛夫・文/長 新太・絵] 福音館書店

 ベレストフ氏〜はじめての詩〜よりことば遊びでお馴染みの阪田さんが日本の子ども達のために書き改められ、長新太さん独特のタッチで描かれています。怪獣イグアノドンによってうまれたはじめてのうた。
そこはかとなく純粋な気持ちにさせられ、心に染み渡ってきます。なんだかとっても不思議、不思議・・・。
世界が始まる絵本。高学年のおはなし会で届けました。


たけ   [甲斐信枝  作] 福音館書店

たけのこは竹の子どもですね。ではどうやって生まれてくるのでしょう?竹やぶの中、竹の節目、地面から頭を持ち上げているたけのこたち、地下茎の様子等どの絵も立体感があって素晴らしい息吹をも感じる絵です。
若竹になったたけのこに青々とした葉がつき伸びてゆく様子や季節が移り変わっていく中で自然の営みと共に根強く張る地面から生きる力をも感じさせてくれます。大地にしっかり 根ついて生きていくんだと教えてくれているみたいです。

こんな素晴らしい絵本が絶版とは悲しい・・・と思っていましたら、2004年1月「特製版」として復刊しました。
5月のたけのこの美味しい季節にぜひ、届けたい1冊です。



 たけのこほり    [浜田桂子  作] 福音館書店

 五七五調のリズミカルな言葉とともに、さあこれからたけのこほりをするぞという意気込みが漲る大勢の子ども達の生き生きとした顔、顔、顔がとてもいい♪・・・さがせ さがせ たけのこを きみどり さきっぽ とんがりあたま かくれているのを さがしだせ たけのこを掘って遊んだり、料理したりとたけのこパーティの楽しい様子からどっぷり絵本に溶け込んでいっしょになってたけのこほりの仲間になって楽しめるかがく絵本です。車椅子に乗った子も分け隔てなくいっしょになってたけのこで遊んでいる絵もほほえましい。・・・うらやまてっぺん たけやぶさん おいしいたけのこありがとう!
 
最後に―大人の方へ竹の子のゆで方まであってこれまた親切でいいですね。
5月のおはなし会向けです。


だごだごころころ   [石黒I子、梶山俊夫・文/梶山俊夫・絵] 福音館書店

大好きな絵本です。だごとはおだんごのこと。(子ども達の前で読む時はこのことを説明してから読みます。)
恩返しの昔話はよくある型ですが、これも赤とんぼを助けてあげたおばあさんが赤とんぼに恩返しをされる話です。
おじいさんにこしらえてあげただごがころがっていき、後を追っていくと赤鬼が現れ、だごを食べさせてくれといいます。不思議なしゃもじを渡されると大鍋いっぱいの粉が増え続けて山程のだごが出来上がります。赤鬼は喜んでくる日もくる日も、おばあさんに要求します。おばあさんはおじいさんのことが恋しくなってきます。
そこへ、赤とんぼが飛んできて・・・
「えいこらぎっこら、ぶーんぶーん えいこらぎっこら、ぶーん」と、赤とんぼがおばあさんを乗せた船をこぎながらゆく歌は心地いいですね♪

梶山さんの何ともいえない秋の風情が漂った絵と溶け合っています。子ども達も静かに聞いてくれました。
秋のおはなし会に最適な1冊です。



ダチョウのくびはなぜながい?   [ヴァーナ・アーダマ・文/マーシャ・ブラウン・絵] 富山房

なぜなぜ話は数多くありますが、集団で届けるには最適の絵本と思います。アフリカのむかしばなしと副題がありますがストーリーテラーから聞かれた話を元に作られているだけあって耳で聞いて楽しく、天才マーシャによるサーモンピンクを基調とした色使いに読者を魅了させる要素がいっぱいです。加えて、東京子ども図書館主宰の松岡享子さんの訳ですから尚更です。

昔は、ダチョウの首は短かったそうです。どうして長くなったでしょうか?初めからぐいぐいと最後まで楽しく引っ張られていきます。年齢を問わず大きい子から小さい子までいっしょになって皆で楽しみました。

読み聞かせのポイント・実際例も参照して下さいね。


だって だっての おばあさん   [さの ようこ  作] フレーベル館

「こんなおばあさんに私もなりたい」殆どの女性がそう思うのではないかしら?それほど元気で明るく魅力的なおばあさんと愛すべきねこのお話。佐野さんは大のねこ好きで必ずといっていい程、多くの作品にねこが登場してますね。

98歳のおばあさんと一匹のねこが一緒に住んでいました。ねこは何をするにもまず、おばあさんを誘います。
でも、その都度「だってわたしは98だもの・・」と断ります。さて、99歳のお誕生日にケーキを作ろうというおばあさんに、ねこは99本のろうそくを買いに行きますが、川に落としてしまって5本になってしまいました。おばあさんは、「ないよりましさ・・」と5本のろうそくでお祝いしますが、いつのまにか気持ちは5歳になっていました。
さぁ、5歳に若返ったおばあさんは、張り切ります・・・。

皆で大笑いして楽しんだ1冊です。笑いながらも心がなぜか温かくなりましたね。敬老の日あたりに届けてもいいと思います。



だれがいちばんはやいかな    [マイケル・グレイニエツ 作] 絵本館

思わず、「可愛い♪」と声がもれてしまう絵本なのです。でも、可愛いと言っても、甘ったるい可愛さでなく、太くてしっかりとした黒いコンテのような輪郭の線に表情豊かな動物達の顔が生き生きと濃い絵の具で描かれています。「うさぎとかめ」の現代版のようなストーリーと言っていいでしょうか。でも、教訓ぽくないのがこれまたとてもいい感じです。そして、かたつむりの大ドンデン返しと最後のオチが何ともいえないクスッツと笑ってしまう。このかたつむり君のステンドグラスような殻の色にも注目です。とっても素敵なカタツムリ君のお家ですものね。
運動会のシーズンのおはなし会に最適です。


だれだかわかるかい?―むしのかお   [今森光彦・文/写真] 福音館書店

虫の好きな子は多いですね。虫博士もいます。そんな子は、これを見せてあげると大喜びで答えてくれます。
「さあ、ぼくたちがだれだかわかるかい?」クイズ形式で届けてあげるのが一番と思います。わからない子もいつの間にか見ているうちに、虫好きになりそうです。
大人でもあまり知らない虫なんかもでてきて勉強になり面白いです。トノサマバッタやカブトムシ、アゲハチョウ、カマキリなどの昆虫の顔をアップで撮った写真と文で、特徴と生態を楽しみながら学べてしまいます。
夏休み前、あるいは秋のおはなし会に最適です。 



だれの かお?   [星川ひろ子 作] 福音館書店

まちにはいろんなかおがいて』と同じような写真絵本です。何気ない物から意外な物までが顔に見えてしまうから、不思議。人間の視覚て面白いものなんですね。びっくりしている顔、泣き出しそうな顔、笑い顔、怒っている顔、それから「え〜っ、こんな物がこんな風に見えるんだ!」と、我をも忘れてのめりこんでしまいます。
「ふぅ〜ん、そうなんだ。」子ども達もいろんなつぶやきや、感心したり、笑ったりと楽しみました。
おまけの1冊としておすすめの絵本です。


だれのじてんしゃ   [高畠 純 作] フレーベル館

様々な動物達の楽しくてユニークな形の自転車が次から次と登場します。さぁ、その形から、だれの自転車なのか想像していきます。ワニであればサドルが胴に合わせて長く、ペダルが足に合わせて短いのです。モグラの自転車には土の中でもよく見えるように大きな電気がついていたり・・・・。本当にそんな自転車があって動物達も、サイクリングしているのではないかしら・・・と思ってしまいます。
そして、最後がこれまたいいのです。なんといってもわたしの自転車です!
「あら、自転車がない子もいたの?」さて、・・・・。
「だれのかな?」の繰り返しの楽しさいっぱいのなぞなぞの感覚でも楽しめる絵本ですね。



