<理想>
物理的現象を考えてみよう。
ある物体が動くためには、何らかの力が加えられる必要がる。
その物体に力を加えなければ、その物体は動かない。
物体を「組織」に、方向と強さ「理想」に置き換えれば理解しやすい。
その組織に、理想を与えれば、その組織が動きだす。
一方、組織になんらの、理想を与えなければ、
組織はそのまま停滞したままになる。
その力は「方向」と「強さ」をもっていて、
力の加えた方向に物体は動き出しその力の強さほど動く。
すなわち、理想とは組織に「方向」と、その力の強さを与える。
理想が高ければ高いほど、その力は強いと置き換えることができる。
リーダが替わり組織に大きな変化をもたらすのは、
新しいリーダーが理想を与え、その組織を動かし始めるということになろう。
また、少し動いていた組織ならば、その動きの方向を修正したり、その強さを強めたりすることになる。
もうひとつ物理現象。鉄粉、アルミ粉、小麦粉、砂糖が一面に敷き詰めてある。
そこに磁石をもっていくと、鉄粉が反応して磁石に吸い寄せられる。
鉄粉は磁気に反応するという基本機能をもっている。
そこに磁石が近づくことにより磁場ができて、
自らが有する基本機能により反応していく。
組織の発生も同様の現象が起こる。
さまざまな問題意識を抱いた人間が多くいる、
なかには、その問題は潜在化の状態で本人も気づいていないことがある。
そして、その意識の強弱はある。
そこに誰かが、ある問題について、
「◎◎を解決しようと」旗をあげたときに、
同様の問題意識をもっている人がその旗のものとに集まってくる。
また、その旗をみて問題意識が潜在化のままの状態だった人が、
言葉として表現されることにより、
「自分の問題はこれだったんだ!」
と顕在化して集まってくることもあろう。
この磁石にあたるもの、そして旗にあたるものが
「理想」と置き換えることができる。
すなわち、「理想」とは同質のものを集める求心力があるといえる。
今日の飯に事欠くというレベルの環境では、
「貧困から脱出する」
という磁力で多くの人が吸い寄せられるであろうし、
外的な脅威にさらされているという問題意識のある人は、
「自国防衛」という磁力で結束するだろう。
民族に弾圧が加えれるならば、
独立という磁力で結ばれるだろう。
「理想」の機能としては、
磁石のように組織たるべき「求心力」をもち、物体を動かす力のように、
組織を動かす「方向」と「強さ」を持っているといえる。
その「理想」がない場合は、求心力ははたらかず、
組織としては、ただ集まっただけといういわゆる烏合の衆になってしまう。
その組織を動かす力が加えられず、停滞した何も機能しない組織になってしまう。
その意味において組織には、「理想」という要素が不可避となり、
その「理想」という要素をあたえるものこそリーダーとなりえるのである
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