≪絵本のおはなし≫おはなし会の中から…

おはなし会で届けた絵本の内容をここにご紹介します。
子供たちの様子を思い浮かべながら一つ一つ書き留めてみました。
一覧はBooksでご覧下さい。題名をクリックすると画像を見ることができる絵本もあります。





 ヤ 
やぁ、ゆきだるま!   [ロイス・エイライト 作] 偕成社

雪がふると、子ども達は大喜びしますね!雪だるまができるほど、降ったらどんなにか楽しいか。
(特に、雪の少ない地方に住んでいる子ども達は、思うでしょうね)
墨絵と木の葉、種、木の実、ぼたんと手袋とフォークや鈴・・・ありとあらゆる身の回りのものを使って出来上がった雪だるまの素晴らしい絵に、子ども達の目は皿のようです。
縦長にして見る絵本の良さも充分発揮しています。もうこれは、冬の小さい子向けのおはなし会に喜ばれる事、請け合いです。



ヤギとライオン―トリニダード・トバゴの民話   [内田莉莎子・文/むかいながまさ・絵] 鈴木出版

夕立で、ヤギがずぶ濡れになっているのを見たライオンは雨宿りに家に招きます。ヤギはありがたく思いますが、ライオンがバイオリンを持ち出し、弾きながら歌いだしたその歌詞にたまげてしまいます。でも、ヤギは震えながらも知恵を働かせます。お返しにとヤギもバイオリン片手に歌います。すると、今度はライオンが聞いているうちに慌てだします。

この絵本の良さは、絵が格別にいいことです。震え上がり逆立ちだったヤギの毛のまあ凄い事!耳をピンとたてて、聴き入るライオンなど、表情が生き生きと描かれています。そして、文章の歯切れのよさ、面白さに絵と一体になっています。子ども達は終わった後も、やはりいつまでもこの歌が耳に残って離れないようです。何人かの子が口ずさんでいました。鬱陶しい雨の多い雨季もこの1冊で、心はからりと晴れることでしょう♪

このお話は『子どもに聞かせる世界の民話』実業之日本社にも収録されていて、ストーリーテリングで届けても楽しいおはなしです。耳から聞こえるあの何とも言えない怖い歌は格別で、ライオンやヤギの様子を子ども達の頭にそれぞれ、映像となって浮ぶ事でしょう。『ライオンとやぎ』こぐま社にもありますが、こちらはパキスタンのお話で似ていますがちょっとストーリーが異なり歌もでてきません。やはり、子ども達は歌ありの方が喜んで聴くと思います。


やさい   [平山和子 作] 福音館書店

正確で、細部にわたって野菜の瑞々しさが描かれている野菜の絵と共に、短い一文に込められた、やさいへのやさしい言葉が伝わってきます。最後のページがこれまたいい。真っ赤なぷよぷよとしたほっぺの子が、ホカホカの焼いもを二つにわって、おいしそうにさあ、「いただきまーす」に思わず、生唾ゴクリとなりますね。

他に『いちご』『くだもの』『おにぎり』等もあります。主に、幼い子向けのおはなし会の絵本ですが、しっかりとしたお話の合間のほっとする1冊として、敢えて小学生のおはなし会でも届けています。子ども達は、おいしそうな顔をして見てました。 


やさいたちのうた   [藤富保男・詩/谷口広樹・絵] 福音館書店

詩・ことばあそびの絵本としての1冊です。あじわいのある野菜の絵と共にリズム感に満ち溢れ、気持ちのよい言葉の響きが、心の中にストンと落ちてきて、まさに「やさいたちの歌合戦」ですね。

 「かぼちゃ かぼちゃ がぼちゃに がぼちゃ かぼかぼ かぼっと
 かぼちゃの かほちゃ かぽかぽ かぽっと かぽちゃの かほちゃ


中々、舌が廻らなくて読みにはそれなりの練習がいります。読みに併せて子ども達も、いっしょに言ってくれる子もいれば、口だけ「かぽっと」と開けていた子もいましたね。絵本1冊を全部も読まなくて、おはなし会の合間に、1つ、2つの「やさい」を届けた方が子ども達の脳裏にインパクトされやすいと思います。季節の野菜を届けましょう♪