たろうのひっこし   [村山桂子・文/堀内誠一・絵] 福音館書店

我が家では人気の絵本です。そして、桜が満開の木の下に敷物を敷いておやつを並べてこの絵本を読みました。皆、にこにこ顔で「たろうのひっこし」ごっこを楽しみました。

たろうはおかあさんに自分のお部屋がほしいとねだります。おかあさんは赤いじゅうたんを手渡してこのじゅうたんを広げた所がお部屋だといいます。たろうは階段の下の廊下に広げてお客様を待ちました。すると、ねこのみーやが来ますが窓があったらいいのにと言われて窓のあるところへお引越しをします。すると、犬のちろが入れないと残念そうにいいます。そこで、ちろのところへお引越ししますが・・・色んな動物が現れ注文を言われてそのたびにお引越しのたろうです。さて、落ち着いた所は・・・。

桜の季節が近づくと、今年の桜はいつ頃かな?と思いながらこの絵本を頭に浮かべます。
他に、『たろうのともだち』は1年生の朝読で届けました。『たろうのおでかけ』もあります。



タンゲくん   [片山 健  作]  福音館書店

表紙の絵からすでに、凄みのあるものすごい、面白そうな猫の絵本と連想できます。この猫の名前の由来がわかる方は、熟年以上でしょうか?凄い切り傷を残し、片目がつぶれてしまっています。黒い眼帯をしたらまさしく「丹下左膳」そっくりです。(知らない人は調べてみてください(^^ゞ)
実際、絵本の中でも黒い眼帯を付けようとしますがこの猫は、嫌がってしまいます。(当たり前や!と子どもは突っ込みます)
しかも、このタンゲくんは実在の猫だそうで、こんな猫ちゃんが本当にいるのかしらと思ったらますます、楽しくなってきますね。絵もよく見ますと、丸いちゃぶ台、電気炊飯ジャー、掃除機、古時計などは「ちびまるこちゃん」よろしく昭和40年代頃の家庭のようです。(出版は平成2年)
ひょんなことから、「わたし」の家にやってきた猫が「タンゲくん」と呼ばれるようになり、そのタンゲくんの実に愉快な様子を描いています。

片山さん独特の太い筆使いで、明るい色彩と躍動感溢れる奇想天外な絵が、見開きいっぱいに描かれて、文句なしに面白いです。所々に遊びも入れて・・・見つけるのもこれまた楽しいです♪
季節感問わず楽しめると思いますが、洋服や風景から敢えて言うなら春頃がおすすめです。



たんぽぽ   [甲斐信枝  作] 金の星社

たんぽぽの美しさをこの絵本で再確認した思いです。春をじっと待っている草。暖かくなるにつれて伸びてゆき、花を咲かせます。見開きいっぱいにページを折りたたむほど長くいっぱいに描かれたたんぽぽの美しい事!
ちょうちょの飛ぶ中、お日様を浴びながらせいいっぱい伸びをして・・。

そして、綿毛となって飛んでゆく時も鮮やかにいっぱい広がっていきます。まるで謳うように描かれていて、また新しい葉っぱが生まれては繰り返されていくのですね。次の長い冬も越えていくのでしょう。
一度はこんな「たんぽぽ」を子ども達に見せてあげたいと思い届けました。



たんぽぽ   [平山和子  作] 福音館書店

同じく「たんぽぽ」の絵本ですが、かがくの目で見るならこちらの「たんぽぽ」が正統でしょうか。
たんぽぽの不思議に、子ども達の好奇心の欲求に満足がゆくことでしょう。特にたんぽぽの根の長さに驚嘆します。
同じ綿毛の様子もかがくの目ではっきりと知ることができるこの1冊にやはり、これこそ「たんぽぽ」と頷いてしまいます。子ども達の生き生きした目がそういっているのを感じました。

もちろん、春のおはなし会に最適です♪


だんまりこおろぎ   [工藤直子・文/エリック・カール・作 ] 偕成社

エリック・カールさんの絵本は多くの仕掛けがあります。この絵本にも最後に音が出るという仕掛けがあります。仕掛けって、あまり好きではないのですが、彼の場合は別格という気がします。それは、見せ掛けのものではなく子どもの気持ちに立っている、わくわくさせる姿勢にあるのではと思います。

ある暖かい日、一匹のこおろぎが生まれました。こおろぎ坊やは挨拶をしてくれる、いろいろな虫達に返事がしたくて羽をこすります。でも、あいさつしたくてもできません。はねをこすっても音がでないのです。生まれてはじめて外の世界と接したのに、コミュニケーションが取れないことに心を寂しくさせますが、何度も何度も挑戦します。挑戦を続ける坊やが最後にうまく歌えるようになったのは、・・・。

最後のページではきれいなこおろぎの声を聞くことができます。きれいな音が聞こえてきます。又、同じフレーズが何度も出てきて、まるで詩のようで、(工藤直子さんの訳ですものね)その音と絵と文とが重なり合って、音と文字と絵との三位一体の表現された世界がそこにあるような気がします。
こおろぎの素敵な鳴き声に子ども達は目を丸くして驚いてました。絵本に慣れていない子でも充分楽しめると思います。
秋のおはなし会におすすめです。


 チ
ちいさな1  [アン・ランド&ポール・ランド・作/谷川俊太郎・訳]  ほるぷ出版

この絵本は1962年に出版された後、長く絶版状態になっていましたが1991年にデザイングラフィック絵本として復刊しました。シンプルでカラフルな色に詩人・谷川さんの言葉で「ちいさな1」を擬人化して算用の旅に出かけるというおはなしでしょうか。どの数字とも仲間はずれにされながら彷徨い続ける「ちいさな1」の旅はちょっぴりセンチメンタルです。大人は十進法て何て便利でしょうと当たり前の感想をもちそうですが、子どもにとっては数への親しみが湧くかもしれません。そして、きっと、この数の友情の世界へ引き込まれるでしょうね。
おはなし会の導入として届けてみました。カバー表紙と本の表紙が異なっているなんて珍しく、それがグラフッィクデザイナーらしい所以かもしれませんが、集団で届けるときはカバーの取り扱いにご注意を。

このコンビによる『ことば』も、おはなし会導入としてお奨めです。ことばの楽しさ、デザイン的に見る文字面白さをのを見直してみたい一冊です。


ちいさなうさこちゃん   [ディック・ブルーナ・作/いしいももこ・訳]  福音館書店

子どもがはじめてであう絵本』と題して、4冊1セットの内、最初の1冊目「ちいさなうさこちゃん」はうさこちゃんの誕生の絵本です。そして、2005年6月21日にもう、50才になりました。半世紀も愛され続けたうさこちゃん。
今の子は「ミッフィー」と呼びますが、私は「ちいさなうさこちゃん」にこだわっています。
4歳以上の子ども向けおはなし会では、あまり読みませんが、50周年で2歳児も来てくれるおはなし会で届けてみました。幼い子はやはり、喜んでくれました。
(おはなし広場も併せてご覧下さいね。)


ちいさなヒッポ   [マーシャ・ブラウン  作]  偕成社

色版画の美しい絵本で好きな絵本の1冊です。
子どもが親の保護からひとり立ちしようとする時期、色んな不安が付きまとうものものです。かばのヒッポは敵から身を守るためには「グァオ」がいかに大切かと母親カバに教えられます。
真っ赤な大きな口を開けたカバの絵がとても印象的です。さてヒッポは親からの自立ができたでしょうか?

