P7 Management Consulting

「ロス防止」か「チャンスロス(機会損失)防止」か? @

「あーあ、作りすぎちゃった・・・」
と売れ残ったものを廃棄する。

「あーあ、もう少し作っておけばよかった・・・・」
と品切れで、販売の機会を逸してしまう。

飲食関係なら毎日のように発生する現象。必ずしも飲食店に限らない。

大きく分けると、「受注生産形態」と、「見込み生産形態」の2種類がある。

「受注生産形態」とは、注文があって始めて製造にかかるもので、
注文住宅や、印刷関係なとはこの受注生産に該当する。
この形態の場合は、上記のような現象は発生しない。

一方「見込み生産形態」とは、先に販売数量を予測し製造する。
その後に販売するというもので、大きくは自動車・家電から始まり、
飲食店、食品・日常雑貨・・・等が該当する。
この見込み生産形態の場合に、この「作りすぎ、販売機械を逸する」という問題が生じる。

この問題をいくつかの側面から考えてみよう。

まずは、利益的な側面から考えると

「あーあ、作りすぎちゃった」という場合は、
実際に販売した数で、ロス無しの利益より、作りすぎした部分のコスト分の利益が少なくなる

「あーあ、もう少し作っておけばよかった・・・」という場合は、
実際に販売した数で、売れることが見込まれた部分の利益額が得れないことになる。

極めて当たり前のことです。
さてどっちをとるか????
「ロス覚悟で機会損失防止」を選択するか・・・・
「機会損失覚悟で、ロス防止」を選択するか・・・・

ここからが、ポイント。

実は、「原価率・利益率」と「予測のばらつき」の要因によるということです。

仮に原価率25%、利益率75% という会社の場合、販売価格を100円とすると

月間の合計で、
ロスが50ヶ、チャンスロスが50ヶの場合は、ロスは1,250円<チャンスロスは3,750円
ロスが70ヶ、チャンスロスが30ヶの場合は、ロスは1,750円<チャンスロスは2,250円
でチャンスロスの方が大きい。

ロスが75ヶ、チャンスロスが25ヶの場合は、ロスは1,875円=チャンスロスは1,875円
となり、ロス:3に対してチャンスロス:1の割合で、
ロスを3ヶしても、チャンスロスを1ヶ防げれば取り返すことができます。

今度は、原価率が上記と反対のケースでは、

仮に原価率75%、利益率25% という会社の場合、で同様に販売価格を100円とすると

月間の合計で、
ロスが50ヶ、チャンスロスが50ヶの場合は、ロスは3,750円>チャンスロスは1,250円
ロスが70ヶ、チャンスロスが30ヶの場合は、ロスは2,250円>チャンスロスは1,750円
でロスの方が大くなります。

ロスが25ヶ、チャンスロスが75ヶの場合は、ロスは1,875円=チャンスロスは1,875円
となり、ロス:1に対して、チャンスロス:3の割合になり、
ロスを1ヶしたならば、チャンスロスを3ヶ防がなければ取り戻すことができません。

上記は、ややこしい算術ですが、こう考えたら簡単です。

利益率:原価率=X:Y 場合は、
ロスXヶで、チャンスロスYを取り返す。

上記の例でいうと、利益率75% 原価率25%というのは、利益率:原価率=3:1
なので、ロス3ヶで、チャンスロス1ヶを取り返す。ということになります。

ということは、利益率の高い会社は、少々のロスを覚悟してでもということになります。
また、利益率の低い会社は、売れ残りを極力減らすということになります

ただ、もう一つ重要なポイントは、「予測のばらつき」です。

かりに、原価率25%で、利益率75%の会社、ロス3ヶしても、チャンスロス1ヶで取り返す
ことができるという会社の場合、すなわち少々のロス覚悟で・・・という会社の場合
ロスとチャンスロスの発生比率が、ロス4に対してチャンスロス1という状況になり始めたら

ロス80ヶ、チャンスロス20ヶの場合は、ロスは2,000円>チャンスロス1,500円

となってしまい。ロスの方が多くなってしまいます。
その意味で、この発生率をきちんと管理しておかなければなりません。

というものの、ロスの発生ははっきり認識できます。実際に廃棄することになるから・・
しかしながら、いくらチャンスロスしたかは、なかなか認識できません。
お客様がすべてに、「今日○○売り切れちゃったの? じゃ今度にするね」
と言ってくれれば別ですが、必ずしもそうなる訳ではありません。

じゃどうしようか? 分からないものはわかりません。
販売促進費の一部として予算計上してその内に収めるという考え方をとりましょう。
販売促進費のうち一定割合を廃棄による販売促進費と決めるのです。

何故販売促進費とするかは、販売面からのところをお読みください。

仮に、原価率25%で、利益率75%で、売上高の1%を廃棄による、
販売促進費とするならば、

廃棄限度個数=1÷(原価率)×(廃棄率)
         =1÷0.25×1%=4%

すなわち100ヶ製造した場合は、4ヶまでなら廃棄予算の1%に収まりますが、
5ヶになると廃棄予算を超えてしまうということです。