やさいのおなか   [きうちかつ 作] 福音館書店

普段見慣れた野菜で、料理の時には切り口も見ているはずなのに案外、大人も知らないことに驚いてしまうという1冊です。野菜の「おなか」という表現がまたいいですね。、え、こんなかたち?と思ってしまいます。

初めは、白黒で描かれた野菜の断面図に「これなあに」と11種類のやさいのおなかが次々と登場します。子ども達から答えが飛び交います。想像力をふくらませてしっかり答えてくれます。絵の中の縁どりの色がヒントになってるのがこれまたいいですね。それでも難しい。次に、正解の野菜の絵が出てきます。子ども達は、当たっていれば大喜び、「え〜」と驚いたり、納得したりとその顔の七変化を見るのもまた楽しい事。「オクラ」と答えた子に驚かされたり、野菜のおなかなのに果物の名前を言う子もいたりして、本当に子ども達の想像力は凄いものです。楽しみながら、身近なやさいに触れることができるという素晴らしい絵本です。

これを紙芝居にという案もありましたが充分、絵本で楽しめます。むしろ、手を加えないでこの絵本の良さをそのまま届けてあげたいと思います。小さい子から高学年まで、しっかりとしたおはなしの後でほっとする絵本としておすすめです。

2005年、『やさいのせなか』 も出版されました。魚拓ならず野菜拓です。えっ?これ野菜?というのもあり、やはり魚拓もあり、う〜ん?これは難しいと大人も唸ってしまったり、でも案外、子どもは知っていたりして驚かされます。「おなか」に負けていません。2冊セットで持っていればちょっと、おはなしの合間に使えますね♪

続いて、2007年には『くだものなんだ』 も出版されました。大好きなくだものは得意?顔みたいなのもあるよ。
もう、みんなで当てっこ。釘付けです。


やさいでぺったん  [よしだきみまろ 作] 福音館書店

お母さんが夕飯の準備中に、野菜の切れ端がころがって、床にぺったんぬれている形を見て野菜のぺったんが始まりました。たまねぎひとつだけでも切り方が違うと、色んな形の模様ができるのですね。
キャンプの風景画やお父さんの顔、など楽しい芸術画(?)になったり、絵を見て、これは何の切れ端のぺったんか当てっこしてみるのも面白いですね。子ども達は目を輝かせて、ひとつひとつ声を出して言ってくれます。

この絵本を見ると、年賀状を芋版画でしたときのことを思い出します。
それから、文庫でこの絵本を読んでからさあ、みんなもぺったんしようかとぺったん大会をしたときもありました。
小学校でも、やはり友だち同士で「あれは、セロリで・・・」と楽しそうに言ってくれましたね。
少数よりも大勢で楽しめる、楽しみたい1冊ですね。その後、本当にぺったんができたら最高です♪ 


 やじるし    [蓮見絵里子・文/蓮見智幸・絵] 福音館書店

月刊かがくのとも(2004.11)のペーパーバックです。 →矢印って知っていた?どういう意味のある記号かしら?日常の生活の中で見たことある?どんなところで?そういえば特別な行事のあるとき、いつもは気付かないのか、なかったのかも知れないですが、こんな時にはとっても親切で、矢印があると嬉しいですね。どこかへ出かけたときなど迷子にならないようにとの道しるべであったりもします。だから、とっても便利で、むしろなかったら困ってしまいますよね。
ちょっと、頭をひねって考えてしまうようなクイズ形式のページもあり、参加型のこの写真絵本は友達同士で楽しめますね。運動会の時期のおはなし会に最適です。


やっぱりおおかみ   [佐々木マキ 作] 福音館書店

数年前に、絵本作家の集まる講演会に行きました。佐々木さんもそのおひとりでした。但し、佐々木さんの場合は独演ではなくインタビュー形式で質問に答えられていました。ご自分でお話になるのが照れくさいと言われる位、とてもシャイな方なのに驚きました。そして私は失礼ながら、この時まで女性だと思っていましたので2度びっくりでした。
子どもの頃から運動が苦手で、絵ばかり描いていたという生い立ちを伺って「オオカミ」の中にご自身を投影されてるような気がしました。松居直さんの推薦で出版されましたが、編集にあたって思い通りにならなくて、本来はマンガ志望で絵本は生活のために描かれていたそうです。