母親の立場としても子どもへの応援歌として届けたくなる1冊です。どちらかというと夏向き、小さい子向けのおはなし会でしょうか。「グァオ」と小さい声で真似していた子が印象的でした。



チキンスープ・ライスいり   [モーリス・センダック  作]  富山房

これは4冊入りのちいさなちいさなえほんばこにもなっています。(他に『アメリカワニです、こんにちは』『ピエールとライオン』『ジョニーのかぞえうた』があります)
チキンスープ・ライスいりというのはお米が少し入ったチキンスープの事です。12の月の本でJANUARYからDECEMBERまでチキンスープの楽しいカレンダーになっています。「ぼくが12かいいったこと、よくわかるよね。だれだって、はる、なつ、あき、ふゆ いつだって、おいしいものはそう、もちろん、チキンスープ・ライスいり!」

これを毎月おはなし会の始めに届けました。そして、12月のクリスマスおはなし会では全部読みます。これを楽しみにしていてくれた子供がいてくれて嬉しかったです。



ちびゴリラのちびちび   [ルース・ボーンスタイン 作] ほるぷ出版

子どもは小さい時はとても可愛いいのですが、大きくなっても変わらないということを再確認させてくれるような親として胸が熱くなる思いがする1冊といえます。
ちびごりらの幼い時はもちろんですが大きくなっても本当に愛らしさが溢れています。ここのところがぐっと、きます。とても温かみのある絵本です。
幼い子から大きい子、大人まで幅広いおはなし会に届けたい1冊です。大型絵本も出版されています



ちゃっくりがきぃふ   [ 桂文我・話/梶山俊夫・絵] 福音館書店

これは、らくご絵本です。さきちは、お茶と栗と柿と麩をいれたザルをもって、「おちゃはいりまへんかー。くりをかいまへんかー。・・」と町で売りあるきましたが誰も買ってくれません。もっと短くいえないかな?と考えたさきちはみんなまとめて「ちゃっくりがきぃふ」とさけぶことにしました。そして売り歩いていますと子ども達やチンドンヤまでが加勢してきて、その売り声は・・・果たして、物は売れたでしょうかか?

言葉(関西弁)のおもしろさやリズムを声にだして楽しんだ落語の絵本です。読んでいる私までがついつい、可笑しくって笑い出してしまいそうでしたね。秋のおはなし会向きです。



ちょっとまって   [ 岸田今日子・文/佐野洋子・絵] 福音館書店

女優でもある岸田今日子さんが愛娘(この絵本と同じまゆさん)におはなしをしてあげたものを佐野さんが絵にされました。すでに絶版になっていますが『子供にしてあげたお話してあげなかったお話』の中で「縞ねずみになぜ縞ができたかのお話」です。
佐野さん曰く、「『子供にしてあげたお話してあげなかったお話』の中では、このお話しか絵にすることができないと思った」からだそうです。(実際に岸田さんの講演会でこういった裏話を聞くことが出来、この絵本にもサインを頂きました♪そして、お姉さんの岸田衿子さんからもお話を聞くことができましたが、この2人が姉妹ということを知って驚きました!) 

春のあたたかい日、ほんのりとした楽しい気分にしてくれるお話に佐野さんのリボンの色使いなどの絵が実にこのお話を可愛らしく一層、楽しくさせていると思います。比較的、小さい子向けの春のおはなし会で楽しめると思います。



ちょろりんのすてきなセーター   [ 降矢なな  作] 福音館書店

ちょろりんは、寒がりやのトカゲの子です。ある日、お店で暖かそうにふくらんだ素敵な春色のセーターに一目ぼれ、ほしくてたまらなくなります。お母さんにおねだりしますが、あえなく却下されてしまいます。おこずかいも足りないし、そこで、ちょろりんは、ランプ作りのじいちゃんの仕事を手伝って、お金を稼ぐことにしました。ところがその仕事は、簡単なものではないのです。五十三個のランプのガラスみがきは、一生懸命やっても朝までかかるという具合。
ちょろりんの周りのおとなは、お金を得ることの大切さを厳しく教えます。教えてもらうちょろりんの健気さと一生懸命さに心うたれます。そしてやっとのことで手に入れようとしたセーターは・・・・。
一見、たよりなげなちょろりんですが、自分の思いを遂げる場面はこちらまで嬉しさが伝わってきます。

ペン画に水彩が施されており、セーターの微妙な淡いグラデーション、パステル調のランプの灯りがほのかな色合いで、ちょろりんを照らす場面がとても味わいのある影となって描かれています。また、ちょろりんのトカゲのしっぽのしゅるりとなめらかな青と紫の線が印象的です。

とっても心温まる冬のお話なので、晩秋から初冬のおはなし会に最適です。おはなし会の後で早速、この絵本を買ってもらったという子がいましたよ♪他に『ちょろりんととっけー』があります。



 ツ
月.人.石   [乾千恵・書/谷川俊太郎・文/川島敏生・写真] 福音館書店

乾千恵さんの書の絵本は、「こころのとびらをあけてごらん」という一文に鄙びた感じの木の戸口の写真と大きく墨で書かれた「扉」という書から始まり、全てが写真に短い詩のような文字と太く筆で書かれた書からなっています。
そしてこれらが三位一体に溶け合っています。人は静寂の中に何を思うのでしょう?とても懐かしいような深いところで心が動かされ凛とした空気を感じます。
驚いた事にこの書を書かれた方は体が不自由なのですね。そして、外国の方にもこの書の意味がわかるように最後に20カ国の語でも紹介してます。世界に繋がり、一つに結ばれるという思いも感じられます。

高学年向きのような気がして高学年おはなし会で届けました。静かに聞き見入っていた子ども達の顔が印象的でした。これまでペーパーバッグの絵本でしたが、ハードカバー復刊を望んでいましたところ、ついに
2005年2月に復刊されました!嬉しいですね♪


 つきのぼうや   [ イブ・スパング・オルセン  作] 福音館書店

細長い変型の絵本!ページを開いた横の長さはわずか12センチ弱です。この絵本をどうやっておはなし会に使おうか?随分と長い期間をかけて考えました。紙芝居やパネルシアターにしてみることも考えてみるものの作品のもっている良さや作者の伝えたいこの大きさでなければならないというこだわりを思うと安易にはできませんね。
思い切って、少人数のおはなし会ならということでそのまま読んでみました。
確かにやや、遠目がききませんが文字と絵のこまわりを眺めながら、つきの坊やが生き生きと1コマ、1コマ、小躍りしているのがわかります。
つきの世界から降り立ったつきのぼうや。空の上、空間でのパプニング、水の中、上へ、下へと動きのあるお話にしっかりと目と心を奪われてしまいます。お月様の美しい時期におすすめです。


月へミルクをとりにいったねこ   [スメードベルイ・文/垂石眞子・絵] 福音館書店

あるところに、かあさんねこと4ひきのこねこが暮らしていました。ねこは、栄養たっぷりの牛のミルクを、こねこに毎日たくさん飲ませていました。ところがある日、めうしの乳が出なくなってしまいました。ねこはミルクを求めて出かけていきますが・・・・。

大好きな絵本です。そして、とってもスウ
ーデンの子ども達に愛されている絵本でもあるそうです。垂石さんは実際にスウーデンへ行って写生をしながら1年もかかってこの絵を描かれたそうです。そうしてみると、いろんなアングルから捉えてあるこの絵に込められた思いが伝わってきます。ねこがかわいいこねこのためにミルクを手に入れようと月に向かって飛ぶ場面の情景や原っぱの向こうに見える農家に一筋の光と朝焼けの美しさなど、どのページも素晴らしく描かれています。大切にページをめくって読んであげたい気持ちでいっぱいになります。

しっかりとしたお話でもありますのでおはなし会の中心となる1冊として考えていいと思います。月の美しい秋の頃におすすめです。



つきよ   [ 長 新太  作] 教育画劇

 異才の芸術家、長さんの数々のナンセンス作品の中では、可笑しい中にもどこか哀愁があり静かな秋の湖畔の月夜を散歩してみたくなるような情景が拡がっています。長さんの月は満月ではなく三日月だからこそ、さり気ない遊びの世界にたっぷりと浸らせてくれるのでしょう。本当に面白くて不思議だなと思います。月がすべったり、船のように浮かんだり、・・・そして、泳いでいる場面は↓にある『つきよのかいじゅう』を思い出され、笑ってしまいます。
ただ、珍しいことに文字が両面開き頁に跨って書かれてますので少々、読み辛難い為、大人数の前で読むときは何度も練習して注意する必要があるでしょう。
もちろん、月の美しい季節に読みたい絵本です。


 つきよのおんがくかい   [山下洋輔・文/柚木沙弥郎・絵] 福音館書店

 ↓の『ドオン!』と同じくジャズピアニスト山下洋輔さんの“音を楽しむ絵本”です。
満月の日に演奏会が始まりました。クマのピアノ、ウマのベース、イヌのサックス、ネコのドラムのカルテットで楽しいセッション。ちょっとしたアクシデントから、満月を見に来てそこに居合わせたこうちゃんが思わずしたことは!・・・それが功をなして・・・「つきよの おんがくかいは、ひとばんじゅう つづきました。」

