P7 Management Consulting

<情熱>


もうひとつの要素の情熱についても、欠く事のできないものである。
その理想達成のための個別の作戦・計画は参謀役にやってもらうこともできる。                
アンドリューカーネギーの墓碑には
「自分より能力の高いものを統いたものここに眠る」
とあるように、そして自分の苦手なものは、得意な部下に任せることができる。

現代で会社の一部の機能ならば、外注することだってできる。
          
戦略立案、販促企画、から始まり、製造の委託、会計事務。人事事務等々,
いくらでアウトソーシングできる。                      

お金をだせば、代わりに代行してくれる業者はいくらでもいる。         
そして、彼らは期待通りの仕事を成し遂げてくれる。

しかしながら、外部から得ることのできないもの、              
そして、組織の内部になければならないものそれは、              
事業に対する情熱に他ならない。

理想の実現には、必ず障害が待ち受けている。                 
そしてその理想がたかければ高いほど、その障害は高く、多くなる。

より高い障害を乗り越えられるか、より多くの障害を乗り越えられるか、     
それは、決意の強さ、情熱の強さに他ならない。

ここで言う情熱とは、                            
表面的な手振り・身振りで・口角泡飛ばしという情熱の表現を言うのではなく、
内面的な、理想に対する決意の固さのことを言う。               

むしろ決意の固さと言い換えたほうがいいかもしれない。

リーダーの個性によっては、見るからに情熱的な人もいれば
(往々にその情熱が長続きしないことがある)、
寡黙な感じの人であるが、内に秘めた強い情熱、
固い決意があるというリーダーもある。

そのどちらでもいい、内面的な情熱・決意の固さがあれば。           
この「理想」「情熱」という2つの要素は、
リーダーの機能を削ぎ落として最後に残る,
そして代役が不可能なものだから。

余談であるが、企業の創業者がなかなか事業を次に引き継げない、        
形としては引き継いだものの、いろいろと口をはさんでしまう          
というケースは中小企業では、日常茶飯事である。

これらがが発生しないケースの方が少ないといっても過言ではない。
創業者は、長年、理想を持ち続け、そして人生のすべてを賭して、        
人生の情熱のすべてを注ぎ事業を起こしたのだ。                

創業者にとっては事業そのものが人生すべてになってしまっている。
頭ではわかっていても感情が許さないというのが、最大の理由である。

「理想」を持ち続け、「情熱」を継続していけるのであれば、
リーダーを降りる必要はない。

しかしながら、一つクリアーしなければならない条件がある。

それは、理想を実現する方法論にまでは口をださないことである。        

10年一昔が、今は、3年一昔ともいわれる、                 
さらに環境の変化は加速し、減速することがない。               

ということは、顧客ニーズが足早に変化していく、               
その中で矢継ぎ早に新しい技術がでてくる。

このような環境の中では、ライバルよりレベルの
高い商品・サービスを開発していく

常に新しい情報を入手し、新しい環境に適合した方法を
模索していく必要ある。

その意味で、いわゆる老害といわれるのは、
年老いてトップに立っていることではなく、
最新の環境の変化に適合した方法論をもっていないにもかかわらず、
昔ながらの方法を指導しようとするところに
本質的な「老害」が発生するのである。

創業者の引退については、誰も引導を渡してくれない。
自ら決断すべきものである。

後継者と理想のイメージが同じなら、
後継者が自分の情熱をしのぐようになった時か、

もしくは、情熱レベルが同じなら、
後継者のほうの理想が高くなったときか、   

いずかの時期が引き際なのである。

そして、自分の幕を引いた後は、
その事業を最もよく理解してくれている最高の応援団長としての
役割に徹することができたら、

後継者はもとより、従業員からも創業者としての
最高の賛辞がおくられるのである。

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