孤独感に満ち溢れたオオカミ。仲間を求め彷徨いながら結局、見つからずに「けっ」という捨てゼリフを吐いていきます。
最後まで一人ぼっちのオオカミですが、やっぱり自分はオオカミなんだと妙にさばさばとしています。そして、最後までシルエットで描かれたおおかみの表情が見えないところから哀愁を感じます。
絵本の中では描かれていないのですが、「やっぱりおおかみ」のその後は、絆を求め続け、真の友人を得たのでしょうか。
この絵本は、幼い子よりも大きくなってから、心に感じ入るようなお話だと思いましたから、もうすぐ中学生の6年生お別れおはなし会で届けました。 


やぶかのはなし   [栗原 毅・文/長 新太・絵] 福音館書店

夏は好きだけど、蚊がでてきて刺されるのが困りものという人は大勢いると思います。では、蚊はどんな風にやってきて人の血を吸うのでしょう。雄と雌の蚊では違うということを知っていましたか?
蚊は夏にはごちそうのすいかの汁が大好物のようです。蚊は、甘党なのですね。  なるほどと、とっても簡単に、やぶかの事がこの1冊でわかります。
そして、長新太さんの黄と緑色を基調とした絵の中に、血を象徴するような赤色が効果的に描かれているのが、とても印象的で、見返しの真っ赤な色使いも、血の色をあらわしているように感じます。
もちろん、夏の初めのおはなし会におすすめです。読んでいる最中に、腕をポリポリと掻き始めた子がいましたよ。


やまあらしぼうやのクリスマス    [ジョセフ・スイレント文/フェリシア・ボンド・絵] グランまま社

クリスマスが近づき、クリスマス降誕劇に出たいと願う、やまあらしの坊やをめぐってちょっとした問題が起こります。
他の動物たちから色々浴びせられる言葉に涙する坊やを、お母さんだけが「私の心の光」と坊やを抱きしめるのです。
そして、坊やは道具係、掃除係として、皆からの注文に走り廻ります。ところが、幕が上がり本番だというのに、クリスマスの星がありません。そこで、やまあらしぼうやは「ぼくにまかせて」と・・・・
これは『クリスマスのほし』聖文社から出版されていた絵本の改訂版です。文章も絵も多少異なります。前作の方がお薦めのような気もしますが、やまあらしの絵が残念な事に暗くて遠目が効かないという理由でこちらを届けてみましたが比較してみてください。
クリスマス降誕劇に我が子もそう言えば・・・と思い出されます。小学校低学年の12月に届けてみました。


やまなしもぎ  [平野直・再話/太田大八・絵] 福音館書店

まず、表紙、そして見返しをめくった最初から、太田大八さんの深い藍色を基調とした沼や秋のやまなしをはじめとした山の風景、それに不思議なばあさまや沼の主などの絵がこの昔話の筋に添って細部まで丁寧に素晴らしく描かれています。
三人兄弟が病気のお母さんのために、やまなしをとって食べさせようとと出かけますが、上の二人の兄は途中、ばあさまの言う事を聞かなかったために沼の主にげろりと呑まれてしまいます。三番目の三郎は素直に従って兄さん達を助けてやまなしも持って帰ることができたという典型的な三度の繰り返し、三番目が成功するという日本の昔話です。

三度の繰り返しが毎回丁寧にでてきてやや、長めのこの昔話は、『子どもに語る日本の昔話』こぐま社からの「なら梨とり」とほぼ同じです。 『おはなしのろうそく』に収録されている「なら梨とり」はこれをさらに聞きやすく語りやすく収録されていますのでストーリーテリングならこちらをおすすめします。(但し、賛否両論あるようですのでぜひ手にとって比べて見てください)
絵本もおはなしも、リズミカルな笹や鳥、ふくべの音、沼からの不思議な歌など、子ども達の心はすっかり、やまなしの世界へ惹き込まれてゆくのがわかります。秋のおはなし会におすすめです。