他のおはなし会でとっても楽しく拝見させてもらい早速、秋のおはなし会で届けてみたくなりました。
このまま活字を追うこれまでの読みとは、ちょっと工夫して読むと、とっても楽しい1冊です。
リズム感覚でジャズっぽく音を発するように表現するといったらいいでしょうか。かなりの練習が必要ですが(音楽をしている人は簡単かもしれません)とっても子ども達も楽しんでくれたようです。
ちょうど、4年生が連合音楽会が終わったばかりのおはなし会でしたので、乗っている気持ちをそのままにしておくことはないと読み終わってから、4つのパートに分けて大人も一緒に”おはなしの森音楽会”のはじまりです。
ぶぶぶ・・キャンキョン・・シャバドビドバー・・・シャンシャカスタタントン・・・カカンカカーン

・・・・こうして、おはなしの森のおんがく会はつづきました。
「またやろうね」「うん」みんなと つぎのおはなしかいに またえんそうすることを やくそくして わかれました。 「あ〜楽しかった♪
」お母さんと復唱して帰って行った子もいたようです。
柚木さんのしっかりとした浮き上がった輪郭の染色技術も素晴らしく登場人物の表情、動きがリズミカルな言葉(音楽)に乗せて生き生きと描かれています。
本当にまた、つぎの秋のおはなし会にも届けたい、皆で楽しみたい、私自身がこれまで以上に大好きになりました。


つきよのかいじゅう  [ 長 新太  作] 佼成出版社  

山奥深い湖に、怪獣がいるという言い伝えを信じ、もう10年も怪獣の出現を待っている男の人の前に、ある日、とうとう怪獣が現れました。少しずつ頭らしきものが湖から見え始めました。男の人は今、月の明かりに照らされてその全貌が明らかにされるのを色々、自分なりに空想します。果たして、その姿は・・・・!?
長 新太さんらしいナンセンスものですが先日、終えたばかりのオリンピックの映像が脳裏に浮かんでくるような1冊と思い高学年で届けました。にこやかな子ども達の顔も何かを思い出したようです♪


つきよのかっせん   [富安陽子・文/二俣英五郎・絵] 福音館書店

こどものとも1995年10月の絵本です。暗い空に白い月が浮かぶ夜のこと。まなぶの前にのらねこのブータンが現れ「まんぷく寺」へ誘います。そこではねこ軍団と寺だぬきの決戦があるといいます。まなぶはなぜか「あにい」と呼ばれ、ねこ代表として戦ってほしいと頼まれるのですが・・・。
さて、たぬきどもに見破られないように戦い勝利することができるでしょうか?

こういったおはなしは子ども達は大好きですね。低学年の子ども達は真剣真顔な面持ちで楽しんでくれていました。お月見頃のおはなし会におすすめです。



つくし   [ 甲斐信枝 作] 福音館書店

何年か前まではよく、つくしを捕りに田んぼのあぜ道や土手などへ行ったものです。袴を取りながら祖母の話を聞くのが楽しみでした。私は卵とじが好きでしたが、この絵本ではつくしごはんやてんぷらもあって驚きです。
もっと驚く事は、つくしは根っこからプツン、プツンと切れてしまうのはとっても根が深く、地面の中でうねっているということです。そして、草もねっこも同じ袴をつけていることや「たま」の存在等、知らなかった事がたくさんあります。
絵も、のどかな春風にのってゆれるつくしやたんぽぽ、ちょうちょの淡い色合いが何ともいえません。
自然の摂理、くりかえしがつくしの中からも感じられる科学の絵本ですが、「可愛いつくしのおはなし」とも受けとめられる1冊です。「つくし だれのこ すぎなのこ」 
(難点を言えば標題紙、のっけからローソンの紙袋というのがちょっとね?・・・)


春、3月の低学年おはなし会で届けました。1年生もおはなし会は1年になろうとしていますので、すっかりおはなしに慣れたようで、よく聞いてくれました。


つばき  [ 矢間芳子 作] 福音館書店

 2月の終り、神社はつばきの森といわれるほど、つばきでいっぱい。花からは甘い蜜が口いっぱいにひろがって・・・そう言えば私も子どもの頃に吸ったな〜と懐かしく思い出しました。首飾りも作ったり、花冠も作りました。ぞうりは知らなかったわ。色んな動物たちが実なども食べに来るのですね。つばきを見たら、観察しながら遊んでみよう!
かがくの絵本の面白さを改めて思いました。もちろん、2月のおはなし会におすすめです。


 つれたつれた   [ 内田麟太郎・文/石井聖岳・絵 ] 解放出版社

 典型的なナンセンス絵本です。(しゃれの好きな方にはたまらないかもしれませんね)石井さんのデビュー作でもあり、麟太郎さんの文が効いています。何でもつってしまうじいさんの画面いっぱいに描かれた絵はナンセンス画と言えども芸術的 で壮大です。特に、大きなヒラメを釣った場面では、大ヒラメの中に細かに描かれた風景はさすが絵本グランプリ賞受賞作と思わせる絶景画だと感じます。
それにても、このじいさんはどこか憎めなくって、こんな人が身近にいたらあきないでしょうね。ただ、最後のおち「たいしたひとでだ」の意味は子ども達には理解し難いかも知れません。おはなし会でも、笑っていたのは大人ばかり・・(笑)
おはなし会のプログラムとして、骨太のしっかりとしたテーマのあるストーリーものの後や合い間にほっとする絵本としては最適でしょう。


 テ
ティッチ   [ パット・ハッチンス 作] 福音館書店

兄姉をもつ小さなティッチにとって、持っているものも全て小さなものばかりです。しかもすることも、お兄さんたちのようにはいきません。
でも・・・ティッチは小さいけれども種を持っていました。その種はやがて大きくなります。

短いお話の中にも希望に満ち幼い心に喜びを与えてくれる絵本だと思います。特に末っ子や幼い子には最適な絵本ですね。やはり小さい子向けのおはなし会におすすめです。他に『きれいずきティッチ』『ぶかぶかティッチ』もあります。



でてこいミルク!   [ジェニファー・A・エリクソン・文/オラ・アイタン・絵] 福音館書店

のんびりとした牧場で、都会の(服装からしてとってもおぼっちゃん風)男の子が、牛のミルクが欲しくて、悪戦苦闘の末、ミルクを手に入れるお話です。
牛の頭をなでたり、優しく話しかけ、草を食べさせたり、笑い話を聞かせてやったり、歌を聞かせてみたりダンスを踊ってみたりしますが全然駄目です。このあたりは都会の子らしくて可笑しい気もします。色々やっても出ないので、すっかり落ち込んだ面持ちで、めうしにもたれかかります・・・。

鮮やかな空の青と草原の緑がとっても印象的。はじめは、がむしゃらで牛に接する彼が、しだいに心を落ち着かせていくにつれて空の青と緑が淡い色調になっています。最後にじわっと喜びが広がる感じがいいですね。そして、太い筆で大胆に描かれた黒の線がシャープな感じで、それでいてとっても優しい、そんな独特な絵がまた素晴らしいです。言葉も、リズミカルなそれでいて自然で生き生きとして、楽しさにあふれています。

殊に、「でも ミルクは でない」のやりとりがとっても楽しくて、子ども達も、「でない」と言葉を重ねて言います。そして、「ミルクだ!」と出てきた時はちょっとほっとした顔がありました。きっと、都会の子と一緒の気持ちを味わっていたのでしょうね。共有できるお話は子供にとって最高です。



てぶくろ   [内田莉莎子・文/エウゲニー・M・ラチョフ・絵] 福音館書店

ウクライナの民話で、動物達の着ている服装が民族衣装でその感じがよく出ています。よく知られたお話で幼い子ども達が大好きな絵本です。ラチョフさんの温かい絵の中にも、厳しい自然に生きている動物達の特徴を捉えて力強さをも感じられる絵に、内田さんの訳がとても生き生きとして、くりかえしのリズミカルな言葉としてひきたたせていると思います。

