P7 Management Consulting

 Brand つくり Buy Line とTag Line の話

「ブランドつくり」ということをよく耳にします。
ブランドとは何でしょう?

「高級スポーツ・カーならポルシェ」
「スポーティセダンならBMW」
「お金持ちの車ならベンツ」

とか

「安い電化製品ならヤマダ電機」
「安心の家電製品ならデオデオ」

さらに
「安さなら、Aスーパー」
「鮮度なら、Bスーパー」
「惣菜なら、Cスーパー」

というブランドイメージを持っているのではないでしょうか。
要するにこれらは、全て

「○○の△△なら××」という方程式

に当てはまります。

最初の○○は形容詞、次の△△は商品、最後の××はブランド名ということになります。

この方程式がきちんと成立して初めて、ブランド訴求できるということになります。

最初の形容詞を「Tag Line」、
次の商品を「Buy Line」と言います。

「Buy Line」とは購入動機、「Tag Line」は選択動機を表すといいます。

例えばこんな具合です。
あなたがBMWの販売会社だとします。
まずは、「BMW」というブランドが「車」(Buy Line)のブランドであるという認識がなければ、
車の購入検討の土俵にあがりません。

しかしながら、自動車には多くのブランドがあります。
その中から選ばれなければなりません。

もし、Buy Lineだけで、単なる「車」としか認識されていない場合には、
多くの車の会社の中に埋もれてしまい、選択されることは非常に困難になってきます。

その多くの車の会社の中で選ばれるためには、何らかの形で特徴が必要となってきます。
それが、「スポーティセダンなら・・・」というTag Lineなのです。

往々にして、中小企業は明確にこの方程式をきちんと認識せずに、
ブランドつくりしていることが多いのです。

「方程式はきちんとあるけど・・・」という場合は、
ひょとしたら複雑な方程式になっていませんか?
○○の形容詞(Tag Line)がいくつもある、というケースです。

確かに、自信のある商品だから、多くの形容詞をつけることができるのでしょう。

しかしながら、顧客にしてみれば、多くの形容詞を覚えられる訳がありません。
結局、「いろいろとあって、よくわからない・・・」ということになってしまうのです。

重要なことは、お客様にとってどのように認識してもらうか・・・、
「○○の△△なら・・」と覚えていただくこと、
差別化を感じていただくことです。

この意味で、形容詞(Tag Line)が多くあるというのは、
結果この方程式をきちんと認識していないということになります

またTag Lineについて言うと

「Tag Line」をつければ何でもいいというものではありません。

そのTag Lineが購入者にとって、魅力ある訴求ポイントとなっているか

が重要なテーマとなります。

例えば、車には故障がつきものという技術環境であれば、
「故障しない車の、××」は魅力ある訴求ポイントとなるでしょう。

しかしながら、車の故障が極めて少ないという現在の技術環境では、
故障の少なさを訴求したとしても、購入者に対する訴求は弱くなってしまいます。

逆に、この会社はまだ、こんなことを言っているのか、
「遅れている・・・」「故障が多いのでは?」と逆に取られかねません。

その意味で、何でもいいからTag Lineをつければいいというものではなく、
購入者にとって、魅力ある、新鮮な、選択基準になりえるものを設定する必要があります。

また、魅力的であれば何でもいいか?
というものでもありません。

Tag Lineとは、購入者の選択基準なのです。
別の言い方をするならば、購入者に対する「約束」なのです。
きちんと約束を果たすべく、担保する仕組みが必要となります。

担保する仕組みとは、「スポーティなセダン」のBMWは、
車の開発思想において、バランス、パワー・ウエイト・レシオ、そしてブレーキへのこだわり
開発思想という仕組みをもっています。(「BMW物語」 アスペクト社 より)

ルイ・ヴィトンのスーツケースは「永久不滅」というTagから、
販売前の耐久試験で、1分間あたり5回の開閉テストを3週間続け、
ハンドバッグの製造では、ほとんどが手作業で、出来高払いの職人が作る。
そして、その職人も何ヶ月も訓練を受けた後で、初めて製品に触れることができる。
(HBR 2002 Mar.)という仕組みを持っています。

要するに、「何故、そう(Tag Lineのように)言えるの?」という問いに、
きちんと説得ある説明ができるか? 
その根拠になる仕組みがあるか?

ということなのです。
「一所懸命頑張っているから・・・」という理由ではなくて・・・

この、仕組みが無いのは「言い放し」、言うだけ・・・ということになり、
顧客の信頼を失いかねないことになります。
それだけではありません。社内のモラールが低下していく可能性が発生します。
「お客様には、良いこと言っているけど、言ってるだけじゃない・・・」と
実態を一番よく知っている内部の失望が生まれてくるのです。

あなたの会社の商品は、きちんとブランド方程式にのっとっているだろうか、
再度確認をしてみてください。

自社の商品をチェックしてみてくだい。

◇ ブランド方程式がきちんと明確になっているか?
◇ そのTag Lineを担保するものはあるか?
◇ そのTag Lineは消費者のこころをくすぐるか?
◇ その心をくすぐる消費者は誰か?
◇ その方程式は、上記の消費者に適切に伝えられているか?


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