山のいのち   [立松和平・文/伊勢英子・絵] ポプラ社

「いのち・生きる」をテーマにブックトークで届けた1冊で、自然界の中で生きていくための掟が描かれています。
静一は都会生まれの都会育ちで、15Fのマンションに住む不登校の子供でした。夏休みに山の緑に囲まれた田舎のおじいちゃんの家で過ごすことになり、畑でとれたトマトやすいかや、産みたての鶏の卵を食べるという自然の生活を知ります。そのご馳走の鶏をイタチが食べてしまったことから、おじいちゃんはイタチを征伐してしまいます。全くしゃべろうとしなかった静一が初めて言葉を発します。それは、「かわいそう」。

おじいちゃんは自然界の命について静一に話します。「山には川が流れている。川には水があって、魚がいる。カニもいる。山にはなんでもある。山にはいればたべるものはいくらでもあるさ。たべるのは小さないのちだ。虫を魚がたべて、その魚をイタチや人間がたべる」そして、おじいちゃんは、皮からはがしたイタチの白い肉を、水にながして、「あれも魚のえさだよ。たべたり、たべられたり。山の中のものはなにもむだがなくて、ぜんぶがぐるぐるとまわっているんだよ」と教えてくれます。 はたして、静一は、この山の自然の中で変わっていくのでしょうか?
 
立松和平さんは、テレビにも数多く出演されている作家ですが、子供のために書いた初めてのこの絵本で「よい絵本」に選ばれています。他に、『海のいのち』、『田んぼのいのち』や『街のいのち』もあります。

 

やまのくじらとうみのいのしし   [むらのなつお・文/スズキコージ・絵] ベネッセ

この昔話風な絵本は、冒頭から「むかし、くじらは山にいて・・いのししは海に住んでいた・・」といきなり驚かされて、とても不思議なおはなしの中にすっかっりひきこまれてしまいます。それに、スズキさん独特のふんだんに使われた明るい色彩は大胆で迫力があります。
くじらといのししはそれぞれ自分の見た夢を求めていきます。くじらといのししの見た夢とは?
困難な旅を続けるくじらといのししに大人の神様は無関心。かわいそうにと思ったのは子どもの神様というのが「チクリ」と胸の奥で感じました。でも、いつも事を起こすのは純粋な子どもです。そして、大嵐の末に・・・・くじらといのししはどうなったのでしょう。

夏から秋にかけてのおはなし会におすすめです。男の子が特に喜んでくれます。


 ユ
ゆうかんなアイリーン  [ウイリアム・スタイグ 作] セーラー出版

勇敢な男の子の冒険話が比較的多い中で、これは、賢くて礼儀正しい勇敢な″女の子"のお話です。

お母さんの仕事はドレスを縫ってお屋敷に届け、パーティまでに間に合わせる事です。でも、病気になってしまったお母さんの代わりに、アイリーンが代わりに行こうとしますが外は猛吹雪です。ドレスは飛ばされ、アイリーンも雪に足をとられたりと吹雪の中でくじけそうになります。でも、お母さんを思うアイリーンは力を振り絞って、猛吹雪の中を脱出します。

アイリーンのお母さんへの愛が勇気となった感動的なお話と終わるだけでなく、我が子を信じるお母さんの愛情と親子の絆もしっかりと感じることができて幸せな気持ちになります。それは最後のページの最後の一文が全てを物語っているようです。この言葉は胸にじんと響きます。子ども達も感じとっていたのでしょうか、とても静かでした。
おはなし会の中心となる1冊で、大きい子向けの冬のおはなし会でおすすめです。

 

ゆかいなかえる  [ジュリエット・キープス 作] 福音館書店

これは、科学絵本のような要素をもちながら、リズミカルな言葉と青、緑、黒、白の統一された色彩とが一体となって、ゆかいなかえるたちの一コマ、一コマを楽しく描いている小型創作絵本です。
たまごからかえったおたまじゃくし、おたまじゃくしからかえるになり、楽しく遊ぶかえるたち。かたつむりとかくれんぼしたり、怖いさぎをだましたり、とぼけたかめをからかったりとちょっと、いたずら好きです。
さて、かえるたちの好物は何でしょう?夏が大好きで、冬がくると春まで土の中でねむります。

物語のように楽しみながら、いつのまにかかえるの生態を学んでいるのですね。高学年の子どもが喜んでくれました。
小型で、遠目がやや効かないので、少人数の集まりに向く絵本だと思います。雨季、夏のおはなし会に。