小さな手ぶくろの中にねずみ、かえる、うさぎ・・ここ位までは大丈夫でしょうがその後、きつね、おおかみ、いのしし!(わ〜凄い!)しかも、くままで・・・!絵本の良さは想像力を助けてくれる事です。この絵本の絵はまさしくそうです。
幼稚園のお遊戯で子ども達が「てぶくろ」の劇を楽しむ話は頷けます。ただ、小さなてぶくろに大きな者達が入ったという面白さを潰してしまうようなパネルシアターなどに変えない方がいいと思います。これを大きな手ぶくろにしてその中に入りやすいような小さな動物にしてしまっているおはなし会に出会って、がっかりした事があります。
絵本だけでも充分、子ども達は楽しみます。冬のおはなし会におすすめの1冊です。



てんきよほうかぞえうた   [ 岸田衿子・文/柚木沙弥郎・絵 ] 偕成社

岸田衿子さんの子どもの目線になって、豊かな感性で綴られたユーモア溢れるうたと柚木さんのとばけ絵が嬉しくなる。楽しいというより、嬉しいという感じ。だって、数え歌なら、1から10までが普通でしょう?でも、まだその先があるところが実にいい。「百」「千」「万」「億」まであって。
そして、数えうたの下に小さな字で添えられたてんきよほうのちょっと、ひねったしゃれた予報がことばあそび感覚でいいですね。クスクス・・・と子ども達の笑いがこぼれてきます。
例えば『百 ひゃく ひややっこ ひゃっこ ひょうがたべると ひでりのひでも ひょうがふる あすは こうきあつと ていきあつが けんかしてひょうがふるでしょう』 そこで、豹がうちわをあおぎながら、冷やっこを食べて家の外では雹が降っている絵がなんとも愉快ではありませんか。
おはなし会の合間やしっかりとしたおはなしの後に最適です。


てんぐだいこ   [ 神沢利子・文/赤羽末吉・絵 ] 偕成社

不思議なたいこを手に入れたげんごろうさんは太鼓をどんどこどんどこ鳴らし、とうとう空へ上っていきます。
天では、鬼達の夕立の手伝いにおおはしゃぎでしたが・・・・
神沢さんの軽快な語り口に赤羽さんの独特の絵がマッチして楽しい絵本です。
おはなしを耳だけで聞いても楽しめますが赤羽さんの絵はさすがと思いますね。
夏の初め頃、夕立の季節におすすめです。因みに、私は元琵琶湖の近くに住んでいましたから。げんごろうぶなに愛着をを覚えます♪



てんぐのかぼちゃ   [寺村輝夫・作/梅田俊作・絵] 岩崎書店

こんな変わった天狗はいますか?山奥の村人を集めてわらをたくさん持ってきたら魚をごちそうしてやると言います。
天狗は長くつながったわらに登って、天の川で魚つりをしてきて、焼いて食べておくれといいます。でも大工のさぶはばけものざかななんて食えない、みんなも食うなと言います。怒った天狗はさぶの仕事場に行き、建てかけの家の足場の下にかぼちゃの種を植えます。さぶが足場に登ろうとするとかぼちゃのつるが伸びてしまって・・・あれれ・・!

和風「ジャックと豆の木」を思わせるような寺村さんらしい楽しいお話に梅田さん独特のユニークな絵で描かれています。そして、ちょっと大型な絵本です。夏から秋にかけてのおはなし会で楽しめる1冊です。



 てんさらばさら てんさらばさら   [わたりむつこ・文/ ましませつこ・絵] 福音館書店

 この絵を描かれた、ましませつこさんは山形県鶴岡市の出身で 「てんさらばさら、てんさらばさら」は、山形で言い伝えられている不思議なものだそうです。

 まゆとおばあちゃんが海岸を歩きながら「てんさらばさらを呼ぶ歌」を歌っていると、雪のような、ふわふわしてあったかかっいものが降ってきました。おばあちゃんはまゆに、このてんさらばさらに、おしろいをふりかけると少しずつふえて、そのたびにいいことがおこると教えてくれました。ただ、誰かに見せてしまうと、いいことが逃げていくと言うのです。まゆはうるしの箱に大事にしまって、時々おしろいをふりました。そして本当に、てんさらばさらは増え続け、いい事が起こり続けました。そして、まゆは大きくなって好きな漁師のかざたろうと結婚し、子どもたちもつぎつぎと授かります。そしてその間もてんさらばさらはどんどん増え続け行李にもあふれるようになり今度はまゆはそれをしまう大きな袋を作るのですが、とうとう、それが家族に見つかりそうになるのです・・・・・・・

わらべうたのように「てんさらばさら てんさらばさら」の歌が何とも、不思議な世界を醸し出しています。
子ども達も、じっと静かに聞き入っていました。静かな雪の降る季節に最適でしょう。


てんのくぎをうちにいったはりっこ   [神沢利子・文/ 堀内誠一・絵] 福音館書店

昔々、大空がお鍋を伏せたように、私達の頭の上高くかかっていた頃のお話です。
はりっことは、はりねずみの子で、気のいいくまのばあちゃんが育てていました。ある日、天のくぎがゆれだしました。くぎがぬけたらこの世は終わりです。そこで、はりっこがそのくぎを打ちに出かけますが・・・・。

起承転結のはっきりとした冒険のお話は大きい子がワクワクして喜んで聞いてくれました。特に、大蛇との戦いは絵も迫力があって固唾を呑んで静まりかえっていました。
ただ、ペーパーバック、ハードカバー、出版年の異なる絵本によって文章が違っているのが気になるところです。やはり、最新の改訂版がおすすめです。 読み聞かせの実際例も参照して下さいね。



 ト
とうさん おはなしして   [アーノルド・ローベル 作] 文化出版局

題名からして好きな本です。「お母さん」とは違った味がする、お父さんならではのお話がまとめてあります。
しかも、ねずみのお父さんです。「とうさん、ぼくたちもうみんなベッドにはいったよ。」ねずみの男の子たちが言いました。「お願い。おはなしを一つしてよ。」「おはなしがおわったら、すぐねんねするって約束するならひとりに一つずつ、全部で七つもおはなししてあげよう。」と、とうさんねずみが言いました。七匹の子ねずみなのですね。とうさんはおはなしをはじめました・・


特に、「ねずみとかぜ」「だいりょこう」が楽しいです。「だいりょこう」は耳で聞くだけでも楽しいのでストーリーテリングで届けてもいいかなと思います。


どうする?ビアンカ   [リンダ・ヴォルフスグルーベル 作] フレーベル館

 ネコとねずみのお話って、比較的多くあるような気がしますね。でもって、大抵がねずみの方が賢いのです。この絵本も類似していると言えるでしょう。ただ、1匹のねずみに対して、3びきのねこという1:3という設定で仲間割れから始まるところから惹きつけています。当然、3匹のネコはケンカになります。そのケンカを仲裁に立ったのがねずみというのですから面白い展開になります。そして、得てしてねずみの思惑にはまるのも先が見えます。(とは、大人の見方ですね)
昔話のように、起承転結の典型的なパターンを取り入れているからこそ、子ども達は楽しむ事ができるのだなと、おはなし会で感じました。
ねこの名前をしっかり把握して、読む事が読み手としては大切なポイントとなります。


どうぞのいす   [香山 美子・文/柿本 幸造・絵] ひさかたチャイルド

うさぎさんが椅子を作り、「どうぞのいす」と立て札も立てました。「なんてしんせつないすだろう。」ある日、ろばさんが椅子にドングリを置いておひるねをしました。次々にやってくる動物達はみんな、「どうぞのいす」に素敵な勘違い(?)をします。次に来るひとのために。 ろばさんがおいたドングリのかごはどうなったでしょうか?

