4.建築主の設定
建築主とは建設事業の資金を出して建物を所有し維持していく
人で、計画中の様々な意見や問題を調整し決定する役割があり
ます。事業を成功させるにはハードである建築を長年に渡って
活用する為のソフトである運営能力と家族や関係者等の協力が
不可欠で、協力者の能力に応じて自宅専用から賃貸事業や自社
又は共同のビル建設迄、計画の基本的方向が決まると思います。
建築主を検討する主な目的は資産等の不動産化や相続等に伴う
税務対策や事業の利益又は損失の配分割合を設定する為です。
尚多額の借入資金が必要なニ世代に渡る長期返済計画の場合は、
資金の借入,返済等の条件や相続方法等も重要な検討事項です。
将来の悩みや紛争を避ける為に関係者と充分話し合って下さい。
主な建築主のパターンは次の通りです。
■個人が全て建設資金を負担する。 −【個人所有】
■夫婦又は親子,兄弟等で分担する。 −【共同所有】
■会社や団体が建設資金を負担する。−【法人所有】
■隣地権利者等と共同事業をする。 −【区分所有】
■不動産事業者等と共同事業をする。−【等価交換等】
複数権利者の共同事業では法律と経済上の専門知識が必要です。
一般に事業に伴なう利益や損失は出資額に応じて配分されます
ので、事業を任せる程に利益や損失の配分も減る事になります。
俗に言う"楽して儲かる話程危険"という言葉が頭に浮かびます。
どの方式も一長一短ありますが、もし共同事業者間で専門知識
や事業の推進能力等に差があれば"相手の掌で踊らされる"様な
強者と弱者の共同事業にもなりかねず、強者の為の利益追求が
当然予想されます。事業能力と専門知識を持つ一部の出資者と
その協力専門家による事業の推進であれば事業の公正な実施を
担保する事はまず不可能と思われますので、出資者全員が同意
できる第三者的立場の中立な専門家(弁護士,建築士,建設会社,
不動産鑑定士,税理士等)の参加が共同事業の大前提と言えます。
何れにしても事業方式に関する情報を事前に充分収集した上で、
原点である"何の為の建設事業なのか?"を冷静にご検討下さい。
尚法人の建設では建設準備室等を設置される事が多い様です。
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