ゆき   [ユリー・シュルヴィッツ 作] あすなろ書房

よあけ』の作者でコールデコット賞受賞作。一度、絶版になりましたが、復刊された時は小躍りした1冊です♪
降りつもる雪、雪、雪・・・街の風景が雪色に変化していくのをわくわくして見る喜びと新鮮な驚きとが入り混じった、子どもの気持ちを奏でている雪への賛歌ともいえるような素敵な絵本です。
しっかりとしたお話の後に届けたい、心がほっとする1冊です。雪のふる冬のおはなし会におすすめです。


ゆきがくる   [あさいたかし 作] 福武書店

一般的に、冬が近づくと楽しみな雪ですが、雪国ではそうも言ってられないようです。北国の冬を迎える準備は、非常に大切な仕事のようです。1960年代の札幌を舞台にしたこの1冊から、雪が降ることで生活がどんなに大変かを知ることができます。 当時の生活風景を背景に、人々の生活をたんねんに描きながら、雪を待ちわびる気持ちと同時に冬を迎える厳しさとが心に響いてきます。大雪を知らない地域に生まれ育った人も、ここから、そこに住む人の心にふれることで、心が豊かになるような気がします。
子ども達は静かに静かに、雪国のおはなしの世界に入り込んでいました。
もうじき雪の季節がやってくるという冬のおはなし会におすすめです。


ゆきのひ   [エズラ・ジャック・キーツ 作] 偕成社

子どもの生活体験からの気持ち、様子ががそのまま絵本になって楽しいピーターシリーズの1冊です。
朝起きると、あたりは真っ白な雪景色という日は嬉しくて心が躍ってしまう、子どもってそうですよね。朝ごはんはいつもより、さっさと食べて外へ飛び出していきます。
私は雪国に2年住んでいましたが、冬の雪かきは毎朝の日課でした。幼児は雪の中に全身がすっぽりと埋もってしまうほどの大雪ですから雪かきが終わって積まれた道路の雪はまるで塀のようです。その歩けるようになった雪道にすじをつけるように歩いて、自分の足跡を残すのがこれまた快感です。
雪の花が咲いている木に棒でつっついて雪を落としたり、その雪が自分の頭に落ちてきてしまうなんてことも・・・。
雪合戦、雪だるま、雪山のすべりだい、もう最高です♪
雪の少ない地域なら、たとえ少しの雪でも子どもは大はしゃぎで雪だんごを家の中に持って帰って冷凍庫に入れたりします。

もう、この絵本は全ての雪の好きな子ども達のそのままの様子を描いています。まさに同化して「ゆきのひ」の中で楽しく遊ぶことができます。
そして、家に帰ればやさしいお母さんが塗れた体を拭きながら雪の中で遊んだことを話すひと時は心がほっとしますね。
安らぎの時です。お風呂に入って体を温め、遊んだ事を振り返り振り返り、いい夢をみるのでしょう。

もちろん、冬のおはなし会におすすめです。できれば雪の日だと最高です♪


ゆきまくり   [野坂勇作 作] 福音館書店

野坂さんの自然の風景絵本にはいつも感動を覚えますが、これは、3Dを施しているわけではないのに、浮きあがって見える立体感のある絵本に仕上がっています。
春はもうそこまで来ていると感じる時期の雪は真冬の雪とはまたちょっと違うようです。 紫色の雲がたなびき、しめり雪とともに雷鳴のする雪の様はどこかリズミカルで最後の雪の舞を見せてくれます。「・・・うまれる うまれる ゆきまくり」ころころ転がって雪の絨毯が絵本からなだれくるようで、子ども達の目は釘付けになっています。
文体、言葉も雪の情景を現すほどに擬態語がふんだんに使われていて心地よく響き渡り、風が作ったゆきまくりがたくさんできはじめると春を呼ぶということの自然の摂理をまたひとつ学んだ思いです。
あかねいろにうっすらと輝く林の向こうの光の美しさと輝くばかりのまぶしい朝日を浴びて木の芽はふくらみ、そこから「春」はやってきます。ページを括るごとに美しい絵画のような感覚で楽しめる1冊だと思います。
冬の終わりから早春にかけてお薦めです。