繰り返しの面白さを生かすためにパネルシアターで届けました。思いやりの連鎖が子ども達の心に響いたでしょうか。 「どうぞ」というゆずる気持ちから自然に出る優しい気持ちの言葉と共に、ほのぼのとしたお話の中で、その意味や、大切さが伝わってきます。そして、思わず笑みのこぼれる結末に、子ども達はとっても、楽しんでいました。
秋の豊かな収穫の季節に届けたいお話しですね。 (2004年2月に第55刷が増刷されたそうです。)



どうながのプレッツェル   [マーグレット・レイ文/H.A.レイ・絵] 福音館書店

起承転結のはっきりとしたお話なので、多くの子ども達から喜ばれる1冊です。
5月のある朝、5ひきのダックスフントのこいぬが生まれました。その内の1ぴきプレッェルだけが異様に成長と共に胴体が長く伸びてしまったのです。なんと、世界一胴長のダックスフントです。

もう、ここまでの展開だけでも子ども達は釘付けです。皆から注目のプレッツェルでしたが大好きなグレタという小さなダックスフントだけは知らん顔です。
さあ、ここから涙ぐましい(?)プレッツェルの求愛が始まります。

「しろいうさぎとくろいうさぎ」のような<愛・結婚>がテーマになっていますが、プレッツェルの冒険場面などが幼い心をぐいぐい引き込んでいくようです。やはり、5月のおはなし会で届けました。
読み聞かせのポイントも参照して下さいね。



 どうぶつ    [ブライアン・ワイルドスミス 作] らくだ出版

ブライアン・ワイルドスミスさんの描かれる絵は点描写のように細かくそして大胆で美しく、今にも動物達が絵本から飛び出してきそうな程、迫力があります。
「トナカイのむれ」「サイのしょうとつ」・・・大きく口を開けたカバと他のカバたちの目・目・目・・・「カバのかぞく」「りこうなサル」「はねとぶヒョウ」等、それぞれの動物に子ども達は釘付けになっていました。
おはなし会の始め、導入として最適です。おはなしに集中してくれました。

その他に
『とり』もとり年のおはなし会に届けてみました。まさしく、いろとりどりのとりたちの群れがいくつも飛び交って美しい絵本です。大人も知らないような名前の鳥に目が点になってしまいます。



 どうぶつしりとりえほん   [藪内 正幸 作] 福音館書店

動物の絵なら薮内さんと言っても過言ではないでしょう。
リアルでありながら、温かみ柔らか味のある細かい毛並みにまで細心の気使い、優しい気持ちを込めて筆が運ばれているこの絵本。
「らっこ」から始まる楽しいしりとりと共に、益々子ども達が動物に親しみをもって楽しく味わえます。
幼い子はもちろん何度も繰り返し、大きい子や小学生にまで人気です。いえ、大人も楽しめます。
小学校のおはなし会のおまけには最適です。皆で、声をあげて楽しむ事のできる1冊ですね。


どうぶつにふくをきせてはいけません  [ジュディ・バレット文/ロン・バレット・絵] 朔北社

 いろんな動物に服を着せたらどうなるかと、ユーモアあふれる絵本。ちょっぴり、人間のペットに対する過保護な行為が実は、とっても迷惑なことではないかしらと捉えるような絵本のようにも、思えたのですが、単純に笑えて、それでいて、想像力を豊かにしてもらえる楽しいものです。子ども達も大喜びでした。
長いお話の合い間、おまけの1冊としてお薦めです。


 どうぶつのて    [小森 厚・文/金尾 恵子・絵] 福音館書店

 「そうか。手でいいんだ、前足と言わなくても・・」と、思わず納得する一冊。本当に、手として大事な役目をそれぞれの動物の説明をこんな風に楽しく知ることができるなんて嬉しい限りです。犬、コアラ、くもざる、もぐら、おっとせい、こうもり、おおありくい、パンダ、ひぐま、カンガルー、ゴリラなど。ちょっとした隠し絵にしてクイズのようにあててみたくなったり、あらら、?最後に誰かの絵もありませんか?じっくり、ゆっくりと後で手にとってみたくなる子はきっと動物が大好きなのでしょう。小学校のおはなし会におすすめです。


どうぶつはいくあそび   [きしだえりこ・文/かたやまけん・絵] 福音館書店

 俳句を習い始めた子ども達、習っていなくても知っている子、いえ、知らなくても楽しめる「言葉遊び」です。
はじめに、ふるかわうそはちさんというかわうそが、どうぶつたちのはいくについて紹介してくれています。ぜひ、それも声に出して読んでみましょう。(何々・・?)と、ページをめくる楽しみがわきます。
例えば、「いもむしが ふりそでをきて ちょうになり かーすけ」と、うたってその下に書かれています(かんそう)もこれまた面白い。おはなし会の導入として、始めるとぐっと、子ども達の集中力が沸くと思います。

『どうぶつはやくちあいうえお』もおすすめです。同じ言葉遊びのかるた版です。実際、『はやくちどうぶつかるた』として出版されていたのを絵本にしたものです。こちらはおはなし会の最後におまけとして遊んでみると大いに盛り上がります。例えば、「か かばくんの かったかばん ばかにでかかった」という調子ですから、6年生も「ハイ!」と手を上げて催促してくれました♪大勢で楽しんだ一冊です。


どうやってねるのかな   [藪内 正幸 作] 福音館書店

やはり、藪内さんは、本物の動物を描かれる方ですね。
「動物がどうやってねるか」と考えた事はありますか?大人でも知っているようで案外知らないものです。「○○(動物の名前)はどうやってねるのかな」のページから次をめくるとその動物の格好と答えに思わず唸ってしまうほど素晴らしい!
ページも短いので飽きません。他の動物はどうかな?と考えてしまう程です。おはなしの合間に気分をほぐしたりする時などに最適です。

同じく藪内さんの『なにのこどもかな』も、幼い子向けですが侮れないくらいリアルで動物の特徴を正確に描かれています。小学生でもクイズの質問に答えるように楽しんでくれました。


とおいクリスマス   [えびなみつる 作] 白泉社

初めは「不思議な絵本」と思わず唸ってしまいました。お母さんがいない家庭?クリスマスだというのにお父さんがお料理しています。子ども達もお手伝いしています。ページをめくっていくうちにわかります。(なるほど!)
未来のクリスマスはこうなる日が来るような気がしますね♪
クリスマスおはなし会の導入として届けました。目を丸くしていた子ども達が印象的でした。



ドオン!   [山下洋輔・文/長 新太・絵] 福音館書店

ジャズ奏者で有名な山下さんが子どもの絵本にも携わっていらしたことを知らない人もいるようです。読んで見ると本当にひとつ一つの音の響きがジャズのリズムとなって、音の繋がり、連鎖がうまく心に沁みんできて、ましてや絵は、あのナンセンス絵本作家の長新太さんだから尚更です。
おにの子ドンにこうちゃんがたいこをドン!と叩くとオニの子も負けじと「ドン!ドン!」と返し、こうちゃんは更に「ドンドコ ドンドン ドン!」このやりとりにこうちゃんとオニのおとうさんとお母さんも加わり「ドカドカドカ!」・・・
ネコも犬も!?「ニャンタカ・・ワントコ・・・」にわとり、うしも!?「コケコッコ!・・・モウモウ・・」
なんだ なんだ ダダフカ ・・・どうした・・・ジャカスク・・・いや〜面白い・?♪?????♪?♪??♪?? こんな音を楽しむ絵本ってあまりありませんね。しっかりとしたおはなしの後やおはなし会の合い間には最適です。もう子ども達はしっかり楽しんでくれました。ただ、読み手は相当読む練習が必要です(どの絵本も同じですが)リズム、速さ、間、緩急など曖昧にしないで読んでみてくださいね。


とき〜ほろびゆくとり〜   [佐藤春雄・文/薮内正幸・絵] 福音館書店

ときは昔、日本中にいました。(戦後は佐渡が多かったようです)1960年、ときは国際保護鳥になりました。この絵本が出版された後、1995年に日本には1羽だけになりました。でも、1999年に中国から送られてきたときによって繁殖していく希望の光が少し見えてきています。
これから後、ときが日本中に増えてゆく事を願いたいと思います。難しい課題ですが昔のようにときがまた大空いっぱいに舞い上がる姿を見ることができますように・・・。
そんな願いを込めて卒業していく6年生のおはなし会で届けました。