 ゆっくりおじいちゃんとぼく   [ヘレン・バックレイ・文/ポールガルトン・絵] 佑学社

現代は、何でも早い、急いで、忙しく時が流れています。乗り物も、仕事人も、お母さんも「早く、急いで!」と、慌しく・・・でも、おじいちゃんとぼくは決して急ぎません。ゆっくりとふたりは目にしたものに立ち止まり、いろんなものを眺めます。
そして、家に帰ればゆっくり椅子をゆらして歌い、おしゃべりをします。ゆっくりと静かに流れる時に耳を澄ましてみたり時々は荷物を降ろして立ち止まってみたりすることも大切なのよね。年に関係なく・・・誰かが「いそぎなさい」と言うまで。
敬老の日の頃に届けたおはなしです。


  ゆめのゆき   [エリック・カール 作] 偕成社

 2007年は、エリックカール作品出版30周年。この一年、彼の絵本をたくさん子ども達に読み紹介しました。
『はらぺこあおむし』
 にはじまり、最後のクリスマスにはこの絵本で締めました。
仕掛け絵本の王道といっても過言ではない楽しくて夢のあるそして、心に響く絵本。それでいて、子どもたちは静かに静かに聞き入ります。イチ、ニィ、サン、シィ、ゴーとともに夢の世界に入っているかのように・・・雪のカバーと最後のスイッチがこの素敵な仕掛け。メリークリスマス!さあ、子ども達はいっせいにその音に反応を示します。
雪降る聖夜になればなお嬉し・・・です。


 ヨ
 よーい どんけついっとうしょう   [梅田俊作・佳子 作] 岩崎書店

運動会。始まる前の何ともいえないあの緊張感。特に1年生にとっては初めての大きな経験です。家族の皆からも声援をもらって、小さな胸は早鐘のように鳴り響いている事でしょう。もうじき出番という、ぼくの前に鉄棒の下で泣いている女の子を放っておけなくて世話をしている間に・・・・ぼくはどんけつでゴール。

運動会のシーズンに届けた1冊です。


よかったねネッドくん   [レミー・チャーりップ 作] 偕成社

1964年初版からアメリカの子ども達の爆発的な人気となり、日本の子ども達にも人気のネッドくんの冒険絵本です。
パーティに呼ばれたネッドくんが会場に辿り着くまでの様々なハプニングに「不幸中の幸い」というような場面が連なった独特、痛快なお話で「よかった!」という《幸運》なことには色刷り、「でも、たいへん!」という《不運》は白黒と状況がはっきりとわかって、子ども達も次に起こることを予測しながら、それでも降ってくる思わぬ事に驚きと喜びをもって楽しみます。
ただ、1997年の改定版は版がスマートになり、色合いも旧版より鮮やかになって、ピンクの色が強烈に全面に出ているような気がします。文も原作者(最新版はレミー・シャーリップとなっています)の希望とかで英文と日本文のはいった二か国語版になっています。訳者はどちらも八木田宣子さんですが比べてみますと言葉も多少異なっています。
今回は敢えて、旧版の方を届けましたが、皆さんはどちらがお好きでしょう?おはなし会後に、子ども達にも手にとって見比べてもらいましたが果たして、どうでしょうね?


 よるのびょういん   [谷川俊太郎・文/長野重一・写真] 福音館書店

1979年のこどものともから出版されたとあって、その時代の生活背景が写真で映し出されていますから大人にとっては懐かしさも感じるのではないでしょうか。
夜、ゆたか君という男の子が盲腸炎にかかり、お母さんが119番して救急車で運ばれるところからお話が始まります。
全モノクロ写真でストーリーは運ばれていき、手術の様子等リアル感いっぱいです。
「ほうら とれたぞ、あとはぬうだけだ・・・。ずいぶん おんぼろもうちょうだけど、きねんに うちへ もってかえるかい。」冗談を言いながらも先生、看護婦さんは真剣だ・・・それに、ボイラーマンさん。眠らずに働く人たちがいること、静かな町にもこんなにも働いている人がいて私達の生活は守られているのね。最後のページの夜景からじっくりと伝わってくるものがあります。おはなし会の最初に届けました。


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