どさんこうまのはる   [本田哲也 作] 福武書店

北海道には、道産子とよばれる馬がいます。くびが太く足の短いずんぐりとした小さな体をしていますが、どんな苦しみも乗り越える、ねばり強い性質を持っています。 それは、冬の厳しい自然の中で馬たちは、生き抜かなければならないからです。寒さと飢え、そして子馬や病気の馬がオオカミにおそわれることもあります。

道産子の中には、外敵から守るとても強い雄馬がいて、このリーダーのもとに、オオカミの群れと戦いました。このように生き抜いて、たくましい北海道の馬に育っていったようです。そして今でも元気に生き続けています。そのつぶらな瞳からは、過酷な自然を生き抜いた姿を想像することは出来ません。でも、冬でも雪の中に放牧されている馬たちには、鍛え抜かれた生命力が今尚、宿っているそうです。深く心に迫ってくる1冊です。

他に、『どさんこうまのふゆ』があります。
1月の初めのおはなし会で届けました。子ども達は真顔で静かに聞いてくれました。



 とべバッタ   [ 田島 征三 作] 偕成社

自然の中の虫達の住処、営みに襲い掛かかろうと恐ろしい天敵が狙っています。 茂みの中に身を潜めているバッタはいつも恐怖と隣り合わせに暮らしていました。「あるひ、バッタは けついした。」・・・
食べられる事におびえて暮らすより、したいことをしようとあえて挑んだバッタ!当然、天敵が襲い掛かる場面の展開に子ども達の中には恐ろしくて目をつぶってしまう子もいます。「怖い」という子もいて、届ける事に躊躇する気持ちもありましたが、本当はそんな子ほどよく味わってほしいと田島さんは思いを込めて描かれたのではないかと今更ながら思います。
おはなし会で大型絵本を使って更にダイナミックに届けてみて、一層、見えてくるのです。(この絵本 すごいな〜)
「とべ バッタ」のバッタの名前を子どもの名前に置き換えて読んでみたくなる、そんな勇気の絵本として届けたいとあらためて思います。


トマトのひみつ   [ 山口 進 作] 福音館書店

「ぼくは トマト。ぼくたちの はたけに なつが きた。おいしい みを たくさん つくるぞ。」
夏、照りつける太陽の下で、元気に育つトマト。そのトマトの写真だけで、瑞々しくて美味しそうと思ってしまいます。
トマトにはどんな秘密があるのでしょう?トマトの不思議がわかるような科学絵本です。そして、トマトの目を通して、夏の自然の様子を生き生きと描いた写真絵本です。
「クモが なぜ すを つくるか しってるかい。」トマトには特殊な匂いがあって、クモやハチなどの虫が寄り付けないようになっています。ということは・・・・?

ああ、そういえば、トマトを冷蔵庫に長く入れておくと他の野菜が傷むと聞いたことがあります。
夏のおはなし会に、幼児から大人まで皆で楽しめる絵本ですね。 



ともだちっていいな   [いしいむつみ・文/はせがわともこ・絵]  童心社

毎年4月に、新2年生に届けています。新入学した時から、初めて仲良しになった友達との懐かしい数々の思い出と共に、心も体も成長する1年間です。

どきどきしながら、初めての学校生活の中から出会いの喜びもあれば、時として辛い別れも経験します。大好きな友達がある日、転校になり、別れなければならない時もあります。
いつもいっしょにいたから、友達でいられたけど、離れてしまっても友達でいることができるでしょうか?
未発達の子どもの心の奥深くに動かされるものがあります。
私の子どもも辛い転勤を経験していますので、何度となく涙しながら読みました。感動の1冊です。



ともだちや   [内田 麟太郎・文/ 降矢 なな・絵]  偕成社

1度だけ届けたことのある絵本ですが賛否両論あります。
ある変なきつねが「ともだちや」という商売を始めました。「えー、ともだちやです。ともだちはいりませんか。さびしいひとはいませんか。ともだち いちじかん ひゃくえん。・・」時給百円で友達になってあげる、というのです。
その格好が実に可笑しいのですが、《ともだちや》と書いたノボリを担ぎながら、きつねは森を歩いていきます。
はじめは、クマが一人の食事はさびしいと、200円分友だちを買います。きつねは一緒に食べたくもないイチゴを食べました。
今度はこわーいオオカミに呼び止められました。一緒にトランプをさせられた後、オオカミはお金を払おうとしません。「おまえは ともだちから かねを とるのか。それが ほんとうの ともだちか」いっぱいに口を開け、目をとがらせ、牙をカチカチ鳴らしながら、オオカミは怒ります。(このオオカミの言葉に説得力があり、本当にそう思います)

なんと、きつねは「それじゃあ あしたも きていいの?」と「ただ」の友達ができて喜びました。
キツネは本当は友達ができないことをとっても淋しく思っていたのですね。それをごまかしていたのです。
おはなし会でも笑っていた子が「ほんとうのともだち」いう言葉にぐっときたような気がしました。

これには、まだ続編があります。『ともだち くるかな』『あしたもともだち』『ごめんね ともだち』『ともだち ひきとりや』『ありがとうともだち』と続きます。



トラのナガシッポ   [富安 陽子・文/あべ 弘士・絵] 福音館書店

さすが動物博士のあべさんが描く楽しい絵本です。
まなぶのおとうさんがめんどくさそうに、いい加減に描いたトラは、なんか変です。身体よりしっぽが長すぎます。
でもね。おとうさん、実は何か考えがあったのかもしれません。というのは、、このしっぽが大活躍することになるのです。なんとそのトラが画用紙の中から飛び出して、まなぶをジャングルの冒険に連れ出しました!さてさて・・・。
動物の大好きな子は釘付け間違いなしのお話です♪



とりかえっこ   [さとうわき子・文/二俣英五郎・絵] ポプラ社

とっても可愛らしい絵本です。小さなひよこがめんどりに「あそびにいってくるよ ぴよ」と鳴いて出かけます。
はじめはねずみと出会い、鳴き声をとりかえっこします。ねずみは「ぴよぴよ」、ひよこは「ちゅうちゅう」、次に「ちゅう」と鳴きながらぶたさんととりかえっこしたため、ぶたは「ちゅう」、ひよこは「ぶう」・・・

こんな調子でかえる、犬ととりかえっこしますが猫がきて、ひよこを食べようとします。でもその声に猫は驚いて逃げていってしまいますが猫ともいつのまにかとりかえっこしていたのですね。
さあ、最後にひよこは誰と出会ってその声はどうなったでしょうか?そして、家に帰ったひよこにめんどりは何と言ったでしょうね。

めくる毎に右ページ下にたまご、たまごにひびがはいって、ひよこがうまれ、・・・と増えていく絵と共にどのぺーじにもほほえましい動物達の生活がさり気なく描かれて、ひよこの行く手を見守っています。
幼い子のおはなし会には最適で、お母さんも思わず「くすり」とやさしい笑顔で我が子と楽しめる1冊です。



 どれがぼくか わかる?   [ カーラ・カスキン 作] 偕成社

お母さんなら、ぼく(子ども)のことを何でもわかる?本当かな?色んなものの中から探しだしてみようというおはなしとクイズが一緒になった絵本です。
馬の中では大好きな帽子をかぶっている馬がぼく。スカンクの中ではスカーフをまいていたり・・・次々と色んな動物たちが続きます。黄色と緑の色彩に目が離せません。
おはなし会の合間に皆で探しながら楽しんだ1冊です。


どろぼうがっこう   [ 加古里子 作] 偕成社

加古さんはこれを紙芝居でと考えられたようです。確かに読むより紙芝居風に演じた方が楽しいお話のような気がします。
「ぬきあし、さしあし、しのびあし・・」は幼稚園児は声を揃えて大合唱してくれました。
「こんな学校なんて・・・」とあるお偉い方は眉をひそめられますが、そこは子供の遊び心をわかってほしいところですね♪「難い事言いっこな〜し♪」大人数で楽しみましょう。



トロールのばけものどり   [イングリ・ドーレアとエドガー・ドーレア 作] 福音館書店

ノルウェーの山の谷に住んでいる四人の子ども達、オーラとリーナとシーナとトリナはある日、お母さんに頼まれて、年寄馬のブラッケンを連れて、森の奥にまきを拾いにでかけました。すると、ものすごく大きな鳥が現れました。それはブラッケンをねらっているトロールのばけものどりです。そのばけものを倒せるのは、本物の銀のボタンだけです。
そこで、オーラはボタンをつめた、ラッパ銃を打ち、倒します。 その夜は鳥をローストチキンにして村中みんなでおいわいになりました。しかし、怒ったトロルの夫婦がノシノシと仕返しに村へやってきたから大変です。
さて、オーラたちはトロルを倒すことができるのでしょうか。

いつも幻想的な雰囲気のある独特な絵と物語を手掛けられるド−レア夫妻がノルウェーの民話をもとにした少々、スリリングなお話です。
ドキッとする場面もありますが、高学年の子ども達が特に喜んでくれました。



 どろんこ   [長谷川摂子・文/英 伸三・絵] 福音館書店

j富士山の見える保育園で実際にどろんこプールあるようです。そこで、どろんこ遊びに興じる子ども達を写真で捉えた一冊です。羨ましい環境に思わず「きゃ〜!」と歓声が飛び出してあんな風に裸で泥の中に埋もれて遊ぶことができたらいいかしらと羨望の眼で見る子ども達とは対照的に、後が大変とお母さん方はしかめつら(?)いろんな気持ちが交叉しながらも、絵本の中で想像の世界でしっかり遊べて満足、満足♪
夏のおはなし会のおはなしの合い間に、お薦めです。


どろんこハリー   [ジーン・ジオン・文/マーガレット・ブロイ・グレアム・絵] 福音館書店

子ども達に人気の絵本です。表紙・標題紙2枚=本文までに3枚の絵ですでに物語が始まっています。
(「読み聞かせのポイント」でも紹介)

ハリーはお風呂が嫌いな黒いぶちのある白い犬です。ブラシを加えて外へ逃げ出したハリーの冒険が子ども達の共感をよぶのでしょうね。
白いぶちのある黒い犬となった全く反対のハリーの姿に家族の誰も気付いてくれません。がっかりして歩いていたハリーは急に立ち止まったかと思うと庭の隅の穴を掘り出しました。ハリーはあることを思いついたのです!
墨絵で描かれたハリーの表情の豊かさと起承転結がはっきりとした話の運び、リズミカルな言葉の響きがとても心地よく伝わってきます。
子ども達もきっとハリーと共に冒険の旅に想像を膨らませているのでしょうね。おはなし会の定番として届けられている1冊です。
他に夏編として『うみべのハリー』冬には『ハリーのセーター』を届けました。

読み聞かせの実際例も参照して下さいね。


 どんぐりかいぎ   [こうやすすむ・文/片山 健・絵] 福音館書店

 ―どんぐりがたくさん落ちているところをみた事がありますか。北の国のどんぐりの森の中にはどんぐりがたくさんなる「なりどし」と、すこししかならない「ふなりどし」があります。どうしてあるのでしょうか。―このお話は、そんな素朴な疑問を昔話風にして描かれたかがく創作絵本といえるような気がします。

むかし、むかし、北国の森の中のお話。どんぐりの木は、秋になるとどんぐりを落としていました。何故でしょう?それにはちゃんと理由がありました。動物達は食べたあと、穴を掘ってどんぐりを隠します。冬の間食料の為に。でも動物の数が増えてどんぐりがなくなっていたのです。困りはててどんぐりの木たちは会議を開きました。動物と若いどんぐりの木を育てるために3回も繰り返し会議を開いて、・・・・さあ、最後はめでたしめでたし!で終わるでしょうか?

片山健さんの力強い油絵で描かれた森の風景。どんぐり、動物達の声、動きが画面全体に躍動感をもって伝わってくるものがあります。長いお話ですがちゃんと子ども達は見入って聴いていました。もちろん、秋のおはなし会に最適です。


とん ことり   [筒井頼子・文/林 明子・絵] 福音館書店

かなえが引っ越してきた日、玄関の郵便受けで「とんことり」と音がしました。誰かがすみれの花束を入れたのでしょう。郵便受けの下に落ちていました。だれかしら?かなえは気になりますがお母さんは忙しくしています。
次の日も「とんことり」と音がして、たんぽぽが3本郵便受けに、はさんでいました。
そしてまた次の日には、お手紙がきました。差出人のない宛名のない手紙でしたが、かなえにはわかりました。「あたしにきたてがみよ。」

かなえをそっと見ている子は、実は初めのページにかすかに小さく見えています。さり気なく存在感が伝わってきて最後ははっきりと現れてくるもう一人の子の存在。筒井さんの童話にしてもいいようなお話に林さんの絵に工夫が感じられます。二人の少女の出会いが春の訪れと共に、少々どきどき、はらはらしながらも爽やかに伝わってきます。

春3月頃のお引越しの時季に。パステルカラーで細かい描写が多少遠目が効かないと思いますので、少人数のおはなし会がいいと思います。



とんとんとめてくださいな   [こいで たん・文/こいで やすこ・絵] 福音館書店

ハイキングに出かけた子ねずみ3匹が道に迷い、一軒の家に泊めてもらおうと「とんとん とめてくださいな」と戸を叩いても返事がありません。誰もいない家に泊めてもらうことにしました。しばらくすると、「とんとん とめてくださいな」と言って戸が開けられました。道に迷った子ウサギ2匹です。するとまた・・・・・次から次へと迷った客人が訪れ、その後に黒い大きなものがにゅうっと・・・!
くりかえされるリズミカルな「とんとん と」との響きが子ども達の心の中にすとんと心地よく落ちてきて、繰り返しのその後に空気が止まる一瞬。この間が何とも憎い演出ではありませんか!とこれは大人的な見方ですが、何だろう?何が起こったのかしら?子どもはしっかりおはなしの中にぐいぐいと入っていきます。そして、最後はほっとする温かい場面に満足感を覚えます。
ウクライナの「てぶくろ」にも似たおはなしかな?と最初は思いましたが、こいで夫妻の絶妙なコンビによる憎い演出が現代の幼い子の心を良く掴んでいると思いますね。小さい子向けのおはなし会に最適でしょう。


どんどんちっち どんちっち   [川崎 洋 作/ 長 新太・絵] 学習研究社

言葉遊びとして大いに、楽しんだ1冊です。子ども達はとてもことば遊びが大好きです。読んだ後も手にとっていつまでも見続けていた子がいました。
これは、ことばあそびの達人、川崎洋さんといつも奇想天外、ナンセンスな絵で楽しませてくださる長新太さんの凄いコンビによって、とても愉快な絵本になっています。 

「さあちょっと、頭をひねって柔軟になって楽しんでみましょう♪」 "どんどんちっち どんちっち”
ツクツクボウシは ぼうしをつつかない
・・・シャベルは しゃべらない・・・かみなりおこしは ごろごろならない・・・ハクサイは くさく ない・・・おとしぶたは トンカツに できない・・・ならの だいぶつ おならを しない・・・花の カンナは けずらない ・・・たたみは たためない・・・ナシ?そこに あるじゃない・・・と。
ねっ、おもしろいでしょ?

集中して聞いたおはなしの後で、ちょっとした合間のほっとする1冊です


どんなにきみがすきだかあててごらん [サム・マクブラットニイ・文/アニタ・ジェラーム・絵] 評論社

ちいさなウサギとおおきなウサギはいつもいっしょの仲良しです。ちいさなウサギは「どんなにきみがすきだかあててごらん」と聞きました。さあ、どう答えたらいいでしょう。
「こんなにさ」とチビウサギはうでを思いっきり伸ばしました。それに対抗してデカウサギも「こーんなにだよ」と、もっとながくうでを伸ばしました。(なんて、ほほえましい♪)
2匹の考えた好きの自慢比べが永延と続きます。夜がふけてしまい2匹は・・・・。

子どもにはありがちな遊びと共に、相手を思いやるチビウサギの素直な心と、デカウサギの寛大な心で受け止める優しさに、温かい気持ちになります。こんなことを言える友達、友情は素敵ですね。
1年生の朝読最後の日に「1年間ありがとう」の気持ちを込めてこの絵本を読みました。



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